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虚構の覇者sheet4:Xエルフ

壇上に二人の男性と一人の女性が登壇した。

それぞれ、司会進行役のMC、主催者兼技術解説者、そしてアシスタントとしての役割を担っている。

MCは芸能プロダクションに所属するお笑い芸人で、フリップ芸と呼ばれる紙に書かれたネタを見せるスタイルをパワーポイントで披露する。IT関連にも詳しいことから、今回のイベントに呼ばれたようだ。


まずは『競技プログラミング』がどのようなものか、彼のユーモアあふれる「パワポ芸」によって笑いを交えたプレゼンが行われた。

「えー、誰も言ってくれないので自分から言いますが、『つかみはOK』ということで(笑)。それでは、このまま出場者の紹介に移ります。」

一人目の出場者がプロジェクターに映し出される。

出場者たちは簡単な自己紹介と今回の意気込みを述べていく。

そして、エルの番が来た。

エルがプロジェクターに映し出されると、会場にどよめきが広がった。


「これはまたユニークな属性の方のようですね。異世界からお越しの『(エックス)エルフ』さん、こんにちは」

「こんにちは、Xエルフです」

エントリーはニックネームでもOKということで、『Xエルフ』としたらしい。エクセルとエルフを掛け合わせたものだ。元々『エル』もアキラが付けたニックネームではあるが。

「今日は遠いところからお越しいただき、ありがとうございます」

会場から小さな笑い声が上がる。

「昨日、東京に前泊しました」

ここでも笑いが起きたが、エルにはその理由が分かっていないだろうなとアキラは思った。


最後の十六番目の出場者はAI枠の男性だった。

あくまで主役はAIということなのだろうか、彼は白い仮面を付けている。

MCの問いかけにも答えず、その不気味さを際立たせていた。

出場者の紹介が一巡すると、主催者であり技術解説者でもある人物から具体的なルール説明が始まった。


優勝賞品とも関連しているが、課題は銘酒の飲み比べアンケートを分析するマクロを作成することだ。

アンケート結果はカンマ区切りのテキストファイルとして提供される。

データには氏名、年齢、性別、居住地の都道府県、各日本酒の五段階評価が含まれており、これを基に都道府県別、世代別、性別などで人気ランキングや傾向を可視化するという内容だ。


「以上が競技の概要です。質問のある方は挙手をお願いします」

アキラは意外に思ったが、エルだけが手を挙げていた。

「はい、えー、Xエルフさん、どうぞ」

MCが促すと、プロジェクターにエルが映し出される。

「えっと…そのデータは人間のものですか?」

会場からまた笑いが起きる。

「たぶんエルフのアンケートは含まれていないと思いますが、どうでしょうか?」とMCが解説者に尋ねる。

「はは、もちろん人間のものです。ちなみに、ダミーではなく、実際に生身の人が試飲して回答したアンケートを集計した、いわゆる生データです」

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