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お節介と広がる傷

11話目です。

・・・ではどうぞ。


----------------------------------

To 為井理佐

Sb 行動開始!


聡太くんと葵をくっつける作戦を開始

します。有益な情報があったら教えて

下さい。

私は葵をつつくから、

理佐ちゃんは聡太くんを煽ってね。

ではよろしく。

----------------------------------

よし、送信。

携帯片手にソファに寝そべり満足していると、

「何してんだニヤニヤして?」

不意に頭上で声がした。

「勉強してたんじゃないの?」

さっきまでダイニングテーブルにいた芳彰が側に立っていた。

起き上がって場所を空けると、当然のように隣に座った

「休憩。」

と答えた後、携帯を持つ手を引っ張り、私を抱え込む。

「で、美晴は何をしてんだ?」

・・・まったく嘘が下手だ。

「手下に指示を出したんだ。」

「何だそれ?」

髪を撫でられながら答えた言葉は、理解されなかった。

「妹の友達にメールしてたんだ。」

「ふーん、で? それで何でニヤニヤしてんだ?」

やっぱり内容の方に興味があるらしい。

「前に頼まれてたんだ。その子の兄と葵っていう私の友達を、

 さっさとくっつけてくれって、その件。」

「それ、お節介って言わないか?」

呆れた視線を向けてくるが、もちろん無視する。

「わざわざそのお節介を焼いてやるの。聡太くんが中学入ってからだから、

 ・・・もう5年くらい? 両思いなのに片思い中ってのは、周りがしんどいの。」

芳彰は諦めたようにこう言った。

「お前、こういう時イキイキするよな。」

「うん。」


「あ、和歌奈、理佐ちゃんにはもうメールしたんだけど、

 聡太くんと葵くっつけるから。」

お風呂上り、おねぇちゃんにそう言われた。

「でもおねぇちゃん、前に放っておくって言ってなかった?」

去年は確かにそう言っていた。

「そうなんだけどさ、事情が変わったし、それに二人に恩があるしさ・・・」

「事情って、自分がうまく行ったから?」

自分でも思わぬ言葉が口をついて出た。

「和歌奈?」

おねぇちゃんは驚いたように私を見ている。

「自分に余裕ができたから、今度は人の事に手を出そうって言うの?」

「そうじゃないけど、」

「じゃぁ何なの?」

どうしてだろう、止められない。

おねぇちゃんがまともに見れない。

「葵にその気がありそうだったから、もうつついちゃったし。」

「じゃぁそのまま放っておけばいいじゃん。おねぇちゃんはおねぇちゃんで、

 好きなようにしてればいいじゃない!」

よく分からないけど、この場にいるのが耐えられない。

私は部屋に逃げ込んだ。

外からお母さんとおねぇちゃんの声が聞こえる。

「どしたの?」

「よくわかんないんだけど、何か和歌奈に嫌われるような事したかなぁ・・・」

「大丈夫よ、そういう時期よきっと。だから大丈夫。」

そういう時期って何よ? お母さんの言葉にムッときてベッドに転がった。

トントン。

すぐにノックの音がした。絶対お母さんだ。

「何?」

機嫌の悪い声しか出ない。

「入るわよ。」

声と共にお母さんが姿を現す。鍵の無い部屋に拒否権は無い。

すぐ横に座られ、マットが軋んで少し傾く。

「和歌奈は何を怒ってるの?」

優しい声音が降ってくる。

「分かんない。」

だからイライラしてるんだ。

「じゃぁ、お姉ちゃんの事好き?」

前は即答できた。でも、

「・・・嫌いじゃない。」

今はそう答えるのが精一杯だ。

温かい手が肩に当たる。

「和歌奈は和歌奈、美晴は美晴なんだから、そう思わない?」

お母さんは当たり前の事を言う。

「そんなの分かってるよ。当然じゃん。」

「そうね、和歌奈は和歌奈らしくしてればいいし、

 美晴には美晴の生き方がある・・・そう思うのよね。」

何となく、お母さんの言いたい事は分からなくもない。

けど、何で今そんな話をするのかは分からない。

振り返ってお母さんを見ると、どこか遠い目をしているような気がした。

私の視線の気が付いたのか、不意に笑ってこう言った。

「お姉ちゃん取られたからって、いじけてちゃ駄目だぞ。」


イチャイチャしてます。

でも、そう上手くはいきません。


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