表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/100

第48話:隠れた才能の発見

雲の上の、とある午前。


執務室では、複雑な神託の記録作業が行われていました。

ガブリエル嬢が受信した神託を、書面に残す作業です。


「ノエル、これをお願い」


ガブリエル嬢から、神託の内容が伝えられます。

ノエルはペンを持って、書き取り始めました。


神託の内容は、いつもより複雑でした。

多くの数字、固有名詞、細かい指示。

それらが入り混じった、長い文章です。


ノエルは黙々と書き続けます。

ガブリエル嬢の言葉を、一つ一つ正確に記録していきました。


しばらくして、記録が終わりました。


「できました」


ノエルが書類を差し出すと、ガブリエル嬢が確認します。

内容を丁寧に読んでいきました。


「あら」


ガブリエル嬢が、小さく声を上げます。


「どうかしましたか?」

「いえ、完璧よ」


その言葉に、ノエルは少しほっとしました。


「一字一句、正確に書き取れているわ」

「そうですか」

「しかも、早い」


ガブリエル嬢が、改めてノエルを見ます。


「あなた、記憶力が良いのね」


その指摘に、ノエルは首をかしげました。


「そうでしょうか?」

「ええ。普通、これだけ複雑な内容を一度で正確に記録するのは難しいわ」


ガブリエル嬢の言葉に、ノエルは少し驚きます。

自分では、普通にやっただけだと思っていました。


「特別なことはしていませんが……」

「でも、できているわ」


ガブリエル嬢が微笑みます。


「これは、才能ね」


才能――。


その言葉が、ノエルの心に響きました。


午後になって、ミカエルが執務室を訪れました。

別の神託の記録について、確認に来たのです。


「この記録、誰が書いたんだ?」


ミカエルが書類を手に、尋ねてきます。


「ノエルです」


ガブリエル嬢が答えました。


「ノエルか」


ミカエルが、ノエルを見ます。


「正確だな。複雑な内容なのに、間違いがない」

「あ、ありがとうございます」


ノエルは、少し照れながら答えました。


「記憶力が良いのか?」

「そうらしいです。今日、ガブリエル嬢に言われて」


ミカエルが頷きます。


「なるほど。これは貴重な才能だ」

「そうですか?」

「ああ。神託の記録は重要な仕事だからな」


ミカエルの言葉に、ノエルは嬉しくなりました。


「これからも、頼むぞ」

「はい」


ミカエルが執務室を出ていった後、ノエルは考えていました。


自分の才能――。


今まで、特別なことができるとは思っていませんでした。

でも、記憶力が良いというのは、確かに役に立つようです。


「ノエル」


ガブリエル嬢が声をかけてきました。


「はい」

「あなたの才能、もっと活かせそうね」


その言葉に、ノエルは首をかしげます。


「どういうことですか?」

「今後、複雑な神託があったら、あなたに任せるわ」


ガブリエル嬢の言葉に、ノエルは少し緊張しました。


「僕で、大丈夫でしょうか」

「大丈夫よ。あなたならできるから」


その信頼の言葉が、ノエルの背中を押してくれます。


「わかりました。頑張ります」


翌日、また複雑な神託の記録がありました。


今度は、もっと長い内容です。

ガブリエル嬢が神託を伝え、ノエルが記録します。


集中して、一言一句を正確に覚えていきました。

頭の中で、内容を整理しながら。


「終わりよ」


ガブリエル嬢の言葉に、ノエルは書き始めます。

記憶した内容を、正確に書き出していきました。


しばらくして、完成しました。


「できました」


ガブリエル嬢が確認すると、また感心したような表情を見せます。


「完璧ね。本当に、才能があるわ」


その言葉に、ノエルは嬉しくなりました。

自分にも、できることがある。


それが、とても嬉しいことでした。


昼休みになって、ラファエル師匠に会いました。


「師匠、聞いてください」


ノエルは、自分の才能のことを話しました。

師匠は、嬉しそうに聞いています。


「それは良かったですね」

「自分にも、役に立てることがあるんだって」


ノエルの言葉に、師匠が微笑みました。


「もちろんです。みんな、それぞれに良いところがありますから」

「そうなんですね」


師匠の言葉が、心に沁みます。


「これからも、その才能を活かしてください」

「はい」


師匠との会話を終えて、ノエルは執務室に戻りました。


自分の才能を見つけてもらえた。

それは、大きな自信につながります。


ガブリエル嬢が、書類を整理していました。


「お帰りなさい」

「ただいま戻りました」


挨拶を交わして、ノエルも自分の席につきます。


「ノエル、ありがとう」


突然、ガブリエル嬢が言いました。


「え?」

「あなたの才能のおかげで、仕事がスムーズになったわ」


その言葉に、ノエルは照れながら答えます。


「いえ、僕が役に立てて良かったです」


本当に、そう思っていました。

自分の才能で、誰かの役に立てる。


それは、とても良いことです。


夕方、ウリエルが執務室を訪れました。


「ノエル、あなたの記録を見せてもらったわ」

「はい」

「素晴らしい正確さね」


ウリエルの言葉に、ノエルはまた嬉しくなります。


「これからも、その才能を大切にして」

「ありがとうございます」


みんなから認めてもらえる。

それが、ノエルには嬉しいことでした。


自室に戻って、日記を書きます。


「自分の才能を見つけてもらった。記憶力が良いらしい。みんなが認めてくれて、嬉しかった。これからも、この才能を活かしたい」


そう書きながら、ノエルは満足していました。


窓の外を見ると、星が輝いています。

美しい夜空でした。


自分にも、できることがある。

人の役に立てることがある。


それを知ることができた、良い一日でした。


雲の上の夜は静かに更けていきます。

ノエルの心には、自信と喜びがありました。


明日も、頑張ろう。

自分の才能を活かして。


そう思いながら、ノエルは眠りについたのでした。

## あとがき


誰にでも、隠れた才能があるものですね。それを見つけてもらえた時の喜びは、大きな自信につながります。ノエルも自分の良いところに気づけた、大切な一日になったようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ