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第47話:夕暮れに共有する平和

雲の上の、とある夕暮れ。


その日の業務は、早めに終わりました。

ノエルが書類を片付けていると、ガブリエル嬢が声をかけてきます。


「ノエル、少し外に出ない?」

「え?」

「夕焼けが綺麗よ」


その言葉に、ノエルは窓の外を見ました。

確かに、空が赤く染まり始めています。


「はい、行きましょう」


二人で執務室を出ました。


天界の展望台に向かいます。

そこからは、雲海全体を見渡すことができました。


展望台に着くと、美しい光景が広がっていました。


夕日が雲海を赤く染めています。

オレンジと赤とピンクが混じり合って、空全体が輝いていました。


「綺麗ですね」


ノエルのつぶやきに、ガブリエル嬢が頷きます。


「ええ」


二人は並んで、手すりに寄りかかりました。

静かに、夕焼けを眺めます。


風が、そっと吹き抜けていきました。

心地よい温度の風です。


「こんな時間も、良いものね」


ガブリエル嬢が、ぽつりと言います。


「はい」


ノエルも同意しました。


仕事を終えて、静かに夕焼けを見る。

ただそれだけの時間でしたが、何だか良い気分です。


「ノエルは、夕焼けは好き?」


ガブリエル嬢の問いかけに、ノエルは考えました。


「好きです。一日が終わる感じがして」

「そうね。落ち着くわ」


二人の会話は、ゆっくりとしたものでした。

急ぐ必要もなく、ただ穏やかに言葉を交わします。


雲海に映る夕日が、キラキラと輝いていました。

その光が、二人の顔も優しく照らします。


「平和ね」


ガブリエル嬢が、また小さく言いました。


「はい」


ノエルは頷きます。


平和――。


確かに、今この瞬間は平和そのものでした。

何の心配もなく、ただ美しい景色を眺めている。


「こういう時間が、ずっと続けば良いのに」


ガブリエル嬢のつぶやきに、ノエルは少し驚きました。


「ガブリエル嬢も、そう思いますか?」

「ええ。平和な時間は、とても貴重だから」


その言葉には、何か深い意味があるように感じられます。

でも、ノエルには詳しくはわかりません。


「僕も、そう思います」


素直にそう答えました。


夕日が、徐々に沈んでいきます。

空の色が、少しずつ変わっていきました。


二人は黙って、その変化を見つめています。


言葉を交わさなくても、心地よい時間でした。

隣にガブリエル嬢がいる。

それだけで、安心できます。


「ノエル」

「はい」

「こうして、一緒に夕焼けを見られて嬉しいわ」


ガブリエル嬢の言葉に、ノエルは少し照れました。


「僕も、嬉しいです」


正直な気持ちでした。


夕日が、雲海の向こうに沈んでいきます。

最後の光が、空を染めていました。


「綺麗だな……」


ノエルのつぶやきが、風に乗って消えていきます。


「本当にね」


ガブリエル嬢も、そっと答えました。


やがて、夕日は完全に沈みました。

空が、紫色に染まり始めています。


「そろそろ、戻りましょうか」


ガブリエル嬢の言葉に、ノエルは頷きました。


「はい」


二人で展望台を後にします。

帰り道、ノエルは今の時間を思い返していました。


ガブリエル嬢と並んで、夕焼けを見た。

ただそれだけのことでしたが、何だかとても良い時間でした。


平和な時間――。


確かに、あの時間は平和そのものでした。

何も考えず、ただ景色を眺めている。


それが、こんなに心地よいものだとは。


執務室に戻ると、すっかり暗くなっていました。

明かりをつけて、最後の片付けをします。


「今日は、ありがとう」


ガブリエル嬢が言いました。


「え?」

「一緒に夕焼けを見てくれて」


その言葉に、ノエルは首を振ります。


「いえ、僕こそ」


お互いに微笑み合いました。


終業の時間になりました。


「では、また明日」

「はい、また明日」


挨拶を交わして、それぞれ帰路につきます。


自室に戻る道すがら、ノエルは考えていました。


今日の夕焼けのこと。

ガブリエル嬢と一緒に見たこと。

あの静かな時間のこと。


「良い時間だったな」


そうつぶやきます。


平和な時間を、誰かと共有する。

それは、とても良いことなのでしょう。


特に、ガブリエル嬢と一緒だと――。


ノエルは首を振りました。

いえ、誰と見ても良いものは良いはずです。


自室に着いて、窓を開けました。

夜空には、星が輝き始めています。


「明日も、平和だと良いな」


そう思いながら、ノエルは部屋に入りました。


日記を開いて、今日のことを書きます。


「ガブリエル嬢と夕焼けを見た。綺麗だった。平和な時間を共有できて、良かった」


シンプルな文章でしたが、気持ちは込められています。


ペンを置いて、ノエルは窓の外を見ました。

星空が、とても美しく見えます。


明日も、こんな平和な日だと良い。

そう願いながら、ノエルは穏やかな気持ちになっていました。


平和な時間の大切さ。

それを、少し理解できた気がします。


雲の上の夜は静かに更けていきます。

ノエルの心には、穏やかな満足感がありました。


ベッドに入って、目を閉じます。

今日の夕焼けの光景が、まぶたの裏に浮かんできました。


またあんな時間があれば、良いな。

そう思いながら、ノエルは眠りについたのでした。

## あとがき


静かに景色を眺める時間には、特別な安らぎがありますね。言葉を交わさなくても、心が通じ合う瞬間。平和な時間を共有することの尊さを、二人は感じ取ったようです。

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