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ぽつんと家康  作者:


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67/80

大暑(たいしょ)

 ミササギはさじげた。あとは本物ほんものあににがんばってもらおう。


 直後に、するど殺気さっきを感じた。


 立花たちばな宗茂むねしげ本多ほんだ忠勝ただかつ。この両者がそれぞれ、相手に対して殺気さっきはなっている。そのほんの一部いちぶ周囲しゅういにまでれ出していた。


(これは洒落しゃれになりませんね)


 ミササギははだがひりつくのを感じた。先ほどまでははだそとがわだけだったのに、今回のははだうちがわもピリピリする。


 ついにはじまるのだ。次は二人とも本気だろう。


 突然とつぜん東西とうざい両雄りょうゆうあいだで、小さないかずちのようなものが十以上もはじけた。


 やりやりとがちょう高速こうそくでぶつかりっている。


 いかずちのように見えたのは、槍先やりさき槍先やりさきとが激突げきとつするたびに、その衝撃しょうげきがつくり出した副産物ふくさんぶつだ。


 武器ぶき武器ぶきまじえることによる一瞬の火花ひばな。それならミササギにもつくり出した経験ことがある。


 しかし、火花ひばながあんなふういかずちかたちになるなんて、


(二人とも本当に怪物かいぶつですね)


 今ならわかる。先ほどまでのは、ただの準備じゅんび運動うんどうだ。


 立花たちばな宗茂むねしげ片手かたてやりったまま、もう片方かたほうの手でこしかたなく。


 すると、本多ほんだ忠勝ただかつおなじことをした。


 やりかたなとが二人のあいだを、せんにもまんにもいていく。


 どちらも人間の動きを超越ちょうえつしていた。まるで二体の阿修羅あしゅらが戦っているようだ。やりかたなとが縦横じゅうおう無尽むじんあばまわっている。


 強い。


 そして、うつくしいとも思った。


 究極きゅうきょく至高しこう極限きょくげんまできたえられたいくさわざが、しげもなく披露ひろうされている。


 立花たちばな宗茂むねしげの右手にあったやりが、次の瞬間には左手に。


 左手にあったかたなが、右手へとうつっている。


 える動作どうさが速すぎて、ミササギは目でとらえることができなかった。


 立花たちばな宗茂むねしげ最適さいてき攻撃こうげきを、最速でり出している。


 それは本多ほんだ忠勝ただかつおなじだ。最適さいてき、そして、最速。


 両者とも攻撃こうげきがそのまま防御ぼうぎょねている。あれほどの戦いなのに、いまだどちらも有効ゆうこうがない。完全かんぜん互角ごかくだ。


 そこでいきぐるしさを感じて、ミササギはハッとする。あわてていきを大きくんだ。


 あぶない、あぶない。この戦いに没頭ぼっとうしていた。いきをするのもわすれるくらいに。


 そこまで夢中むちゅうになっていたのは、自分だけではないらしい。部下ぶかたちの中には、呼吸こきゅう困難こんなん失神しっしんした者もいるようだ。この戦いは、見ている者にも負担ふたんいる。


 あまりに規格きかくがいすぎて、どちらがつのか、ミササギには予想がつかない。


 ここで戦いのかたちが変わる。


 立花たちばな宗茂むねしげやいば軌道きどうが、きゅう角度かくどがった。手首てくびの返しを使って、かたな変幻へんげん自在じざいの動きをくわえている。


 これに対して本多ほんだ忠勝ただかつは、やり回転かいてんした。やりきりのような回転かいてん付与ふよする。トラカドのわざをあっさり模倣もほうした。


 いや、あれがおなわざとは言えない。ミササギはいきをのむ。


 空気との摩擦まさつ原因げんいんだろうか、やり穂先ほさきが赤いほのおをまとっている。トラカドのわざに、あんなものはなかった。


「そいつはいいな」


 そうつぶやいて、立花たちばな宗茂むねしげ真似まねをする。こちらの槍先やりさきほのおをまとった。


 ならばと、本多ほんだ忠勝ただかつやいば軌道きどうが、きゅう角度かくどがる。手首てくびの返しによって、予測よそく不可能ふかのうな動きをつくり出した。


 ミササギは戦慄せんりつする。あの二人の技量ぎりょうには天井てんじょうがないのか。


(これが東西てんかの最強)


 ながきにわたる戦国せんごくは、こんな怪物かいぶつえた怪物かいぶつを、地上にみ落としていたのか。しかも二人も。


 そして本日、両者は戦場でめぐってしまった。


 西軍最強の立花たちばな宗茂むねしげと、東軍最強の本多ほんだ忠勝ただかつ


 二人の戦いが、さらに進化しんかする。


 両者の槍先やりさきにあるほのおが色を変えた。


 赤から青に。まるで鬼火おにびだ。いつのにか、おなものかたなの先にも出現しゅつげんしている。


 そうしてできた鬼火おにびが、せま空間くうかんはげしく戦いはじめた。


(これが天下てんかの最強)


 両者のちから完全かんぜん拮抗きっこうしていた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 正に戦国無双!!
2024/09/18 22:21 退会済み
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