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ダンジョン潜って美少女配信者を助けてバズるとか無かったけど、なんか凄いことになった件  作者: にがりの少なかった豆腐


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今一番のそこで

  

 3体のドラグーンの討伐を終えたことで一息つく。


 この場所には他にモンスターは出現しないので戦闘態勢を解き、武器を腰に収めた。


「ふぅ、これで終わりと」


[ドラグーンの死体まだ残ってるけど回収しないのか]

[はよ回収すれば間に合うだろ]

[マジで3体倒すとかどこかくるっているだろこれ]

[むしろ逆に疑うだろこの光景は]

[ドラグーンの体デカいな]


 チャット欄のコメントがやいのやいのと騒いでいるのを無視して、目の前にころがっているドラグーンの体を採取することなく、粒子になっていくその光景を見送る。


「こいつらはさぁ。素材として採取できないんだよ。モンスターであってモンスターじゃないというか、普通じゃないんだよな」


 最初にこいつらに遭遇し、倒した時は俺も採取しようとした。しかし、採取しようと死体をカバンの中にしまおうとしても中に入れることが出来なかった。


 ドラグーンの体はデカい。横たわった状態でも俺の背丈を優に超す。だから鞄には入らなかった、というわけではない。


 俺の持っている鞄はそんなものは無視して収納できる物なのだ。その鞄でも収納できない、その理由を探るため、その体を調べてみればこいつらの体はほとんどが魔力で作られた思念体のような存在であることが分かった。

 そもそも実態がない物を鞄に入れることはできないし、採取しようもないのだ。


[なに? 自分のこと言ってる?]

[お前が人であって人じゃないみたいな感じかな]

[こいつ人間じゃないの?]

[まあ、ソロでドラグーン3体倒すような奴が人間かって言われればね]

[あの雷食らって軽いやけどで済んでいる辺り、マジで人間ではないのでは]


 ドラグーンの話をしていたのになぜか俺のことを人間なのかどうか疑うコメントが多数流れてきた。


「んなわけあるかい。俺は普通の人間だ」

 

 俺の呆れ交じりの言葉に対し[ふつう?][普通とは][お前が普通なわけがないだろう]と言ったコメントが連続で流れ続けた。


「とりあえず、こいつらはゴーストみたいなもんなんだよ。実体があるようでない。思念体とか魔力体とかそんな存在。だから倒したらすぐに消えていくし、素材を取ることもできない。当然魔石もない」


 本当に普通のモンスターとは異なる存在なのだ。今回倒したドラグーンたちは少しとはいえ、俺の動きを学習し警戒して上空に留まるような動きをした。実は前回あのドラグーンたちと戦闘をした際、同じような行動は一切していなかった。

 今回ほどフェイントは入れてこなかったし、連携も練度の低い物だった。


 学習しているのだ。あのドラグーンたちは俺の動きを。そしてどうすれば勝てるのかを。

 普通のモンスターは倒せばそこまでだ。次に生まれてくるモンスターに倒された際の情報などは一切受け継がれない。


 しかし、あいつらは明らかに前回の戦闘で得た経験を引き継いでいるような動きをしているのだ。


「まあ、普通のモンスターとは違うが基本的な強さは普通のドラグーンと同じだ。確認のために他のダンジョンに居るドラグーンを倒してみたからそれは間違いない」


[なんじゃそら]

[本当に倒したのか?]

[まあ、これが本当のドラグーンではないにしても、あの動き自体はマジだからな]

[それ、ギルドに討伐報告した?]

[ふーん(よくわかっていない)]


「あ、そういえばドラグーンの討伐報告はしていないな」


 ドラグーンのような強力なモンスターを討伐した際、一応ギルドに報告するというルールがある。一応と言っている通り強制ではなく任意ではあるのだが、大半の探索者はしっかりギルドに報告しているようだ。

 俺も普段は報告しているのだが、ここのドラグーンと比較するために倒したことで、報告することを忘れていたことを今思い出した。


[報告しないと]

[お前してないのかよ]

[任意とはいえ倒したならしっかり報告しないとさぁ]

[報告しないやつっているんだ]

[普通なら箔がつくからするんだけど、こいつだからな]


「ま、今回のことでギルドも把握しただろうし大丈夫だろう」


 少し悪いことをしたかと思い、頬を少しかきながらそう言葉に出した。

 それと報告せず忘れていたことは申し訳ないと思うがそれはもう過去のことだ。今更何をしても意味はない。それにこの件が配信に載った以上、ギルドもしっかり把握できただろうからな。


 そう言って次の階層。今到達している中で一番下の階層へ移動することにした。


 ドラグーンが居た階層の次は深層へ移動する前に通った小部屋と同じ感じの空間になっている。

 

 空間の中心にはダンジョンコアと呼ばれるダンジョンの心臓が台座の上に浮いており、淡く光を放っていた。


[(^0_0^)]

[あれ]

[最下層かこれ]

[オーブが……ある]

[おい、それに触るんじゃねぇぞ。マジで触るなよ!]


 この小部屋に入った瞬間、一瞬チャット欄のコメントが止まったと思ったがそこからすごい勢いでコメントがチャット欄の上部に呑み込まれて行っていた。


「この階層が今俺がこのダンジョンで到達している一番下の階層になる」


 コメント欄にダンジョンコアに触らないよう注意する物が多く流れているが、それは過去に起こった事故、ダンジョンコアを弄ったことでダンジョンが崩壊し、その時ダンジョンの中に居た者たちが行方不明になったことを知っているからだろう。


 俺が下手に触ってあの事件と同じことを起こさなようにという忠告のつもりなんだろうが、あまり周囲の人間とコミュニケーションを取らない俺でもその事件についてはしっかり把握している。

 触れるのもリスクがあるとわかっていれば、俺だって下手に手を出すようなことはしない。


「心配しなくてもそれについては把握しているし、あれには一切触れる予定はないから安心しろ」


[知っているならいいけど]

[何かの拍子に触りそうで怖い]

[少し狭い部屋だからな]

[ダンジョンの最後まで来たってことは配信はここまで?]

[信用がねぇ]


「配信はまだ終わらせる予定はない。ただ、これからやりたいこともあるし、一旦飯でも食うか」


 そう言って俺は鞄の中からキャンプ用の調理器具を取り出し、食欲を満たすためにそれらをセットすることにした。

  

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