プロローグ
初投稿です!
よろしくお願いします!
平日の昼下がり、僕は学校をサボって雑居ビルの屋上に来ていた。
「これくらいの高さなら死ねるかな。」
そう、僕はここで今から死ぬ。飛び降りという手段を用いて。
そのために僕はここへ来たんだ。確実にこの任務を遂行してみせる。
「よいしょっと。」
僕は一歩ずつ歩みを進めて、屋上の縁に設置されたフェンスに辿り着き、腰くらいの高さのそれを跨ぎ越えた。
屋上の縁に立って眼下に広がる景色を眺める。これが、僕が目にする最後の眺望だ。
「すー、ふうー」
僕は瞼を閉じて大きく深呼吸した。今日まで生きてきた世界の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
「すー、ふうー」
まだ足りない。今度は瞼を上げて深呼吸をした。次は、味わうように空気を吸い込んだ。
さっと肌を撫でるような柔らかな風が吹いてきた。これは、神様が僕の人生の終わりを名残惜しく感じて、頬を撫でてくれたのだろうか。微かにざわざわと木々が揺れる音がする。
いや、この場面では、死神の方が適切か。きっと、冥土へのお誘いなんだろう。
「さあ。」
僕は覚悟が決まった。一度上げた瞼を再び閉じた。身体を前に倒そうとした。
その時、
「待って!」
バタンと扉が開く音がして、静寂を切り裂くように大きな声が屋上に響いた。