表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/12

10.ただの一般成人男性の俺、誰も使えない魔法を習得する

「赤魔鬼神青魔鬼神黄魔鬼神ッ!」

「!?」


 その瞬間、地面から三色の魔法陣が現れる。そこから出てきたのは三体の鬼。それらは即座に、俺を殺そうとしていた兵士たちへと襲いかかっていく。振るわれた剣が叩き折れ、兵士五人を腕の一振りで吹き飛ばす。


「高速詠唱……だと!? 馬鹿な、貴様……どこで神の寵愛を賜った!?」

「ちげぇよ」


 寵愛? 神? そんなクソふざけた存在から貰ったような、やすい借り物の力なんかじゃねぇ。──これは、こんな俺が……唯一他人様に誇れる「滑舌の良さ」にすぎない。

 青ざめた顔をしているクソジジイに、俺は吐き捨てる。


「俺は、ただの一般成人男性だ」

「あ、ありえない……神の加護も無しに、あの呪文を噛まずに、しかもあの速度で難なく読み上げただと……!?」


 俺と、兵士共を全員始末した三体の鬼。それを見て、目の前のクソ野郎は腰を抜かしていた。震え、怯え、その場にうずくまる。


「……ごめんなしゃい……!」

「……消えろ」


 そこには威厳も何もかも、粗相とともに漏れ出ていた。俺はもう殴る価値も無いと思い、自然とクソジジイを逃した。腰が抜けているのか、赤ん坊のように地べたを這いずり回りながら逃げていく。無様で、笑えるはずなのに……俺はなんだか気分が悪かった。まるで自分があいつを虐めたような、そんな……良心から出てくる罪悪感を感じているのかもしれない。


 ──いや、そんなことよりももっと大事なことがある。


 俺は気を失った兵士たちを踏み越えながら、血溜まりの中に沈むアリスに駆け寄った。




面白かったら星やブクマをしていただけるととても嬉しいです!

ランキング目指してるもので……(懇願)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ