表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/49

力が変えたモノ


∞ ∞ ∞



 息をしっかりと吸い込み、すこし落ち着いてから意を決してメクルがコンコンとノックを2つ鳴らします。



「入りなさい」



 ゴシックなデザインの木製扉、その向こうからすぐさま返ってきたのは根太い男性の声でした。


 招かれた声に従ってノブを回して扉を開くと、涼しい風が三人を撫でます。


 冷房です、広い暑い埃くさいオマケに湿気も溜まりやすい図書室には一機も構えてくれないのに、十二畳ほどの一室にエアコンが設置されています。中を自動で掃除してくれる最新型。おまけに扇風機まであります、無駄に羽のないリング型の奴です。学園権力の横暴を感じずにはいられません。



「……涼しい」



 部屋に最初に駆け込みそう言ったのはピーシーです。



「なら脱げっての、その格好見てるこっちまで暑苦しいんだよ」



 ヒロはジャージを脱いで肩にかけるとシャツの裾をつまんでバタバタと冷気を胸やお腹に送り込みます。壊滅的に恥じらいがありません。



「失礼します、会長」



 そして最後に入って扉を閉めたメクルだけは一応の礼節を忘れていませんでした。


 白い遮光カーテンで閉じられた生徒会室、真ん中に応接テーブルとそれを挟むように1人掛けのソファーが2台、中央向かって四人掛けソファーが1台と、その向こうにはやたら重厚感あふれる木製の高級執務机がありました。


 執務机の向こうには、これもやたら大きくて高級そうな革張りのデスクチェアがメクル達に背を向けています。



「メクル、ヒロ、ピーシー、図書委員実行部以下三名、ご依頼のあった高等部2年田中剛男子学生の救出作戦より帰還、結果をご報告に来ました」



 背筋をピンと張り、まるで自衛官による上官への報告のようにメクルが声を張ります。



「聞こう、まずは経緯からもう一度報告したまへ」



 背を向けた椅子の向こうから太く男らしい声がしました。


 生徒会室の中に少し緊張感のある空気が走ります。



「はい、おおよそ18時間前、学園より()()()()()()『ネピリウム』へと転送された田中剛男子学生を天文部が発見、三十分後、生徒会執行部による救出作戦が立案、図書委員実行部隊3名による救出作戦を展開、天文部の協力のもとネピリウムへ転送完了後に現地時間で三ヶ月間の情報収集を行いました」


「……三ヶ月か、随分と下準備に時間がかかったのだな、ふむ、ネピリウムか……これで転送者は9人目だったか?」


「はい、今回の転送でネピリウム異世界における神々が抱えていた『魔王問題まおうもんだい』は結果的には解決されました……、しかし裏目にも出ました」


「なるほど、君達が三ヶ月も情報収集に時間をかけたのなら、彼は一筋縄ではいかない人間だっただろう……おおむね()()()()()()()()といったところか」


「はい、彼が神々から授けられたチートは『時間停止タイムストップ』、無制限時間停止、部分的時間停止解除、また停止中は肉体の老化を防ぐスキルも取得していたそうです。現在、御影学園にて確認されている能力の中でも最も危険度の高いチート能力でした」


「時間停止に不老か、破格の能力だな、それで?」


「三ヶ月間、彼の痕跡を追いながら情報収集を行い彼の素行調査とその裏付けを進め、能力を解明、その力を保持したまま現実世界への帰還の是非は判断が分かれると思い、生徒会執行部に報告、返答は救出作戦の即時中止と……彼の()()でした……でも」


()()、なんだ?」



 生徒会室にさらに冷たい空気が吹き詰めます。


 三人を一度も見ようとしない生徒会長の気配が、椅子越しなのに強くなるのを感じます。


 強ばるメクルの背筋に冷たい物が一筋流れました。




「私の判断で、今回は彼を……()()しました」




 隔離と自ら口にした時、メクルの胸に重い何かが生まれます。

 自分のとった行動、それは生徒会からの命令に反することでした。

 本来なら田中剛を処分、その後は命令通りに帰還する……それでよかったのです。

 好き勝手に暴れて、多くの人間を悲しませ、命を奪ってきたて男など処分してしまえば――、



「彼の行いは確かに非道でした……でも私は彼が処分される程の悪人だとは思えませんでした」


「つまり君は、自分の意思で彼を勝手に()()した、ということか?」



 生徒会長の声に、先ほどよりも鋭さが籠もります。

 咎めるような声でした。



「おいおい会長、メクルの判断は正しかったぜ」



 強ばるメクルの背中を叩いて緊張を解いてくれたのはヒロでした。



「田中は確かに能力を好きに使ってそこら中の女を襲ってた強姦野郎だった、個人的にはもっと殴りたかったけどよ」


「性格、独善的、幼稚、自己判断能力、著しく欠如」


 ヒロとピーシーが庇うようにメクルの前へと一歩でます。


「でもよ、だからって何も殺すことはねぇだろ? ()()()()()()()、メクルにはその力があるんだからよ」


「処分、非効率、隔離、妥当」



 自分を守ろうとうする2人の背に勇気をもらい、メクルも言葉を続けます。



「三ヶ月間、田中君の痕跡を追い続けて分かったこと、それは異性に対する()()()()()()でした。彼は異世界にて力の覚醒後間もなく最初の犯行におよびました……犠牲者は神官。善良で、彼とは何の関わりもない、か弱い女性でした」



 それは思春期の男の子がただ抱いていた欲望としては、あまりにも苛烈で、メクルには何かを訴えるような行為に見えました。

 


「復讐心? 縁もゆかりもない異世界の異性になぜそんな因縁を持つ?」


「それは彼が異世界へと転送される()から、異性に対する並々ならぬ感情があったからです……それが今回は良くない形で発露した」


「……ふむ、彼が以前から異性への恨みを持つ根拠は?」



 依然として冷たい声を放つ生徒会長へ今度はメクルが続けます。



「あります、ネピリウムへと向かう前、私達は占い部、演劇部に協力してもらい田中君の学園内の身辺調査を行いました。結果、同クラス生徒達、特に異性からの肉体面及び精神面も含めた集団暴行の事実を確認。期間は高等部一年の冬から、ここ最近まで行われていたそうです、つまりは――」






 それはつまり、()()()でした。







 始まりは些細なことでした。

 

 田中君は一人の女生徒に恋をしていました。

 

 そして意を決して告白をした田中君を待っていたのは、強烈な拒絶でした。

 

 その後、田中君が彼女に対して“ストーカー行為”を始めたとの噂が流れました。

 

 確かにフラれてショックでした、思わず休み時間にその背中を見たりもしました、でもそれだけです。


 

 その視線に気がついた女子生徒によって、【見ていた】は【見つめていた】へ、【見られていた】から【見られている】へ、やがて偶然に廊下で出会ったは【待ち伏せされた】へ、ありとあらゆる尾ひれを伴って噂が膨れ上がり、最後には【田中剛はストーカー】という罪状ができあがりました。やがて屋上へと呼び出された田中君を待ち受けていたのは数名の女性徒と、三人の男子生徒による独善的な義憤ぎふんによる『私刑』でした。

 


 罪状はストーカー行為、もちろん田中君はただの一度もそんな事はしていません。

 

 好きな女子に告白した、それだけです。

 

 最後に田中君の視線に気づき、意図的にストーカーとの噂を広めた女性徒が漏らした本音は、





     『あいつ、顔が虫みたいで気持キモワルかったから』





「私刑の後、田中君へのイジメが始まりました。主に異性、女生徒からは精神、肉体的にもおとしめられ、彼は誰にも相談できず、思い悩んだ末、身を投げました」



 お前達のせいで僕は死んだんだとメッセージを残すような場所ではなく、田中剛は誰にも見つからないような場所、市内北西部に広がる山の中、高さ25メートルの崖の上から飛び降りていました。



「そして、目敏い女神達に見つかり再利用された、と……ふむ、しかしそれだけを聞けばクラスメイトや異性への怨嗟はあったにしても、他人に対して犯行に至ったのは彼の素行や性格そのものには最初から何らかの問題があったように思えるが?」


「会長、イジメという問題はそんな生易しいものじゃありません。イジメは人の『価値観』を大きく変え、認知の歪みを引き起こす深刻な問題なんです。そして彼の歪みはやがて『人格』にも影響を及ぼしました。女性は敵、女性は恐ろしい、そして自分を好き勝手にしたのだから、自分も彼女たちを好き勝手にしてよい、と」



 怒り、復讐、無力感、そして暗い願望。



「田中君がイジメを受けた時、彼の中には暗い感情が蓄積されていきました……そしてそれは異世界で、解き放たれてしまった」


 

 結果、彼は力を使い復讐イジメを始めました。



「異性に対する復讐を心の免罪符に、彼は我正義と欲望のまま彼は走り続けました。そして誰も()()()()()()()()できなかった……受け入れた上で怒ってあげられる人がいなかったんです」


「願いを叶えられる無限の力、ため込んでいた願望、誘惑してくる異能の魔力、か」


「はい、会長にも覚えがあるのでは?」


「無論だ、もちろんあった、欲望の無い人間などいない、だが私はそれを捻じ伏せて今はここに座っている」


「誰もができる事ではありません、それだけ異能チートの誘惑は絶大です」


「認めよう、確かに万能感という誘惑は強い……それで?」


「まずは彼の能力を封じるため、『施錠』の能力者をネピリウムへと派遣してほしいと申請しましたが、却下されました」


「当然だ、今や学園に2人しかいない『異能封印』の異能チート持ちだ、何かあったら責任問題なのはわかるだろ?」


「はい、執行部も同じ答えでした。現地での施錠ができない以上、説得するための時間の確保は困難と判断、その能力の性質上、被害がこれ以上広がる前に私がその場で説得を試み……失敗しました」



 あの場、もし彼が本当の意味で手を取り合ってくれていたのなら。

 

 今この場に、自分の隣に、彼がいた、そのはずでした。



「説得に失敗後、彼は能力を発動、時間停止と同時に私の能力で彼を『()()』しました」


 

 出口のない鳥籠に、二度と出てこれない、物語の世界へと。



「やはりそうか……生徒会はそんな指示を出していない、それがどれだけ重い意味になるか、無論わかっているな?」



 咎める声、明確な命令違反に対して説明を求める、そんな声でした。



「これも私の勝手な独善だとは分かっています。帰還命令を無視し、私の勝手に他2人を同行させ、命まで危険に晒しました。生徒会に所属する人間として、部隊を率いる人間として失格です……今日はどのような処分も受けるつもりでここに来ました、全ての責任は――」



 自分は勝手に、自分なりに被害が少ない方へと舵をきったのだ。

 

 あのまま放置すれば、あの異世界で多くの死者が出た。

 

 ヒロとピーシーの身も危なかった。

 

 だから隔離した、誰かのために誰かを犠牲にする、故に独善。

 

 個人の独善を許せば、組織は立ち行かない。


 良くて追放、悪ければ処分、その全てを1人で背負うつもりでメクルは今ここに来ていました。




「「それは違う」」




 冷たい汗が伝う背中を叩く2人の声がしました。


 ヒロとピーシーが今度はメクルの隣へと立ち、続けます。



「これは俺達三人の判断だ、最低限の説得もちゃんと試みた、その結果だろ。だいたいそっちが施錠能力者を派遣してくりゃこんな手を使わずにすんだはずだろ、あのままあいつをこっちに連れ戻してみろよ、到着後三秒後には校内の女が何人孕まされたか、それぐらいわかんだろ会長よう!」


「……説得、無視、3人共、止められてた、メクルが隔離しなかったら、私達、犯され、殺されてた」


「そうだぜ、その通りだ、だからようもし処分するってなら俺もだ、会長、メクル1人に押し付けないでくれよ」


「私も、会長、平等に処分、願う」



 これ以上、親友一人に背負わす物かと言葉を強くだし、2人はメクルと共に並びました。


 これは3人の決断だったのだと、メクルの心を支え、冷たくなっていた背を温めました。


 2人の温もりがメクルの冷たく強ばった体を温めてくれたおかげで、最後の言葉を口にすることができました。



「……田中剛生徒救出作戦に関する報告は、以上です」



 今は背を支えてくれる二人のためにも、胸を張ろうとメクルは覚悟を決めて締めくくりました。



「……――、そうか、わかった、では」



 そして生徒会室に少し長めの静寂、3人は自分の心音が五月蠅いほどに聞こえてきそうな嫌な沈黙。

 椅子の向こうで小さな溜息が一つ聞こえ、やがて、




「うむ、任務()()()()()は確かに受け取った、3人友、ご苦労だったな」




 そういって生徒会長の椅子がクルリと回って、3人の前に姿を現しました。




「「ぶふぅっ!」」




 そしてヒロとピーシーが同時に吹き出しました。

 

 現れた太い声の主は、その声に似合う雄々しい巨漢の男でした。


 巨漢の男が、半裸でした。


 何一つ飾り気なんぞ必要ないのだと丸刈りの頭、太い鼻筋の通った顔立ち、太い眉、大和魂を感じさせる日本顔、それを支える首は鋼線を束にしたような僧帽筋そうぼうきん、下に連なるの超肉厚大胸筋ビックステーキは驚異的な雄々しさと共に行き過ぎた暑苦しさ放っていました。

 

 生徒達は彼の事を陰に隠れてこう呼びます。


 筋肉モリモリマッチョマンの変態、と。

 

 然し彼こそが学園においける絶対無敵の生徒会長、無叢天士むそうてんしその人なのでした。

 



「なんって格好してんだ! なんでこっち向かねぇと思ってたらそういうことかよ! この露出狂会長!」




 真っ先に憤慨したのはヒロでした。

 他二人が顔を真っ赤にして絶句する中、唯一筋肉に対する耐性があったようです。



「いやだって筋トレ中に君らが来るんだもん」



 と、会長は困り顔をしました。右の大胸筋も同調するようにビクンと頷きます。



「だもんじゃねぇよ! きもっちわりぃ! だったら服を着てから中に呼べばいいだろうがよ! というか服を着て筋トレしろ!」


「服を着たら彼女達の表情が見えないじゃないか、火色君、君は逢瀬を交わす時に相手の顔も見ないで行為キントレに及ぶのか?」



 失礼しちゃうわと、左右の大胸筋がビクンビクンと頷きます。

 

 会長の言う彼女とは、つまり筋肉のことです。

 

 彼は筋肉との対話を行いながら、確実に欲しいところに負荷をかけるためにも衣服を最小限にする人が多いのです。



「筋トレなんてしたことねぇっつうの! じゃぁせめてその無駄に綺麗ピンクな乳首を今すぐ隠せ!」


「すまない、実は上着を最初から持っていない」


「最初からないのかよ! 半裸でここまで来たのか!? じゃ、じゃぁピーシー、お前のそのマフラーでも貸してやれ! ほら!」



 白羽の矢が突如飛んできたピーシーが真っ赤だった顔を今度は真っ青にして首をブンブンと左右にふります。そして部屋の隅まで逃げ出しました。そんなピーシーを追い詰めようとにじり寄るヒロをよそにメクルが少し上ずった声で生徒会長に訪ねました。



「あ、あの会長、そ、それで任務はこれで終了ということで、いいんですか?」


「ん、あぁかまわないよ、後処理はちゃんとできているのだろう?」


「はい、田中君の記憶のコピーは取り、自殺を試みる三日前の状態で復元、演劇部との協力の下、完全な状態で今は学園内に復帰しています。頃合いを見て……不慮の事故か、病死という形で……」



 再び自分は何様だろうと、メクルは自分を責めていました。

 

 この仕事を任されるようになってから、何度無く突きつけられては、また何度でも悩み続けている、責任の問題でした。



「やはり自分を身勝手だと思うか、綴喜君」



 天士会長がメクルの心中をあっさりと読み取ったのか、一番の芯を一言で突いてきました。



「はい、私は自分を身勝手だと思います、一人の人間を二度と戻れない場所に押し込んだのですから」


「では、今回の自分の対応は最善ではなかったと思うか?」



 この問いに、メクルは今一度自身に問いかけます。

 

 そして、一呼吸おいてから、胸を張りました。



「私は最低です、だけど学園と、あの異世界と……私の仲間にとって最善の結果だと思っています」



 背中を押してくれた二人のためにも、メクルは答えます。

 メクルの答えに天士会長は頷きました。



「ならばそれでいい。君は自分の行いに責任をもって実行した。結果、異世界も救われた、学園も無事だ、ならば生徒会としてそれ以上は無い。任務ご苦労だった、充分に休んで次に備えてくれ」


「はい……ありがとうございます」

 


 小さく微笑む彼の笑みに、メクルもどこか小さく救われた気がして、やはり小さく一つ頷きました。



「よぉし! お咎めなしって事でいいんだな! じゃぁ話はまとまったってことでよ、報酬の話をしようぜ、な!」



 そう、ヒロの当初の目的はまずこれでした。



「そうだな、ではなにか望みがあるなら言ってくれ、日本を代表して叶えられる願いは叶えよう」



 天士会長はそこの所をしっかりと分かっている立派な人間でした。



「よし! じゃぁ最初は休暇だ、三ヶ月もがんばったんだから最低一ヶ月は欲しいぜ、もちろんこっちでじゃない、第7異世界『ラプアップ』での一ヶ月休暇、あとはいつもの口座にいつもの金額だ!」


「ラプアップか、確か火色ひいろ君が最初に救った異世界だったな、会いたい人もいるだろう、わかった許可しよう」


「いよっし! さすが会長は話が分かるじゃねぇか!」



 その場で思わずガッツポーズをしたヒロでした。眩しい程の満面の笑みです。

 そんなヒロを押しのけたのはピーシーです。



「私、現金増額、あとネズシーランドチケ」


「ほう、確かピーシー君は前回も同じ報酬ではなかったか?」


「またマンション建てる、不労所得、大事、働きたくない、あとネズシーチケットは3枚」


「お、なんだよピーシー、俺らも連れてってくれるんかよ、可愛いところあるじゃねぇか」


「……ヒロは荷物持ち」


「んだと? よし、やっぱりそのマフラー貸せ! 会長の胸に巻いてやる!」


「っ!? 拒否! 無理! 拒絶!」



 ワーキャーと生徒会室を追いかけ逃げ回るヒロとピーシーの二人を見て、メクルは思わず笑みを溢します。



「よし、すべて手配しよう、それで綴喜君は何がいいか決まっているのかな?」



 メクルも最初から決めていました。


 この任務が始まった時、田中君の能力が分かった時、そしてその最悪の結果がもし自分に訪れたらと考えた時、思いついたことでした。




「――はい、今日と明日の半日、一日だけでいいんです……()()()()()()()()()



 背に走るは先程の別種の緊張、そして高揚。

 メクルは胸の前でグっと拳を握ると、勇気を振り絞って言いました。





「今から私、()()をしてこようと思います」







 § § § 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ