導入(仮称)
今作が初めての投稿であり、完全なる素人です。至らぬ点が多々有ることだろうと思いますが、優しい目で見守ってやって下さい。
太陽系の遥か遠く、数億光年と離れた星団に地球とよく似た惑星がある。よく似たどころか瓜二つなのであるが唯一違うのは、其処に暮らす二足歩行の知的生命体(以後、単に人間と書く)にとってはその星が平面的で海の果ては巨大な滝になっているということくらいである。この物語はそんな惑星に生まれた少年の成長記である。
1.シーランド公爵領のバカ息子
ウェングット王国の北西部、国内で唯一の平野部にシーランド公爵領はある。その面積は2.07km²で、召使いは約20人,農奴は約80人,領民は約1,000人が暮らしている。
シーランド公爵には息子が2人、娘が1人いる。本作の主人公はその長男である。
「ジョナサン!貴様、またヴィンセントの所へ行っておったな!いい加減に次期領主としての自覚を持たんか!」
怒鳴っているのはフレデリック・マーフィー、現シーランド公爵である。
「お父様、あまり大声を出されますとお体に障りますよ。それに、寝ついたばかりのメアリーが起きてしまいます。」
次男のクリストファーが水を差し出しながら椅子へと促す。
「クリストファーか。いつもすまんな。」
フレデリックは水をグイと飲み干すと、深いため息を吐き、心の中で呟いた。
(やはり、家督はクリストファーに継がせる方が良いのだろうか。)
さて、問題のジョナサンはどうしたかといえば、父が怒鳴り込んで来る気配を察知し、弟を隣部屋から連れてきたかと思えば次の瞬間には窓の外へと消えていた。
ここ1年、上記のようなやり取りが続いていた。
というのも、フレデリック(現シーランド公爵)の弟であるヴィンセントが様々な珍品を手土産にして長い旅から帰って以来、その冒険譚を聴くのがジョナサンの日課となってしまったからである。