93 大陸統一
それからの話をする。
ボンバーロックの駆除を終えた私たちは、シュルト山に帰還した。
そして1ヶ月後、カイン皇子がやって来た。
「帝国の現状について説明いたします。まず第一皇子、第二皇子、第三皇子が揃って皇位継承権を放棄しました。理由は察してください」
「それってもしかして・・・」
「棚ぼたもいいところで、私が皇太子となってしまいました・・・」
一同が絶句する。
「それでこれからは、皇太子として交渉をさせていただきたいのですが・・・」
カイン皇子の提案はこうだった。
まず、今回の件はすべてなかったことにする。実際、戦闘は起こっていない。帝国は国境沿いで偶々軍事演習をしていただけで、こちらは偶々国境沿いにダンジョンが発見され、冒険者が多く集まった。そして偶然、ボンバーロックが大量発生し、演習中に被害に遭った帝国軍部隊をこれまた偶々、駆除依頼を受けていた私たちが助けたという話にしてほしいとのことだった。
「当然、ただでとは言いませんよ。最大限そちらの要求を呑みますし、何なら小国家群連合に加盟してもいい」
チャールズが言う。
「いい話だと思いますが、少し検討させてください」
検討の結果、この話は受けることになった。
多少、ライダース帝国が小国家群連合に加盟することに難色を示す国や都市もあったが、カイン皇子が粘り強く説得を続け、最終的には全会一致で加盟が認められた。
それで小国家群連合から国家連合会議に名称を変更したようだ。
報告書を読みながら、私は呟く。
「これでよかったのよね・・・まあ、私にはあまり関係はないようだけど・・・」
私の独り言を聞いていたチャールズが言う。
「そんなことはありませんよ。だってアオイ殿は議長ですからね」
議長?
「国家連合会議の最高責任者です。因みに副議長はクルミ殿とアベル皇子です」
「えっと・・・言っている意味が・・・」
「まあ心配はしないでください。基本的には特にしていただくことはありません。定例会議への出席くらいですかね。かなり切迫した事態になれば別ですが。まあ、帝国がこちらの陣営に加わったことで、そんな問題も起きないでしょうけど」
それって、フラグじゃないのか・・・
★★★
運よく、世界平和に貢献した私だが、特に以前と業務内容は変わらない。
普通の冒険者と同じように依頼をこなし、偶に開催される各種会議に聖女として出席するだけだ。会議に出席しても、薄っぺらくそれっぽい話をするだけだけどね。
最近は会議の居眠り対策として、眠くなったら「鋼鉄化」することにしている。
眼は開いているし、微動だにしないので、逆に尊敬される。こんな所でスキルが生かされるなんて、人生何があるか分からない。
今日も国家連合会議の定例会に出席している。
壇上では、クルミが一生懸命に演説をしている。彼女も彼女で努力しているようだ。スキルは教えられないけど、人前でスピーチするコツくらいは教えてあげることができた。それが元で、クルミとは更に仲良くなった。
「・・・我がレイア教会は改革に取り組んでいます。皆さんのご支援を引き続きよろしくお願いします」
壇上から降りて来たクルミに声を掛ける。
「よかったわよ。堂々としていて、頼もしかったわ」
「ありがとうございます。これもアオイさんのお蔭ですよ」
「そんなことないわ。クルミの努力の賜物よ」
「そう言ってもらえるとうれしいです。でもこの後の晩餐会は苦手なんですよね・・・フリートークはまだまだ緊張しますし・・・」
「ニコニコしていればいいのよ。後は聖女設定だから「神のご加護が・・・」って適当に言っておけば」
クルミがかなり引いている。
「多分、それがアオイさんが勘違いされている原因だと思います・・・」
それは自分でも分かっている。
ただ、もう後戻りはできないんだよね。
そんな感じで、世界が少し平和になったくらいで、特に私の生活は変わっていないのであった。
でも、何か忘れているような気が・・・
気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!
次回から最終章となります。




