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14 指名依頼 2

 またまた指名依頼が入った。

 今度は、領主様直々の依頼だそうだ。


 冒険者ギルドを訪れると、すぐにギルマスルームに案内され、ギルマスのジャンヌさんから説明を受ける。


「貴殿らにやってもらいたいのは、キラービーの討伐だ」


 キラービーというのは、蜂型の子犬サイズの魔物だ。

 かなり狂暴で、単体では大したことはないが、数が多く、危険な魔物として有名だ。


「それと場所だが、少々特殊な場所なのだ。私が直々に案内しよう」



 そして、案内されたのは郊外の高原だった。

 一面に花畑が広がっていて、凄く幻想的な風景だ。


「きれい・・・」

「ほんとだニャ」

「いい景色だ」


 私たち三人が景色に見とれていると、大きな羽音がした。

 振り向くとそこには子犬サイズの大きな蜂が飛んで来ている。ミウとダクラが戦闘体制に入り、私はというと、固まってしまった。もちろん、スキルを使ってだ。

 ジャンヌさんが叫ぶ。


「ちょっと待って!!キラービーじゃない!!ハニービーだ。危険はないので、大丈夫だ」


 二人は戦闘体制を解く。私はまだ固まったままだけど。


 ジャンヌさんが説明をしてくれる。


「ここはクロフォード伯爵領直轄の養蜂場だ。このハニービーを使って、ハチミツを生産している。君たちに指名依頼を出したのにも、そこに理由があるんだ」


 詳しく聞くと、キラービーを討伐するだけなら、一般の冒険者や領兵を集めれば、不可能ではないそうだ。ただ、大規模な作戦になると花畑に大きな被害が出るし、養蜂事業にも大きな影響が出ることから、私たちに指名依頼を出したようだ。


「詳しいことは、この養蜂場の責任者と一緒に話そう」


 ジャンヌさんに養蜂場の責任者を紹介される。

 責任者はファーラさんという若い女性で、「テイマー」のジョブ持ちだ。


「わざわざ来ていただきありがとうございます。詳しくは私のほうから説明させていただきます」


 この付近の集落は、養蜂事業で成り立っているそうだ。

 そして、「テイマー」のジョブ持ちがハニービーをテイムし、養蜂事業をしている。ハニービーは大人しく、知能も高いので、もう何百年も同じようなやり方を続けてきているという。しかし、3ヶ月程前から急にキラービーが出現した。


「キラービーはハニービーの天敵で、かなり狂暴です。注意して見ないと見分けがつきにくいのですが、全く別の魔物なのです。キラービーは戦闘力が高く、ハニービーでは太刀打ちできません。大規模な魔法なんかを使えば、キラービーは討伐できるでしょうが、そうなると花畑やハニービーも全滅してしまいます。かといって、このままでは養蜂場は続けられませんし・・・」


 かなり深刻な状況のようだ。

 ジャンヌさんが補足で説明をしてくれる。


「キラービーは危険な魔物だ。少数の冒険者で討伐は無理だ。だから、君たちにお願いしたわけだ。作戦も考えてあるしな」


 作戦を聞いて、びっくりした。

 最近、いつも私はこんな役回りだ。



 ★★★


 作戦が決行される。

 まず私がしたことは、ハニービーと触れ合うことだった。


「どうです?可愛いでしょ?ハニービーはそれぞれ個性があって、このビーちゃんはみんなのリーダー的な存在なんですよ。そしてこっちのビーナちゃんは・・・」


 ファーラさんから、ハニービー愛が伝わってくるが、虫が苦手な私にしてみたら、苦痛でしかない。


 結局、何をするかというと私にハニービーの匂いを付け、キラービーをおびき出す。そして、そこをミウとダクラが遠距離から攻撃して、仕留めるというものだった。


 こんな作戦、私以外にできないよね・・・


 匂いがある程度ついたら、本格的に作戦開始となる。

 私は、キラービーが良く出没する森に近い花畑をうろつく。30分くらいして、小型犬サイズの蜂の大群が現れた。ハニービーによく似ているが、目が赤く光っていて、「カチカチ」と顎を鳴らす様子は、如何にも狂暴そうだ。

 すぐに「鋼鉄化」のスキルを発動させる。


 10匹くらいが私に群がって来て、お尻の針で私を突き刺してくる。

 まあ、刺さることはないんだけどね。因みにこの針には毒があって、すぐに解毒治療をしないと死に至るレベルらしい。


 すぐに、矢と魔法が飛んで来た。

 ミウの魔法が何度か私に当たったけど、もう慣れたから何も感じない。あっという間に討伐されてしまった。


「あっけないニャ。これで依頼は達成だニャ」

「今回は楽だったな」


 ジャンヌさんが言う。


「油断するな!!本番はここからだ。次々に増援部隊が来るぞ。私たちは隠れて待機だ」


 私を残し、三人は離れた位置に退避した。

 しばらくして、今度は30匹くらいのキラービーがやって来た。私に群がって来る。それにさっきよりも興奮している。というのも、私の周りにはキラービーの死体が散乱しているからだ。彼らが怒ったところで、状況は同じだ。あっという間に討伐される。

 そんなことを繰り返した。



 3回同じことをしたところで、異変が起きた。

 もうキラービーがやって来なくなった。


「これで依頼達成だニャ」


 ジャンヌさんが言う。


「そう思いたいが、そうもいかない。キラービーの女王を倒さないかぎりは、いくら末端のキラービーを討伐したところで、キラービーを駆逐することはできない」

「だったらどうするのニャ?」

「私に考えがある・・・」


 また、嫌な予感しかしない・・・

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