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第97話:食文化で繋がる心

雲の上の、とある穏やかな午後。

天界の庭園テラスに、たくさんのテーブルが並べられていました。


ノエルは、ガブリエル嬢と一緒に準備を手伝っています。

今日は、天界と魔界の合同お茶会でした。


「テーブルクロスは、こちらで良いでしょうか」

ノエルが、尋ねます。


「ええ、素敵です」

ガブリエル嬢は、小さく頷きました。


企画したのは、ウリエルです。

彼女が、テキパキと指示を出していました。


「お茶の準備は、こちらに」

「お菓子は、あちらのテーブルに」


その様子は、完璧なお茶会マスターでした。


「ウリエル様、お疲れ様です」

ノエルが、声をかけます。


「ノエル」

ウリエルは、少し表情を和らげました。

「ありがとう。もう少しで準備完了です」


彼女の目が、輝いています。

お茶会への情熱が、溢れていました。


「ガブリエル嬢も、ありがとうございます」

ウリエルが、丁寧にお辞儀をします。


「いえ」

ガブリエル嬢は、微笑みました。

「楽しみにしていましたから」


やがて、魔界の方々が到着しました。

ベルゼブブが、先頭を歩いています。


「こんにちは」

彼女は、上品に挨拶しました。

「素敵な会場ですね」


「ようこそ」

ウリエルが、笑顔で迎えます。

「どうぞ、おかけください」


次々と、魔界の方々が入ってきます。

アスモデウス、サタン、レヴィアタン、マモン、ベルフェゴール、ルシファー。


みんな、何か持ってきていました。


「これ、魔界のお菓子です」

ベルゼブブが、箱を差し出します。

「有機栽培の材料で作りました」


「まあ」

ウリエルの目が、さらに輝きました。

「ありがとうございます」


箱を開けると、色とりどりのお菓子が並んでいます。

見た目も、とても綺麗でした。


「こちらは、天界の雲菓子です」

ガブリエル嬢が、自分の箱を開きます。


ふわふわとした、白いお菓子でした。

光を含んだような、不思議な輝きがあります。


「そして、光蜜水も」

ノエルが、瓶を持ってきました。


「わあ」

レヴィアタンが、感嘆の声を上げます。

「綺麗ですね」


光蜜水が、優しく光っています。


全員が席についたとき、ウリエルが立ち上がりました。


「では、お茶会を始めます」

彼女は、丁寧にお茶を注ぎ始めます。


その手つきは、正確で美しい。

まるで、芸術作品を作るようでした。


「ウリエル様のお茶は、本当に美味しいです」

サリエルが、嬉しそうに言います。


「ありがとうございます」

ウリエルは、少し照れたように微笑みました。


お茶が配られると、次はお菓子です。


「では、まず天界の雲菓子から」

ウリエルが、勧めます。


みんなが、小さな雲菓子を手に取りました。

口に入れると、ふわりと溶けていきます。


「美味しい」

サタンが、穏やかに言いました。

「優しい甘さですね」


「ありがとうございます」

ガブリエル嬢は、嬉しそうです。


次は、魔界のお菓子を試します。


「こちらは、ナッツを使いました」

ベルゼブブが、説明します。

「体に良い素材だけです」


ノエルが、一つ食べてみました。

香ばしくて、ほんのり甘い。


「美味しいです」

ノエルは、素直に言います。


「そう言っていただけると」

ベルゼブブは、満足そうに微笑みました。


テーブルの端で、ガブリエル嬢とベルゼブブが並んでいます。

二人とも、小さなお菓子を一つずつ、ゆっくり食べていました。


「やっぱり、少しで十分ですね」

ベルゼブブが、小さく言います。


「ええ」

ガブリエル嬢は、頷きました。

「たくさんは、疲れてしまいますから」


二人の前には、まだお菓子がたくさん残っています。

でも、それで良いのです。


「少食同士ですね」

ベルゼブブが、楽しそうに言いました。


「そうですね」

ガブリエル嬢も、微笑みます。


ノエルは、その様子を見ていました。

二人とも、とても優雅です。


尊い、と思いました。


反対側では、マモンが大きなお菓子を配っていました。


「みんなで分けましょう」

彼女は、気前よく配ります。

「遠慮しないでくださいね」


「マモン様は、本当に気前が良いです」

パヌエルが、嬉しそうに受け取ります。


「独り占めなんて、良くないですから」

マモンは、満足そうでした。


その隣では、サリエルが少し困った顔をしています。


「でも、配る順番が」

彼女は、真面目に言いました。

「もう少し、規則正しく」


「堅苦しいことは、気にしないで」

マモンが、笑います。


「でも」

サリエルは、まだ気になるようです。


ノエルは、微笑ましく見ていました。

いつもの二人です。


アスモデウスとサリエルが、少し離れた席で話していました。


「このお茶、素晴らしいですね」

アスモデウスが、感心します。

「純粋な味わいです」


「本当ですね」

サリエルは、頷きます。

「ウリエル様の技術は、完璧です」


二人とも、お茶を大切そうに飲んでいました。

その様子が、とても真面目で微笑ましい。


ミカエルとレヴィアタンも、隣同士に座っています。


「このお菓子、美味しいですね」

レヴィアタンが、嬉しそうに言いました。


「ああ」

ミカエルは、少し照れたように答えます。

「まあ、悪くはない」


「ミカエルさんは、どれがお好きですか」

レヴィアタンが、興味深そうに尋ねます。


「私は、その」

ミカエルが、言葉に詰まりました。

「甘いものは、あまり」


「そうなんですか」

レヴィアタンは、少し残念そうです。


でも、すぐに明るくなりました。


「でも、ミカエルさんと一緒にお茶できて嬉しいです」


その言葉に、ミカエルの顔が少し赤くなります。


ノエルは、そっと視線を外しました。

邪魔しては、いけません。


ラファエルとサタンは、穏やかに話していました。


「平和ですね」

サタンが、しみじみと言います。


「ええ」

ラファエルは、微笑みます。

「こうして、みんなでお茶を飲める」

「素晴らしいことです」


二人の間に、温かい空気が流れていました。


ベルフェゴールは、お菓子を次々と試していました。


「美味しい!」

彼女は、元気に言います。

「作った人の努力が、伝わってきます」


「ありがとうございます」

ウリエルは、嬉しそうでした。


ルシファーは、控えめにお茶を飲んでいます。


「私なんかが、こんな素敵なお茶会に」

彼は、謙虚に言いました。


「何を言っているのですか」

ラグエルが、優しく笑います。

「みんな、仲間ですよ」


「そうですか」

ルシファーは、少し安心したようでした。


お茶会は、和やかに続いていきます。


ノエルは、ガブリエル嬢の隣に座りました。


「楽しいですね」

彼は、小さく言います。


「ええ」

ガブリエル嬢は、微笑みました。

「こういう時間が、一番大切です」


彼女は、光蜜水を一口飲みます。

その仕草が、とても優雅でした。


「ノエルも、食べてくださいね」

ガブリエル嬢が、雲菓子を勧めます。


「ありがとうございます」

ノエルは、それを受け取りました。


口に入れると、ふわりと溶けます。

優しい甘さが、広がりました。


「美味しいです」


「そう言ってもらえると」

ガブリエル嬢は、嬉しそうです。


二人で、静かにお茶を飲みます。

周りの楽しそうな声が、心地よく響いていました。


「文化は違っても」

ガブリエル嬢が、静かに言います。

「お茶を飲む喜びは、同じですね」


ノエルは、頷きました。

天界の雲菓子も、魔界の有機菓子も。


どちらも美味しくて、どちらも大切です。


お茶会は、午後いっぱい続きました。

たくさんの笑顔と、たくさんの会話。


やがて、夕暮れ時になります。


「そろそろ、お開きにしましょうか」

ウリエルが、名残惜しそうに言いました。


みんなが、立ち上がります。


「素晴らしいお茶会でした」

ベルゼブブが、丁寧にお辞儀をします。


「こちらこそ」

ウリエルは、満足そうでした。

「また、開きましょう」


「ぜひ」

みんなが、口々に言います。


魔界の方々が、帰っていきます。

みんな、笑顔でした。


片付けが、始まります。

ノエルも、手伝いました。


「良いお茶会でしたね」

ガブリエル嬢が、静かに言います。


「ええ」

ノエルは、頷きます。


テーブルを片付けながら、今日の光景を思い出しました。

みんなの笑顔。楽しそうな会話。


食文化は違っても、心は通じ合う。

そんな一日でした。


片付けが終わると、ガブリエル嬢は少し疲れた様子でした。


「たくさん食べて、疲れました」

彼女は、小さく言います。


「少ししか食べてませんでしたよ」

ノエルは、微笑みます。


「私には、十分でした」

ガブリエル嬢は、優しく笑いました。


執務室に戻ると、彼女は雲クッションに向かいます。


「少し、休みます」


「ゆっくり休んでください」

ノエルは、優しく言いました。


ガブリエル嬢は、目を閉じます。

すぐに、穏やかな寝息が聞こえてきました。


ノエルは、窓の外を見ます。

夕日が、雲海を染めていました。


今日のお茶会は、きっとみんなの心に残るでしょう。

そう思いながら、ノエルは静かに微笑みました。

## あとがき


天界と魔界、それぞれの味が並ぶお茶会。文化は違っても、美味しいものを分かち合う喜びは同じ。ガブリエル嬢とベルゼブブの少食コンビも、微笑ましい一日でした。

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