上から目線の愚者
13話目です。
・・・ではどうぞ。
サブタイトルは「上から目線のフール」と呼んで下さい。
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From 美晴さん
Sb 絶対変!
お兄ちゃん帰ってくるなり部屋に閉じ
こもって出てこないんですけど、何か
あったんですか?
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To 為井理佐
Sb Re.絶対変!
あーそれね、今日葵が呼び出されてる
現場見たから聡太くん色々考えてるん
だよ。
私も宿題出しといたし。
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From 美晴さん
Sb Re.Re.絶対変!
美晴さんも見てたんですよね?
お兄ちゃんどうでした?
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To 為井理佐
Sb Re.Re.Re絶対変!
ものすごく心配そうにしてたよ。
そんなの必要無いのにね、
OKもらえるの自分だけだって、早く
気付けばいいのに。
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From 美晴さん
Sb Re.Re.Re.絶対変!
まったくですー!!
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「あのさ、お前等プライバシーの侵害って言葉知ってるか?」
「じゃぁさ、それをそのまま返していいかな?」
そう言いながら、美晴が俺を振り返る。
「お前がここにいるからだろ?」
俺の脚の間に座り込み、手下とやらとメールの応酬を繰り返している。
はっきり言って丸見えだ。
「じゃぁ、移動しようか?」
それは嫌だ。
思わず腕を回して逃がさないようにしたら、
「別に動かないよ、」
そう笑われた。
くそっ、お見通しかよ。
それでももたれ掛かってこられると文句も言えない。
「あーえーと、その聡太? かわいそうになってきたんだが?」
知らぬ間に行動を見張られ、報告されている。しかも間者は妹だ。
「今だけだよ、聡太くんが頑張ったら終わりだよ。それ以上は野暮でしょ?」
・・・いや、今もどうかと思うぞ?
さて、今朝は昨日の種明かしでもしておこうかな。
自分の席でボーっとしている葵の背後に近付き、圧し掛かる。
「葵ちゃ~ん、さすがにあれは酷すぎない?」
葵は目を見張る。
「西山くん、泣いてたよ~。一緒に来た友人に慰められてる姿は、哀れだったよ。
・・・いや無様かな?」
思い出すと笑えてくる。だがまあ、彼にとっても良い経験になっただろう。
あの精神的ダメージは立ち直ってもらうしかないが、同じ轍を踏まなければ少しはマシになるだろう。
「ちょっと、また見てたの?」
嫌そうな顔を向ける葵に笑顔で返した。
「あまりのショックで、受験に失敗しかねないかもね~。」
「ち、ちょっと美晴?」
変に責任を感じて慌てる葵が面白い。
さて本題だ。
「あ、そうだ。今回は聡太くんもいたんだよ?」
葵が止まった。
様子を窺うために、空いていた前の席を拝借する。
「何で?」
複雑な表情をして、出てきた言葉はそれだけ。
まだまだ答えには辿り着かない。
「さあ?」
葵も考えてみてくれ。
そう思いしばらく待ってみたものの、一向に動きが無い。
「あ~、何だ本当に分からないのか・・・」
正直がっかりして、溜息と一緒にこぼした。
まったく、しっかり自分と向き合ってくれないと、先に進めないじゃないか。
「本格的に受験始まるまでに片付けなよ? じゃないと、失敗するのは葵かもよ?」
そう発破もかけた。
「・・・縁起でもない事、言わないでよ。」
自信無さそうにそう呟いたのを逃しはしない。
「ほぅ、そう言うからには、進路は決めたのかい?」
「・・・決めてない。」
問題山積みじゃないか。
あれ? ここ短い。
ここも「求める者。」の裏側で、台詞が決まってて、
・・・たぶん一番苦しんだとこです。