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ぽつんと家康  作者:
12/80

花散里(はなちるさと)

 騎馬きばたいひきいて、本多ほんだ忠勝ただかつは西へけていた。


 殿との救出きゅうしゅつするために一路いちろせきはらかっている。


 本多ほんだ忠勝ただかつとなりには服部はっとり半蔵はんぞうがいた。こちらもうまっている。


 半蔵はんぞう配下はいか忍者にんじゃ部隊ぶたいは、べつ行動こうどうをしていた。先行して色々とやってもらうことがある。


 で、出陣しゅつじんまえしろひがしがわからがった、いくつかの赤い狼煙のろし


 服部はっとり半蔵はんぞうの考えでは、あの下にへいかわせたとしても、狼煙のろしげた者たちはすでにげている。


 だから、せをさせた。狼煙のろしげた者たちが、このあとせきはらもどるために通りそうな地点。そのよんしょに、三〇人ずつのへいひそませた。


 服部はっとり半蔵はんぞうは考える。


 あの赤い狼煙のろしがったのは、せきはらの反対方向。


 あれでは駄目だめだ。反対方向すぎる。そちらを警戒けいかいさせたいのがまるわかりだ。


 そうすることで、東軍の次の行動をまよわせたいのだろう。


 だから、こちらはまよわないことだ。


 相手のさく、その意図いと見抜みぬきつつも、半蔵はんぞうはさらに考える。


 このさくおこなうために相手は、殿との捕縛ほばくしてすぐに、狼煙のろしげる部隊ぶたい派遣はけんしたはず。かなりの短時間でってきた手だ。


 その速さは驚嘆きょうたんすべきだが、実働じつどう部隊ぶたいこまかい指示しじあたえる余裕よゆうはなかったのだろう。


 このさくぬし、おそらくはしま左近さこんだと思うが、それにしては指示しじあまい。


 何かべつさく用意よういしていて、そちらにさそむのがねらいか。


 または、しま左近さこんが今、何か「面倒めんどう問題もんだい」をかかえていて、そちらに思考をかざるをない、そんな状況じょうきょうにあるのか。


 後者こうしゃの場合でさきに思いつくのが、やはり「殿との捕縛ほばく」だろう。


 あれは東軍こちらにとって大事件だが、西軍てきにとっても大事件にちがいない。あっちはあっちで混乱こんらんしているのではないか。


 突然とつぜん後方こうほうにいるへいの一人がさけぶ。


しろきたがわで、山吹色やまぶきいろ狼煙のろしがりました! 全部で三本です! あと、黒い狼煙のろしが一本!」


「だそうだ」


 本多ほんだ忠勝ただかつが言うと、


「うまくいってかった」


 半蔵はんぞうは返す。


 よんしょうちさんしょせに成功せいこうしたらしい。失敗しっぱいした場合は、黒い狼煙のろしげるように言ってある。


 わるくない成果せいかだろう。しろにはたよりになる黒田くろだ長政ながまさもいるし、これでひとまず、背後はいごうれいはったと考えていい。べつさく西軍てき仕掛しかけてくるにしても、今しばらくはかかるはず。


 せのほかにも、服部はっとり半蔵はんぞうはいくつかの手をっていた。


 殿との影武者かげむしゃの一人に、城内じょうない目立めだつようにあるまわらせている。


 また、自分や本多ほんだ忠勝ただかついそいで出陣しゅつじんしたことについて、ほか武将ぶしょうたちが納得なっとくしやすい理由を用意よういするのもわすれなかった。


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