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ターン1-6:結城一馬


 *


「リアクション宣言。カウンターマジック『リフレクションブロー』の発動を宣言。このマジック効果により。北条孝の発動した『死神のレクイエム』のカード効果の対象者を本人にする。よって、北条孝が死神のレクイエムのカード効果の宣言を受けることになる!」

「や、やめろぉっ!?」

「さぁ、リーサルだ! くらえ、死神の一撃。グリムリーパーインビテーション!!」

「うぎゃああああああああああああああ!!!!」


 カードの力によって出てきた死神が持つ大鎌の一振りが、恐慌状態に陥る北条孝に直撃する。


『LP10→0』


 今の攻撃でラストアタックとなり、北条孝のLPが0に変動して勝負が決まる。


――なんか手応えのない戦いだったなぁ……。これで名の知れた裏世界のマジシャンだって? 最弱のカモの間違いだろ?


 対戦を終えるのに10分を要してしまった。


「うぅ……許してくれぇ……」


 北条孝が悔いの言葉を残しつつ前のめりのまま地面に倒れ気絶する。


「お前の敗因はただひとつだ」


 呆れついでにため息をつきつつ、地面に伏している北条孝に対し、聞こえていないだろうと思いながらも彼に対戦者としての助言をする。


「後先考えずにコストの高いカードを使って俺を殺そうとしたからだよ。そこにスキが生まれて負けに繋がった。あと、あれだな。相手のデッキに対する対面の分析をしなかった事も敗因に直結していたかな。他にも、手札の管理も怠っていたし。それにそれに」


 思わず饒舌になり喋り続ける

 ふと、腕時計を徐に視て3分が経過している事に気づいたタイミングで。


「ふふっ、意識を失っている相手に容赦ないねー。怖いねぇ」


 俺を側で見守ってくれていたあずさが前に立ち塞がりニコニコと、こちらを下から覗いてそう話しかけてくる。


「しまった、つい何時もの癖で……」


 困り顔でどう話そうかと思考を巡らせて悩む。


「これでもう悪さなんてしないだろうし。そろそろ動くか」

「うんうん、めでたしめでたしー。という事でダーリン。対戦お疲れ様でしたー。今日もうちを守ってくれてありがとー。はい、ご褒美だよー。よいしょっ」

「おいおい」


 あずさが俺の左腕にギュッと抱きついて身を寄せてくる。

 彼女から伝わる温もりを感じながら素直に受け止めて。


「なぁ、これから近くのホロカフェでお茶でもしないか?」

「いいねぇ。うちもちょうど対戦で熱くなっちゃったから、喉乾いてたしいいね!」

「いこうか」


 対戦が終わってホッとした。

 俺は堅くなっていた表情を柔らかくし、幸せそうに笑みを浮かべる彼女を引き連れて大通りに向かって歩き出した。


「今日は夜まで返さないから覚悟しててねー」

「事前に話してた通りだろ? 終電までには帰りたいなーって言ったじゃん」

「えへっ、気が変わっちゃったの。これから沢山遊ぶでしょ? それで終電に乗れなかったらぁ、うちの家に泊まっても良いかなーって思ってる感じ。うちとダーリンは恋人の関係にあるんだから。それくらいはいいよねー」


――本当はそうは思っていないだろ。


 恋する乙女の顔で話す彼女の事を見ながら数10分遅れのデートを始めた。

 仙堂寺あずさは俺に恋をしていない。




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