第98話:文化の架け橋を築く
雲の上の、とある賑やかな朝。
天界の大広間に、たくさんの天使と悪魔が集まっていました。
ノエルは、ガブリエル嬢と一緒に会場を見回っています。
今日は、文化交流イベントの準備日でした。
「あら、すごい数ですね」
ガブリエル嬢が、少し眠そうに言いました。
「ええ」
ノエルは、頷きます。
広間には、天界の展示ブースと魔界の展示ブースが並んでいます。
まだ準備中で、あちこちから声が聞こえていました。
「ガブリエル様」
パヌエルが、明るく手を振ります。
「こちらの飾りつけ、どうでしょう」
近づくと、カラフルな布が飾られていました。
「素敵ですね」
ガブリエル嬢は、微笑みます。
「でも、少し派手かもしれません」
「そうですか」
パヌエルは、少し考えます。
「じゃあ、もう少し落ち着いた色に」
「そうですね」
ガブリエル嬢は、優しく頷きました。
ノエルは、その様子を見ていました。
ガブリエル嬢の意見は、いつも的確です。
尊い、と心の中で呟きました。
隣のブースでは、ウリエルとベルフェゴールが話していました。
「天界の伝統的な配置は」
ウリエルが、真面目に説明します。
「このように、整然と」
「でも、もっと自由に並べた方が」
ベルフェゴールは、元気に言います。
「みんなが見やすいと思います」
二人とも、真剣でした。
「確かに、一理あります」
ウリエルは、少し考えます。
「では、中間を取りましょう」
「良いですね!」
ベルフェゴールは、嬉しそうです。
ノエルは、微笑ましく思いました。
考え方は違っても、協力できる。
「ノエル」
ガブリエル嬢が、声をかけます。
「あちらも見てみましょう」
二人は、魔界のブースへ向かいました。
そこでは、ベルゼブブが展示物を並べています。
「こんにちは」
ベルゼブブは、上品に挨拶しました。
「ガブちゃん、ノエル」
「こんにちは」
ガブリエル嬢は、微笑みます。
「素敵な展示ですね」
テーブルには、魔界の工芸品が並んでいました。
どれも、美しい細工です。
「これは、魔界の伝統工芸です」
ベルゼブブが、説明します。
「一つ一つ、職人が手作りしています」
「綺麗ですね」
ノエルは、感心しました。
「天界の工芸品も、見せてくださいね」
ベルゼブブが、楽しそうに言います。
「もちろんです」
ガブリエル嬢は、頷きました。
少し離れた場所で、サリエルとアスモデウスが相談していました。
「展示の順番は」
サリエルが、資料を見ながら言います。
「このように、規則正しく」
「でも、ストーリー性があった方が」
アスモデウスは、優しく言います。
「見る人が楽しめると思います」
「ストーリー性……」
サリエルは、真面目に考えます。
「なるほど、それも大切ですね」
二人は、熱心に話し合っていました。
その様子が、とても真剣です。
ノエルは、ガブリエル嬢を見ました。
彼女は、少し疲れたような顔をしています。
「ガブリエル嬢、休憩しますか」
「ええ」
彼女は、小さく頷きました。
「少し、座りたいです」
二人は、会場の端に座りました。
そこには、小さな休憩スペースがあります。
「賑やかですね」
ガブリエル嬢が、静かに言いました。
「そうですね」
ノエルは、会場を見渡します。
あちこちで、天使と悪魔が一緒に働いていました。
意見が分かれることもあります。でも、最終的にはまとまっていく。
「みんな、頑張っていますね」
ガブリエル嬢は、優しく微笑みます。
「ええ」
ノエルは、頷きました。
その時、マモンが大きな荷物を運んできました。
「これ、みんなで使ってください」
彼女は、気前よく言います。
「装飾品です」
「こんなにたくさん」
ラグエルが、驚きます。
「独り占めなんて、良くないですから」
マモンは、満足そうでした。
でも、サリエルが困った顔をしています。
「えっと、これは予算外では」
「細かいことは、気にしないで」
マモンが、笑います。
「でも、規則が」
サリエルは、真面目です。
ノエルは、また微笑ましく思いました。
いつもの二人です。
休憩が終わると、ノエルは展示の手伝いに向かいました。
ガブリエル嬢は、会場を見回っています。
ノエルが、天界の工芸品を並べていると。
「それ、こう置いた方が良いのでは」
ルシファーが、遠慮がちに言いました。
「あ、本当ですね」
ノエルは、配置を変えます。
「ありがとうございます」
「いえ、私なんかが口を出して」
ルシファーは、申し訳なさそうです。
「とても参考になります」
ノエルは、笑顔で言いました。
ルシファーは、少しだけ安心したようでした。
午後になりました。
準備は、順調に進んでいます。
ミカエルとレヴィアタンが、入り口の看板を立てていました。
「こちら側を、もう少し」
ミカエルが、指示します。
「はい」
レヴィアタンは、嬉しそうに手伝います。
「ミカエルさんと一緒に作業できて、楽しいです」
「そ、そうか」
ミカエルは、少し照れています。
看板が立つと、レヴィアタンが拍手しました。
「すごく良いです」
「まあ、普通だろう」
ミカエルは、視線を逸らします。
でも、その表情は嬉しそうでした。
ラファエルとサタンは、休憩スペースを作っていました。
「ここに椅子を置いて」
ラファエルが、提案します。
「良いですね」
サタンは、穏やかに頷きます。
「みんなが休める場所があると、嬉しいですよね」
「そうですね」
ラファエルは、微笑みました。
二人の作る休憩スペースは、とても居心地が良さそうです。
夕方になりました。
準備が、ほぼ完了しています。
「みなさん、お疲れさまでした」
パヌエルが、明るく言います。
「お疲れさまでした」
みんなが、口々に答えます。
ノエルは、会場を見回しました。
天界と魔界の展示が、美しく並んでいます。
ガブリエル嬢が、隣に来ました。
「良い会場になりましたね」
彼女は、静かに言います。
「ええ」
ノエルは、頷きました。
「明日が、楽しみです」
ガブリエル嬢は、優しく微笑みます。
その笑顔を見て、ノエルは思いました。
明日、たくさんの人が来るでしょう。
天界の文化と、魔界の文化。
両方を見て、両方を知る。
それは、きっと素敵な一日になる。
「では、帰りましょう」
ガブリエル嬢が、言います。
「はい」
ノエルは、彼女に続きました。
執務室に戻る道。
夕日が、雲海を染めています。
「今日は、たくさん歩きました」
ガブリエル嬢が、少し疲れた声で言います。
「お疲れさまでした」
ノエルは、優しく言いました。
「でも、楽しかったです」
彼女は、微笑みます。
「みんなと一緒に、何かを作るのは」
その言葉に、ノエルは頷きました。
執務室に着くと、ガブリエル嬢は雲クッションに向かいます。
「今日は、すぐに眠れそうです」
彼女は、横になりました。
「ゆっくり休んでください」
ノエルは、静かに言います。
「ええ」
ガブリエル嬢は、目を閉じます。
すぐに、穏やかな寝息が聞こえてきました。
ノエルは、自分の席に座ります。
今日の準備作業を、振り返りました。
意見が分かれることも、ありました。
でも、話し合って、まとまっていく。
それは、とても大切なことです。
窓の外を見ると、星が輝き始めていました。
明日は、文化交流イベントの本番です。
きっと、素晴らしい一日になる。
ノエルは、そう信じていました。
そして、ガブリエル嬢の寝顔を見ます。
とても穏やかな表情でした。
尊い、と心の中で呟きます。
明日も、彼女と一緒に。
イベントを見て回れるでしょう。
それが、とても楽しみでした。
## あとがき
文化の違いを乗り越えて、一つのイベントを作り上げる。意見が分かれても、話し合えば道は開ける。たくさん歩いて疲れたガブリエル嬢も、可愛らしい一日でした。




