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モブはラスボスから逃げ切りたい  作者: 黒鉦サクヤ


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4/8

モブが生き残る道 1

「一緒に行く行かないはひとまず置いておいて。まずは現状確認をさせてください」


 サティは僕の言葉に不満そうだけれど、僕は何に巻き込まれてしまったのかを確認する権利があると思う。だって、本来はただのモブですし。モブは弱い生き物なんだよ、多分ね。

 面倒くさがりで婿にも行けなかったら、最終的には細々と領地の端っこの方で生きていければいいや。そんな風に思っていたけれど、天下の魔王様と従魔契約しちゃった手前、何も知りませんってことにはできないだろう。

 この状況をどう使えば良いのかを考えなければならない。

 魔王を倒すことしか考えてない勇者たちに、魔王は僕の従魔です、って宣言したら最後。魔王諸共、倒されるに違いないしね。

 だから、誰がどのような考えで、どういう思惑で動いているのかを速やかに把握しなければならない。モブもここまで踏み込んでしまったら、率先して対策を練らねば待つのは死のみ。僕はまだ死にたくない。底辺に近い貴族の僕ができることは少ないけれど、持っているカードはかなり良い。できることはあるはずだ。

 さぁ、頭を働かせるんだ。頭を使うのはあまり得意じゃないけれど、ゲームの知識は頭に詰まっている。それが少しは役に立つかもしれない。


「魔族は人間と戦争する気はないんですか」

「ない。面倒だし、棲み分け出来ている」


 たしかにー!

 勇者が魔族とドンパチやってるけれど、それはある一部だけで他はとても平和だった。小競り合いが起きたという話も聞かない。わざわざ争いの火種を撒きに行ってるんだろうかと思ってしまう。やはり、最初に勇者へ接触するのはナシだな。そうなると、勇者を派遣している王も怪しい。何かしらのメリットがそこにあるから、勇者を動かしているのかもしれない。


「暴走しているのは、こっちの勇者と魔族の下っ端ということでいいですか?」

「そうだ。あれらは勝手に勢力争いをしている」

「あの、勢力争いをしているところに何か特別なものがあったりします?」


 考えられるのは何らかの資源。例えば鉱脈や古来から力のある遺跡などだろうか。表向きは、魔族に侵攻されている、と言いつつその辺りを手に入れるため争っている可能性もある。もしくは、争っているように見せかけて、下っ端の魔族がグルかもしれない。人間と手を取り合って恩恵を受けるという図式も考えられる。

 ゲームで勇者が辺境にいる頃、何か事件があっただろうか。

 かつての記憶を呼び起こそうと試みたけれど、どうにもうまくいかない。肝心なところがぼやけている。ゲームの中で曖昧だった出来事なのか、それとも誰かに邪魔をされているか。

 転生したことをさっき気づいたくらいだから、僕のことを知っているのなんて、それこそ神様くらいしかいないんだけれど。

 神様と悪魔だって、転生なんてものがあるくらいだからなんだって存在しているだろうと考える。けれど、そっちに妨害されたら僕がどう足掻こうとかなり無茶なことになってしまうんだけどね。まぁ、考えてもどうにもならないことは後回しにして、まずはできることからコツコツと、だ。


「噂話でもいいから、何か思い出しません?」

「噂話ですかー……あ、噂話ではなく魔族のおとぎ話ですけど、あの辺りはギリギリこちらのものですが地竜の住処と言われてましたね。誰も見たことがないので、おとぎ話レベルですけど」


 おっと、ここでコウモリ男から良い情報が入る。竜ってことは金銀財宝溜め込む性質があると見ていい。僕の知識では竜はカラスみたいにキラキラしたものを集めている。もし本当にいるならば、そこに集められた金銀財宝は一国の宝物庫よりもあるだろう。山分けしてもお釣りが来る。


「調べてみますけど、山分けという話を持ちかけられて手を組む可能性は大アリです。勝ったからこれからは人間のものだと最終的にぼったくられる未来が見えるんですけど……アイツラ、とても愚かなので」


 細い目で遠くを見つめながら語るコウモリ男に乾いた笑みを向ける。どこにでもいるよね、そういうタイプ。

 でも、そもそもの話。地竜がいると言われていても、現実味のない話に国王が乗るだろうか。それとも、確たる証拠でもあるのだろうか。えー、魔王ですら知らないのに、それより下位のものが見つけるかなぁ。怪しい。


「ねぇ、下っ端っていうけど、どの程度の戦力なのかな」

「魔王様を百とした場合、先程の話に出てくる下っ端はまるっとまとめて三十にも満たないかと」


 でも、それってわりと戦えるのでは?

 その中に、幹部と呼ばれるタイプの方が混ざってませんか? 戦力としての三十の内、九割はその幹部だったりするのではないでしょうか。


「それって下っ端をまとめてる方が強いだけとか言いません?」

「おぉ、よくお分かりで!」


 魔王様やっぱり面白いのを見つけましたねぇ、って楽しそうだけど、僕は嫌な予感しかしない。


「あのバカを追放して、この人間をあの地位に入れましょう」

「却下ぁ!」


 すかさず止める。迷わず止める。

 なんで魔王の幹部にモブが入ることになるんだよ。駄目に決まっている。しかも、戦力的にはマイナスになるからやめたほうがいい。妹にも模擬戦で負ける僕が戦力になるか!

 残念そうな顔をしているサティが見えるけれど、本当にやめてほしい。魔王様を従魔としてる幹部ってなにそれ。本当に駄目なやつだよね。僕の死亡フラグがビンビン立ってしまう。

 僕はがっくりと項垂れて、深いため息を吐いた。

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