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本部長と私  作者: 雨木うた
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親友に出会うまで

物心ついた頃は幸せだった。

母がいて父がいて、1人っ子だった私は両親といつも3人で笑ってた。両親ともに翻訳家であったので私は外国語の本に囲まれて成長した。外国語が大好きな子供だった。でもその幸せと笑顔は私が12歳の時に突然喪われた。

両親が交通事故に巻き込まれて亡くなってしまったのだ。

私は学校に行っていて事故には巻き込まれなかったけど、頭の中は真っ白になった。

その後数ヶ月くらいずっと頭の中は真っ白で気付いたら全く知らない、会った事も無い父方の叔父夫婦に引き取られていた。天涯孤独の身になった私を私の両親の遺産目当てに引き取ったようだ。

私は両親を1度に喪ってしまったショックが大きく無表情な子供になっていた。叔父夫婦は最初私の両親の遺産を好きにしたくて私の機嫌をとろうとしていたように思う。しかし何をしても無表情な私と、法律により遺産を好きに出来ない事に腹を立てた叔父夫婦は次第に私に暴力をふるうようになった。

学校も叔父夫婦の自宅近くの学校に転校させられたので周りに味方してくれるような人は居なかった。

その頃の私は周りが見えてきていたけれど、助けてくれる人も居ない状況に常に諦感しかなかった。

しかし私が叔父夫婦に引き取られてから数年後転機が訪れた。

新しい担任の先生が私が暴力を受けている事に気付いて役所や警察に通報してくれたのだ。お陰で私は叔父夫婦から引き離されて国の施設で保護され、学校も叔父夫婦にわからないように転校させられ、叔父夫婦は私に2度と接触しないようにと罰金付きの接近禁止命令が国から出され、叔父夫婦と縁を切る事が出来た。1年後施設から出て全寮制の女子校に通い始めた。

新しく友達も出来た。

両親を亡くしてから初めての友達だ。

彼女、美緒とは寮の同室で1番の仲良しになった。美緒は私の身の上を知っても態度を変えなかった。嬉しかった。美緒との交流で私は少しずつ笑顔が戻ってきたし、他のクラスメートとも交流出来るようになれた。

美緒とは高校卒業までずっと寮の同室で、まるで姉妹のように仲良く過ごした。大学は国からの奨学金で通う事ができた。学部は違ったけど勿論美緒と同じ大学に通った。

私は外国語に興味があり、在学中に受けた秘書認定試験やTOEICで高得点をマークした事で教授から就職に有利になると言われた。美緒は雑誌の編集者になりたいからと、その勉強に力を注いでいた。私達はお互いに励まし愚痴を言い合いながら大学生活を楽しく過ごしていた。

美緒は女の子らしく可愛らしい服装やメイクをしていたけど、私は特に服に興味が無かったのでいつも気にせず着の身着のままのような格好で過ごしていた。特に不便もなかったし。

就活が始まりさすがにリクルートスーツは買ったけど私の野暮ったさは抜けなかった。

就活は頑張った甲斐があり、美緒は大手出版社、私は最大手の総合商社総務に就職出来た。


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