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ターン5-3 偽りの彼女と恋する勇者の物語


「ルールはクラッシックマッチにしましょう。あとこちらからの要望として、ダーリンが持っている『勇者』の名前が付いたカードは使わないでね。あれ、禁止カード級の強さを誇るメンツで構成されてるから健全な対話ができないし」


――あぁ、まあそうだよな。俺も使いたくはない。


 どのみちあのカード全ては今後の魔人などの悪人に矛先を向ける。

 こういった楽しいカードゲームが出来る場所で、そんなふざけたスペックを持つカードをデッキで使ったりはしない。


「でも、あたしの聖霊龍の加護は違うカードに変わっちゃってるから。あずさの言う『勇者』のカードを入れた状態になっちゃうわよ?」

「じゃあ、それに変わるもう1枚の聖霊龍の加護を入れてみたらどうかなー」

「ええ、じゃあ。ちょっとシングルカードの購入に行ってくるわね」

「いってらっしゃーい」


 カードを買いにいく遥を見送った後に、あずさは俺に顔を向けて話しはじめる。


「さてと。あの子に聞かれるとまずい事も沢山あるし。とりあえず手短にこれまでの状況を教えて欲しいかなー」

「わかった」


 俺は今日までに起きた出来事を全て話した。


「警察と話をしてみて。結果的に俺は厳重注意処分で済んだな。まあ、証拠品は持っているから提出しろと言われたら……どう説明すればいいのかさっぱりだな……」

「となると、君がいま隠し持っている『心の支配』のカードは現状、別のカードに姿形を変えてしまったっていうことになるね」


 デッキケースに収めてるそのカードをあずさが指してくる。


「俺の新しく手にいれた勇者のカード。サポートマジックカード『勇者の心』はここにある」

「ちなみにそのカードはどんなテキストが書かれているの?」

「フレーバーテキストとマジシャンズバトルで使える効果で分けられていたな。後者はあまりにも強すぎて普通のマジックマスターズでは使えない代物だ」


――サポートマジック『勇者のブレイブ・ハート


【・剣は全ての勇者のカードが集いし時。勇者が戦いで必要とする時にその真の姿と共に顕現する】

【・このカードが手札にある限り、相手の発動する悪しき力による状態異常効果付与を無力化する】

【・このカードを発動した後に、相手の手札を見て1枚を選び、相手のデッキの中に入れてシャッフルする。その後、自分のデッキの上からカードを1枚ドローする】

【このカードは相手の効果で手札から離れない】


「手札から発動を宣言しても離れずノーコストでピーピングハンデスとドロー効果が任意のタイミングで出来ちゃう。そして持っているだけでも相手のデバフ効果を無力化するというチート級の強強クソカードだねー。果たしてこのカードを使われた相手はどんな顔をしてマジシャンズバトルをしてくれるのだろうかー」


――いや、一般のマジシャン相手に使うわけねぇよ。でないと出禁くらうぞ。


 あずさの茶化しはともかくだ。


「とりあえず。お前がわざわざ会いに来て何をしたいのかよく分かった。俺とこうして話が出来る環境が欲しかったんだろ? べつにシェルターでも話してくれたら応じたのによ」

「虫の知らせっていうのかなー。あのシェルターだけど」


 といいつつ深くため息をつくと、あずさは物悔しそうに話をつづけてくる。


「ストーカーの野郎に居場所がバレたのまた……」

「あぁ……」


 つまりあのシェルターも安全とは言い切れなくなってしまった。

 彼女の苦悩はまだ続く。


「うち、いよいよ追い詰められてる感じがする……」


 あずさは顔を机に伏して俺に表情を見せないよう落ち込む。


「誰かが告げ口をしてるとかは?」

「うちは独り身だよ? といっても仕事人間のパパがいるだけで実質接点なんてないし」


――以前に話してくれていた片親の事だな。


 会ったことはない。あずさに対して興味を持たないのか、メールのやりとりだけで家族の会話を済ませられていると彼女からはそう聞いていた。


「親にはこのこと話したか?」

「したところで返事はないよ……」

「本当に頼れる人が居ないのか……」

「ダーリンくらいしか思いつかないよ……」


――そんな不意に言われてもちょっと困るな。


 本当に守るべき人間が目の前にいるっていうのに、自分は何を戸惑っているのだろうか。


「とりあえず相手が嫌がる事をすればいいんだよ。いつもマジックマスターズでやっている感じで考えればいいんだ。相手がどう先手をうってきて、それに対する解答札をいくつ用意できるかって思考を巡らせるんだ」

「少し考えますって言って通じる相手だといいけれど無理かなー」


――思考を巡らせる事に対する拒否感を感じるな。自分から気持ちを塞ごうと考えているあたり……。


「じゃあ、今からやる遥とのマジックマスターズで答えを見つければ良いんだよ」

「なんかそれさじ投げられちゃった感じがしてていやだなー」

「まあまあ、ほら遥が戻ってきたぞ」

「後で徹底的に追求しちゃうんだからね。今日のお布団の時間は寝かせないから覚悟しなさい」

「ごめんね待たせちゃって」


 遥が声を掛けてきたので彼女たちが対面で向き合えるように席を替わった。


――果たして今日の夜はお布団で安眠の時間が過ごせるのだろうか……。


 変な胸騒ぎがしてて嫌だな。


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