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第87話:効率と努力の美しい融合

天界のお茶会準備室、ノエルは初めてこの部屋に足を踏み入れました。


「お茶会の準備を、手伝っていただけますか」

ウリエルが、静かに尋ねます。


「はい、喜んで」

ノエルは、頷きました。


今日は、天界と魔界の合同お茶会です。

準備は、ウリエルが担当しています。そして、魔界からベルフェゴールが手伝いに来ていました。


「頑張りましょう!」

ベルフェゴールが、元気に言います。


部屋には、様々な道具が整然と並んでいます。

茶器、茶葉、お菓子の材料——全てが、丁寧に配置されていました。


「まず、お茶の準備から」

ウリエルが、説明を始めます。

「この茶葉は、最高級品です」


その声に、誇りがありました。


ノエルは、茶葉を見ます。

深い緑色で、良い香りがしました。


「お茶の淹れ方は、温度と時間が重要です」

ウリエルが、丁寧に教えてくれます。

「七十度で、三分間」


その知識が、専門的でした。


「私も、勉強になります」

ベルフェゴールが、メモを取っています。

「努力で、覚えます」


二人の姿勢が、真剣でした。


ノエルも、一緒に作業します。

お湯の温度を測り、時間を計る——細かな作業ですが、大切なことです。


「次は、お菓子の準備」

ウリエルが、材料を並べます。


たくさんの材料が、テーブルに並びました。

小麦粉、砂糖、バター——どれも、上質なものです。


「お菓子作りは、正確さが命です」

ウリエルが、言います。

「分量を、きちんと守ります」


計量が、始まりました。

グラム単位で、正確に測っていきます。


「すごく丁寧ですね」

ノエルは、率直に言います。


「完璧なお茶会にしたいですから」

ウリエルが、微笑みました。


ベルフェゴールも、作業に加わります。

彼女の手が、素早く動きました。材料を混ぜ、生地を作る——その手際が、見事です。


「効率的に、確実に」

ベルフェゴールが、呟きます。

「それが、仕事の基本です」


ノエルは、二人の違いに気づきました。

ウリエルは、完璧さを追求しています。一つ一つの工程を、丁寧に確認しながら進めていきます。


ベルフェゴールは、効率を重視していました。

無駄のない動きで、どんどん作業を進めています。


でも、どちらも質は落としていません。

完璧と効率——両方を、達成しているのです。


「お二人とも、すごいですね」

ノエルは、感心しました。


「ありがとうございます」

ウリエルが、頷きます。


「努力の成果です」

ベルフェゴールが、嬉しそうに言います。


お菓子が、オーブンに入りました。

焼き上がるまで、少し時間があります。


三人は、休憩を取りました。


「お二人は、昔から仲が良かったのですか」

ノエルは、尋ねます。


「いえ」

ウリエルが、首を振ります。

「昔は、敵でした」


また、その話でした。

ノエルは、真剣に聞きます。


「戦争の時、何度も戦いました」

ウリエルが、静かに言います。

「審判の炎と、怠惰の力——相性が、悪かったのです」


「私の力は、相手の動きを止めるもの」

ベルフェゴールが、説明します。

「でも、ウリエルさんの炎は、止められなかった」


二人の戦いが、激しかったのでしょう。

相性の問題——それが、戦いを長引かせたのです。


「でも」

ウリエルが、続けます。

「戦いの中で、気づいたのです」


「何にですか」

ノエルは、前のめりになります。


「お互いの完璧主義に」

ウリエルが、微笑みました。


「私は、努力で完璧を目指していました」

ベルフェゴールが、言います。

「ウリエルさんは、知識で完璧を追求していました」


方法は違っても、目指すものは同じでした。

完璧——それが、二人の共通点だったのです。


「戦争が終わって、お茶会で再会しました」

ウリエルが、懐かしそうに言います。

「お菓子作りの話になって」


「意気投合しました」

ベルフェゴールが、嬉しそうに頷きます。


それから、二人は協力するようになったのだそうです。

ウリエルの知識と、ベルフェゴールの努力——組み合わせると、最高のお茶会ができるのだと。


「今では、良い作業相手です」

ウリエルが、ベルフェゴールを見ます。


「私も、そう思います」

ベルフェゴールが、微笑みました。


オーブンから、良い香りが漂ってきます。

お菓子が、焼き上がったようです。


「見てみましょう」

ウリエルが、立ち上がります。


オーブンを開けると、美しく焼けたお菓子がありました。

完璧な焼き色です。


「素晴らしい」

ノエルは、思わず声を出します。


「二人で作ると、失敗しません」

ウリエルが、満足そうに言います。


「お互いの良いところを、組み合わせていますから」

ベルフェゴールが、付け加えました。


ノエルは、理解しました。

相反する価値観——それが、補い合うこともあるのだと。完璧主義と努力主義。知識と実践。組み合わせると、もっと良いものが生まれるのです。


お菓子を盛り付けます。

ノエルも、手伝いました。丁寧に、美しく——二人の指導を受けながら、作業を進めます。


「ノエルさんも、上手ですね」

ベルフェゴールが、褒めてくれます。


「ありがとうございます」

ノエルは、嬉しくなりました。


準備が、完了しました。

お茶も、お菓子も、完璧に整っています。


「良いお茶会になりそうです」

ウリエルが、満足そうに微笑みます。


「はい」

ベルフェゴールが、頷きます。

「頑張りました」


ノエルは、思いました。

かつての敵が、今は最高のパートナー——そんな関係が、ここにもあるのだと。


違いは、強みになる。

対立ではなく、協力の材料になる。それを、二人が証明しているのです。


窓の外では、雲がゆっくりと流れています。

お茶会の時間が、近づいていました。


効率と努力の美しい融合——。

その姿が、ノエルに新しい視点を与えてくれました。


天界の午後は、穏やかに過ぎていきます。

## あとがき


異なる価値観が、補い合って美しい調和を生む。完璧主義と努力主義が融合した時、最高のお茶会が生まれました。違いは、強みになる。次の物語でも、新しい絆を知ります。

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