76 最強のドラゴン 3
ルージュとフェルス、二匹のドラゴンは眠ったままだ。
日が暮れ、夜になる。
ミウが聞いてくる。
「これからどうするのニャ?」
「そうね・・・ここで一泊するしかないわね・・・」
ダクラが言う。
「幸い、ボンバーロックを駆除したから、安心して眠れそうだ」
結局朝になっても、ルージュたちは起きなかった。
私が起きると、ノーリが声を掛けて来た。
「朝食の準備が整っているッス。こんなこともあろうかと、トールがキノコを採って来てくれたッス」
そういえば、いい匂いがしていた。
「キノコスープとオムレツを用意したッス。今回の依頼で、私たちは何もしていなかったので、せめて、料理でもと思って、暗いうちから用意したッス」
話を聞くと、ライトルのライトボールを活用して、暗い内から料理をしたようだった。
ハーフエルフのリリィが言う。
「私も調査を終えています。間違いなく世界樹が育つ環境です。どうにかあのドラゴンを説得して、ここで、世界樹を育てたいのですが・・・」
サポーターズの面々は、私たちと違って、みんな何かしら仕事をしていたようだった。
そんな会話をしているところに、呑気なドラゴンが起きてきた。
「いい匂いがしたから、起きて来たぞ。旨そうじゃ」
「朝ごはんも食べていいの?」
子犬サイズになると、フェルスもルージュと同じく可愛い。
いつの間にか、違和感なく、私たちと馴染んでいる。今も美味しそうにご飯を食べている。
「フェルス、スープにパンを着けて食べると、美味しいニャ」
「そうなんだ。あっ!!これは美味しい」
ミウなんて、もうペット扱いだ。
「ふう・・・旨かったぞ。ノーリたち、褒めて遣わす。食べ過ぎたので、寝ることにする」
「僕も、寝るよ」
おい!!ちょっと待て!!
「ルージュ、フェルス!!話し合いをしなくちゃ。寝るのはその後よ」
「話し合いよりも、妾は寝たいのじゃが・・・」
「話し合いが終らないと、帰れないし。帰れなかったら、温泉にも入れないわよ」
「それは困る。フェルスよ、今後について、話し合うぞ」
どうにか、話し合いが始まった。
「フェルスよ、なぜこんな所におるのじゃ?」
「それは、竜王選に出ろって言われて、仕方なく修行に出されたんだよ。だから、魔素が豊富にあって、人が誰も来ないような所で、ゴロゴロしていたんだ。竜王選が始まるまで、ここで隠れているつもりだったんだよ。僕は別に竜王選に出たいわけじゃないからね」
竜王選?
ああ・・・竜王を決める儀式のことか・・・
「何を言っておる!!同世代最強のフェルスが竜王選に出なくて、誰が出るのじゃ?」
「今だから言うけど、僕は決して強くはないんだ。素早く動けないし、力も強くない。それにブレスも上手く吐けないし、飛ぶのもあまり得意じゃない。ただ、凄く硬くなることができるだけなんだよ」
それって、私と同じ能力なんじゃないのか?
「もしかして、「鋼鉄化」のスキルを使っているの?」
「ちょっと違うかな。僕のは「硬質化」だね。もしかして、お姉さんも同じ能力が使えるの?」
「多分、そうだと思う。だから、勝負がつかなかったんだよね」
これで謎が解けた。
「それで、妾は勝てなんだのじゃな・・・」
「僕は勝ったつもりはないんだ。ドラゴンはルージュみたいに戦いが好きな奴が多いからね。僕の話を聞いてくれずにいきなり、攻撃してくる奴ばかりだったんだよ。みんな自滅したけど」
フェルスの謎が解けたところで、私は今後の話をした。
「私たちは、ここに世界樹を植えたいのよ。協力してくれたら嬉しいけど」
「そうなると、人間がいっぱい来るんだよね?だったら嫌だよ。人間は怖いし・・・」
私は、少し考えて提案をした。
「人間は悪い奴ばかりじゃないわよ。いい人もいるし、美味しい料理もあるわ。一度、私たちの町に来てみて、それからでも遅くないと思うんだけど」
ルージュが言う。
「そうすればいいのじゃ。温泉もあるし、いい所じゃ。ちょっとした仕事をするだけで、快適な生活が送れるぞ」
「どうしようかなあ・・・」
フェルスは迷っている。後一押しだ。
「そういえば、オープン前の温泉施設があったわよね?そこなら、人も少ないし、いいと思うんだけど」
最近新たに温泉が発見された。
そこに新しく温泉施設をオープンする予定なのだが、8割方完成していて、今はスタッフの研修や最後の調整を行っている。
「それはいい。妾もオープンを楽しみにしておったのじゃ。フェルスよ、参るぞ」
「まあ、試しに行くだけ、行ってみるよ」
こうして、なんとかフェルスを山頂から連れ出すことに成功したのだった。
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