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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
7/70

第7話 煌煌ノ騎士


不思議な感覚、空間。


見覚えがある。

これは・・・確か、ミツバと俺の境界線。

一度体験したことがある、あれは確かギガラチュラと対峙していた時だ。



ということは、またやらかしたのか・・・。



カズキ

「やらかしてばかりだな・・・」



回りを見渡しミツバを探す。

元気な姿を見せてくれれば安心できるのだが。



見当たらない・・・。



前は上からゆっくりと俺に近づいてきた。

今はその気配すらない・・・。



カズキ

「いや・・・ここかミツバ・・・」



胸に手を当てた。


居た。



寝ている、ということか。

俺をここに呼んだのもこれをわかってほしかったのか。


そんなことをしなくても、大丈夫なのに。

大丈夫・・・強くなるよ、お前を心配させないようにするよ。



カズキ

「だから・・・今はおやすみ、ミツバ・・・」









--------------------------------------------------------------








【???????】




カズキ

「ん・・・んっ・・・」


目が痛い。

いや、体中が痛いんだ。


頭痛がする、吐き気もする。


記憶を辿ろうにも頭が回らない。

本当の本当に記憶喪失になったのかまさか。



カズキ

「ぁあ・・・っん!!」



力を入れて立ち上がる。

お得意の動作だ、何の自慢にもならないが。



体の節々が痛んでおぼつか無いがこれくらいなら問題ない。

大きく空気を吸い呼吸を整える。



そして辺りを見渡した。

見覚えのない場所なのはすぐにわかった。


小部屋。

中には固いベッドとトイレ用のバケツ。


よく見たら手枷から伸びてる鎖が小窓の下に厳重に繋がれている。



そしてこの部屋の一番を尊重している物。



鉄格子。



カズキ

「牢屋に・・・はぁ、ぶち込まれたってことか」


ベッドに寝転ぶ。

ちょっとした衝撃でも体痛む。


もう少し労わろう。





あれから街はどうなったんだろうか。

確か俺は最後・・・。



ガシャンッ・・・



重い鉄の扉が開かれる音。

記憶の確認一度やめ、上半身だけ起こし来る者に目線をやる。




???

「はーん、まだ生きてたのかよすげーな」




入ってきたのには背丈が少し低い少女だった。

白く髪、長さが腰まで伸びてる。


種族は見た目だけ見れば少し肌が白い真人だが。

真人と決定的に違う物がすぐにわかった。



カズキ

(・・・エルフか?)



耳が長い。

しかも少し下に向いている。



これが垂れ耳か。




エルフ?

「お前が従獣も使わずにピョンピョン飛び回ってたつうヒーロー? はーないわー」




何だこのエルフ。

まさか初めての鮮度100%のエルフとの会話がこんなのとは、俺の初めてを返してくれ。



エルフ?

「えーっと確か、名前がなんだっけかカズノコだっけか? 確かそんなんだったよな?」



カズキ

「・・・・・・寝る」



寝る体勢に戻す。

急にやったから痛い。




エルフ?

「はぁあーー!!? ちょっと!お前ぇええ!!」



がみがみとうるさ過ぎる。



ボリュームキル。



がみがみは止まらない。



カズキ

(流石に効かないか・・・)



逆にこのまましゃべらせておけば疲れて帰るだろう。

それよりも記憶、記憶。



エルフ?

「はーー!! お前!!サナミ様にどう報告させるつもりだ!!あぁあん!?!」



サナミ・・・。



カズキ

(っ!!)



思い出した。

俺は確か、死んだ・・・いや、確かギリギリ踏み止まってたんだ。


微かな記憶を呼び起こす。



そうだ、黒甲冑のモンスターに殺されそうになった時に、一人の女の人に助けてもらったんだ。

たしか、そうサナミ。


彼女はそう名乗ったはずだ。

記憶ってあんな虫の息でも覚えてるもんなんだな、人の身体に関心してしまった。


黒髪の女性だったな確か。

ヒトミヤ・サナミ、そうだ日本人。


俺は最後彼女が日本人かどうか聞こうとして倒れた。

そんな感じだったはずだ。



そうなると・・・俺はいつまで寝てたんだ?

街はあの後どうなったんだ? ナザは? フェーチスは? クレエスさんは?


どうしても知りたい。

それを知るためにもと、チラリとエルフの方を見た。



エルフ?

「んんんんんんんんんんんんんん!!!!」



なんか静かになったと思ったら一体あれは何をやっているんだ?

眉間にしわを寄せ口を膨らませた怒り顔・・・なのか?


怒り顔にしては下手くそ過ぎるだろ。

もはや変顔の部類だ。



カズキ

「・・・・・・何それ?」


エルフ?

「お前がしゃべらないなら私もしゃべらない・・・」


カズキ

「そう・・・・・・寝る」


エルフ?

「んんん!!!!!んんん!!!んんんんんんん!!!!!


ガシャンッ!ガシャンッ!ガシャンッ!ガシャンッ!ガシャンッ!



鉄格子を揺らす音とエルフのうめき声が加わり更にうるさい。

逆にこんなにうるさくして大丈夫なのか。



???

「ちょ、ちょっと副長!どうしたんですか一体!!?」


エルフ?

「んっん!!んんんん!!!んん!んん!んん!んんんっん!!!!」


???

「もう何言ってるのかわかりませんって副長」


エルフ?

「んっん!!んっん!!んっん!!んっん!!んっん!!んっん!!」



エルフ駄々っ子が治まるまで仮眠を取ることにした。

後から来た人は少しはまともだと判断して、治まったら起こしてと伝えた。


以外にも二つ返事で了承してくれたので本当に仮眠を取ってしまった。












さて。

本当に仮眠を取ってしまったわけだ。


しかも約束通り起こしてくれた。

もちろん駄々っ子は落ち着きを取り戻しているようだ、少し涙目になってるのは気のせいだろうか。



???

「お見苦しい所見せてしまいすみませんでした・・・」



後から入ってきた短髪の少女が顔を両手で隠しながら謝罪した。

こちらも泣いているのか、はたまた恥ずかしくて顔を見せられないのか。



カズキ

「いや、おちょっくた俺も悪いので・・・」


???

「お気使い、あ"り"がどう"ござい"ま"す""!!!!」



どうやら両方のようだ。

色々な事が泣いてしまうほど恥ずかしいのだろう。


チラっとエルフの方を見た。

目線が合ったがすぐにそっぽ向かれた。



カズキ

「苦労・・・してるんですね」


???

「お気使い、ぼん"どあ"り"がどう"ござい"ま"す""!!!!」


カズキ

「・・・・・・」



話しが一向に進まない。

また寝るぞ。



二ーネ

「すみませんでした、すぅ・・・ふぅ、私の名前はニーネ・フルトシェーベルムです、そしてこちらが我が第5近衛騎士団副団長クリルです」



カズキ

「はぁ・・・どうも」



やっと話しが進みそうだ。

このニーネという子が来てくれて助かった、これ以上時間は無駄にしたくない。



早速俺が眠っていた間の話を聞かせてもらうことにした。




まず最初に説明をしてくれた内容は。


俺が意識をなくした日から今日で3日目という。

あまりにも重傷だったが助けに来た団長様が回復術技で俺を助けてくれた。


何とか一命を取り留めたが意識戻らなかったみたいで、一日経っても目覚めないようなら、牢屋にて回復を待つということになっていた。


手枷の事は、正確な情報を知るベルデラの帝国兵士は全滅してしまっている可能性が非常に高い為保留になった。



そしてあの大襲撃事件の首謀者は見つかっていない。



そんな中今回の襲撃で街と外を隔てている壁の何か所に穴が出来てしまい、それに対処するべく冒険者達の力を借り穴を常に警備するようなことになっている。


人手が足りず、首謀者も見つかってもいないのに、外からも内側からも、モンスターも警戒しなくてはいけなくなっている現状。


救援部隊が届くのは明後日、事件発生から数日が経つのにも関わらず認可が遅すぎると話した。

彼女達はそれを見兼ねて先行偵察部隊を名乗り出ていち早くベルデラへと向かってきたということらしい。




大まかではあるが、これが俺の知らない3日間とのことだった。

説明義務を果たしたとのことで、騎士2人は牢屋を後にした。



わかったことは、みんなまだ戦っているということだ。

結局その場凌ぎだったんだ、あれだけやっても。


ここから出るのが一番だが。

事情がそうさせてくれない。



牢屋の小窓から聞こえる様子からもまだ緊迫した状態が続いてるのがわかる。

だが今は何も出来ない、強引にでもどうにかしたい気持ちはあるのだが。



カズキ

「・・・・・・ミツバ」



胸に手を当てミツバを感じる。

よく寝ている、と思う。



俺が目覚めた時のミツバとの境界線の空間。

あの時は、あいつを心配させないように強がった。



ミツバが少しでも安心して眠れるようにする為に。




それなのに・・・。



カズキ

「・・・ごめん、俺が・・・俺が弱いから・・・」



心配させないなんて言っておいて、泣いてどうする。

だけど涙が止まらない。


泣くことを我慢する方法ってどうやるんだっけ。

思い出せない、どうやって止めるんだ。



手で拭っても拭っても溢れ出てくる。

どうしようもない気持ちにただただ襲われる。




カズキ

「うぅ・・・ぁあ・・・んんん・・・」




次は声まで出てきてしまってる。

止めようとすればするほど制御が効かない。


俺が弱いから・・・違う、自己嫌悪じゃない。

純粋に、ただ純粋に。



ミツバ が いない 。



今ミツバは苦しんでるのかわからない。

わからないから不安なんだ。



本音を言えば街がどうなろうと、このまま死刑になろうがどうでもいい。



カズキ

「俺は・・・ミツバが・・・元気に・・・いてくれるだけで・・・本当は・・・本当は!!!!」



顔を両手で抑える。

もう涙も声も何もかもが勝手に動く。



体全てが、血も骨も、俺の全てがミツバの安否を心配してる。



心だけは、ミツバがまた心配してしまうからやめろとまるで体と敵対するかのように反発する。


勝てない、俺の心は自分の身体にすら抗うことが出来ないでいた。




ガシャンッ・・・




止まれ、止まってくれ!



涙も泣き声も震えも・・・言うことを聞いてくれ!




カチャン、キィイー・・・。




髪の毛を握り始めた、震え続ける手ももう動かせない。




ストンッ・・・。




もしかして、もう駄目・・・なのか・・・。




こんなにも・・・。




サナミ

「また泣いてる・・・」



カズキ

「・・・え・・・?」



背中からゆっくりと両腕で包み込まれた。



少しずつ震えが治まる。





サナミ

「寝てる時も泣いてた」





髪を握りしめる手に指が触れていく。



指が一本ずつ丁寧に解かれるように手から力が抜ける。





サナミ

「気を失った時も」





慎重に引き寄せられた。



荒い息使いが止まり呼吸が落ち着きを取り戻す。




サナミ

「みんなのヒーローは・・・泣き虫さん」




優しく、頭を撫でられた。



涙が止まった、そしてゆっくりと目を閉じた。





サナミ

「ありがとう、みんなを守ってくれて」










----------------------------------------------------------------


【牢屋】



カズキ

「ん・・・また寝てたか・・・」


サナミ

「そうだねー」


カズキ

「っ!?」



少女ベッドに腰かけている。

というよりもなんで中に入ってるんだこの人。



サナミ

「まだ眠い?」



いや、十二分に寝た気分だ。

ってこの人確か・・・。



カズキ

「サナミ・・・さん?」



サナミ

「あ・・・覚えててくれたんだ」



微笑む笑顔で返された。

一瞬看取れそうになったがなんとか顔を逸らした。


思考が纏まらない。

たしか、騎士団長だったよな、どうしてここに。


カズキ

「忙しい・・・のでは?」


恐る恐る聞いてみた。

なんでかたどたどしい自分がいる。



サナミ

「休憩・・・かな? みんなから休めって言われちゃってね」



ハハハッと今度はバツの悪そうな笑顔だ。

今度は看取れないように意識はしていたので自然に目を離せた。


それよりも、まずは落ち着かないとだ。

こんなわけのわからない状態から即スタートなんて相手が誰であろう落ち着かん。


そう言い訳しながらなのか、いつもより深く空気を吸った。

そしていつもよりゆっくり吐いた。



サナミ

「驚かせちゃったみたいでごめんね、他愛はなかったんだけどね、少し様子を見にきたらさ・・・」



言葉を詰まらせた。

顔をよく見たら少し赤面してる?



サナミ

「寝てたから起こさないようにしたの!」



カズキ

「なら・・・なんで中に?」



部下達に休憩を懇願され、暇だから罪人の様子でも見にきたら寝ている。

だから自分も一緒に牢屋の中に入る。



サナミ

「し・・・失礼かなー・・・って」


カズキ

「素晴らしい言い訳だと思います」


サナミ

「そだよねー・・・ハハハ・・・」



何か隠している?

いや、でもこの人なら何かの気の迷いで本当にやりそうではある。


出会って話して間もないが、どうしてかそう思えてならない。

まさに裏表のない、は言い過ぎかもしれない。


なるほど、これが騎士団長の器ってわけか。

昼に来た二人が一番に慕う人間。


何を考えてるのかわからないのに行動はわかる、といったところか。

絶対的信頼、時間や密度なんて関係ない。



カズキ

(恐らくこの人は・・・そうゆう人だ・・・)



サナミ

「ん? フフっどうしたんです?」



カズキ

「え・・・?」



なんか変なことしたか?

またちょっとぼーっとしたとかか?



サナミ

「笑み・・・初めて見たからつい」



ここで何故か俺はナザの事を思い出した。

なるほどな、ナザがフェーチスに頂く気持ちがよくわかる。




サナミ

「あっ!そうだ、えーっとカズキさん? ここ、出ません?」


カズキ

「・・・はい?」





---------------------------------------------------------------



【第2都市ベルデラ 牢屋外】


本当に出てこれた。

もちろん手枷は外すことは出来ないみたいだが、それでもなおこの団長さんは一体何を考えてるんだ。



サナミ

「まずは街の巡回、一緒にお願いできるかな?」



渡された騎士団専用マントを羽織る。

これで少しは手枷が見えなくなるはずと、団長さんのご指示。


これじゃあまるで騎士団員に入ったみたいだ、羽織ったマントが全身を包み込んでいるため傍からみたら完全に騎士だ。


無用な事を起こさない為にもフードはかなり深めに被っておくことにした。



サナミ

「うん、それじゃあ行こうか」



おーっ、と一人で手を高く上げた。

声は出さないにしても手だけは気持ち答えておいた。




牢屋から出発して最初に目にしたのは最悪な人物だった。




帝国兵

「お疲れ様です、ヒトミヤ団長」



一瞬気付かなかったがこいつを知っている。

上空にから落した帝国兵だ。


生きていたのか。

耳障りな大声を出さないでいたから一瞬気付くのに遅れた。



サナミ

「ご苦労様です、どうですか街の様子は」


帝国兵

「はっ! 我等帝国兵の厳重な警備で成果のおかげか沈静化できております」


サナミ

「頼もしい限りです、では引き続きよろしくお願い致します」



それだけ伝え団長さんは歩き出した。

帝国兵は簡単に頭を下げ、視界から団長がいなくなるまで続けた。



カズキ

「はぁ・・・」



溜息がつい出てしまった。

色々な感想や感情、感覚を吐き出すようにして。



サナミ

「緊張させちゃいました?」



カズキ

「いえ・・・大丈夫」



まだ回復していないようなら戻るように団長から提案があったがもちろん断った。

そうゆうわけではない。


もちろん団長は気を使ってくれたのだろう。

だが、それに甘えるわけにはいかない。


ミツバが眠ていても大丈夫だ。

出来ることを探せばいい。


幸いにも術技は使えるようだし、戦闘になっても何とかできるだろう。

団長からは騎士団用の直剣を渡されそうになったが、謝罪しながら断った。



ミツバ以外の武器は使わない。



団長も何か察してくれたのか、あまり追及はしてこなかった。

その代りと約束をするようにと迫られた、絶対に自分と離れないこと。


もちろん俺自身、自分の力の過信はしないように決めていたし、逆に慎重に行動をする経験値にもなる。



今はとにかく、団長さんの指示に従いながらも考える力も強くすることを尽力しよう。







---------------------------------------------------------------


【第2都市ベルドラ 道中】



酷い有様だ。

崩れ落ちた瓦礫、モンスターか人なのかもわからない死骸。



先日初めて訪れたこの街に胸を躍らせていた。

その面影が無くなっていた、まるで最初からなかったかのように。



サナミ

「目的地は、冒険者ギルド ドトルです、相談したい案件があるんだ、いいかな?」



積み重ねてきた経験が違うのか。

何事もなく聞いてきた、俺は今にも吐きそうなのに。


経験。

この少女はこんな光景を慣れ親しむほどに見てきたのか。



カズキ

「はい、特にないです・・・」



そう、今はまだ何をすればいいのかわからない。

牢屋の中では出れば何か出来る、何かが見つかると思っていた。


けどもダメだった。

今目の前の現実を受け入れて何をやるのが最善なのかなんて、判断付かない。



サナミ

「では・・・行きましょう」







色々な光景が目に行っていく。



惨状 と 悲劇 。



一緒に歩く団長を見てもわかる。

この世界ではよく起きうる出来事。



カズキ

「慣れろ・・・ということですか」


サナミ

「わからない・・・けど、これは起きちゃいけない、気軽に起きていいものではないよ」



そうだ、彼女の言う通りだ。

こんなもの、起きていいはずがないんだ。


どれだけ見繕っても、人が死に、帰る場所が無くなるなんて、あっていいはずがない。

怒りが込み上げてくる、この惨状を招いた首謀者に。



絶対に見つけ出す。



そう心に決意を秘めた時だ。



盗賊A

「へへへ、近衛の騎士様だ」


盗賊B

「しかも女だ上玉だ」


盗賊C

「もう一方は武器もないと見える」


盗賊D

「手枷付いてる、ふへへへへ」



なんだこいつら。

こいつらも召喚術技で、いや違うな。



カズキ

「お前らどうやって入ってきた?」


盗賊A

「何って正門から堂々と入ってきましたが?」


盗賊B

「そうそう、見張りなんていないに等しいからねー」



なるほど、つまりは漁夫の利ってところか。

現状報告にはなかったが、こんな奴らが来てもおかしくはない。



サナミ

「カズキさん、下がってここは」


盗賊C

「あん? 一人でやるって?」


盗賊D

「手枷は足手まとい、ふへへへへ」


カズキ

(ちっ・・・)



無力。

だが丁度いい、今何が出来るか物差し程度には使えるな。



団長の静止を受けず一歩前へ。



カズキ

「一人くらいはやる、一人くらいは・・・」



フードを取り、目標を睨みつける。

相手も俺に気が付いたのか、前へと出てきた。



盗賊D

「ふへへへ! ご指名ありがとうよー!」



手には短剣が握られている。

それをチラつかせている、挑発のつもりなのか。


こちらは武器がない。

しかも手枷をはめているから自分は負けるわけがない。



そう言いたげだが。



カズキ

「アクセルムーヴ・・・いくぞ」



盗賊D

「ふへっ?」



一気に距離を詰め顔面に膝蹴りをぶちかました。

面白いくらいに綺麗に入り、そのまま盗賊は吹き飛んだ。



盗賊A

「なっ!! こいつ!!」



全員の目線がこっちに映る。

それが狙いだ。



サナミ

「アサルト・ステップ!」



その隙逃すはずがない。

密集した陣形の中に急接近した。


握られた長剣で次と盗賊をさばいていく。

その姿にまた俺は看取れた。


攻撃するたびに煌めく光がキラキラと光り輝いているようだ。

無駄のない一撃一撃を確実に通していく。



盗賊A

「ひぃ!!」



あっという間に盗賊も一人だけになった。

やつは最初の立ち位置がよかったのだろう、団長の標的の最後になっていた。


剣突き付けられ盗賊は腰を抜かし、その場で尻もちを付いていた。

震え泣きながら降参だと何度も懇願する。



盗賊A

「まさか・・・ 煌煌 ・・・っ!?」



コウコウ?

なるほど二つ名ってやつか。


つまりこの団長様、敵にも味方にも崇め恐れられる有名人ってわけか。



カズキ

「おい、ハイエナ・・・」


盗賊A

「ハイエッ!? は、はい・・・?」



団長と場所を変えてもらった。

また何を察してくれたのだろう、やり易くてありがたい。



カズキ

「ベルデラを襲うよう言ったやつは誰だ?」



泣きじゃくる盗賊に問いかける。

ベルデラがこの状態だということはおそらく全世界に知れ渡っているのはわかっている。



盗賊A

「そんなもんみんな知っtぶへぇええ!!!!!」



顔面を蹴り飛ばした。



カズキ

「何度でも聞くぞ俺は、誰だ襲うようにいったのは」



こいつが嘘を言っているのは明白だ。

最初にこいつらと出会った時に口走っていた。



『正面から堂々と入ってきましたが?』



あの言葉には含みのあるようにしか思えなかった。

街の正面、つまりは正門だろう。


まだ見たわけではないが、絶対に冒険者達がしっかりと警備しているはずだ。

なのにこいつらは堂々と入ってきたと言う。



盗賊A

「違う!! 違うんだ! 俺達はただ! 指定時刻に行けば正面からでも入れるって教えてもらtぶはぁあ!!!!」


カズキ

「質問がわからないのかハイエナ、誰だ」



だが、有力な情報だ。



盗賊A

「名前は知らない! 恐らく術者だ!! 緑のローブの術者だ!!」



サナミ

「っ! 緑・・・」



団長が何かを察した。

読み通り俺がわからなくても団長が何を察してくれた。



盗賊A

「それだけだ! 他はもう知らない!」


カズキ

「そうかわかった・・・ストライクアップ」



攻撃力の上がる術技を発動させた。

こいつにもう用はない。



盗賊A

「おい!ふざけんな! 約束が・・・!!


カズキ

「そんな物はしてない・・・俺が殺すわけじゃない」


盗賊A

「はぁ!!?」


カズキ

「全てはお前の運次第だ、無事に気絶から目覚めるかっていうな」



まだ少しではあるが、街の中ではモンスターの召喚も起きている話しだ。

当然こいつも知っているだろう。



カズキ

「じゃあ」



まるでサッカーボールを蹴るようにして盗賊を吹き飛ばした。

遠くに吹き飛び、死んだのか気絶で済んだかはわからない。


別に確認するつもりもない。

それを踏めた運だ。



サナミ

「あははは・・・話しには聞いていたけど、本当にむちゃくちゃなんだね」



引かれてる。

引きつった顔で俺を見る。



カズキ

「聞いた話?」


サナミ

「うん、ナザ君にフェーチスさん。 宿屋の店主さんやクレエスさん。 それに、助けた街の人達」



どうやら、団長は俺の情報も片手間ではあるが収集していたようだ。

街の人達から「手枷の人に助けられた、彼は無事なのか」と口を揃えて言うようだ。


俺が最初に捕まった際にあの帝国兵の見せしめもあり、助けた人達は凄く印象に残っていたらしい。


それから団長は情報収集をしている内にナザとフェーチスと出会い俺の詳細を知ったということらしい。



カズキ

(あの騎士エルフが言ってたヒーローってそうゆうことか)



団長はその時の街の人達が涙を流しながら教えてくれた、あまりに嬉しくて流した涙が印象的過ぎて忘れられないと語る。

そしてそれを助けた俺に興味を持ったと。


ならばと、この手枷を外してもらうとしたがそれはまだ駄目だという。

そう簡単にはいかないみたいだ。



その話を聞けてよかった。

目覚めてからというもの暗い話ばかりだったから、話しが凄く体に沁み渡る。


もちろんまだ解決しているわけではないが、それでもこれは励ましになる。

まだ寝ているミツバを起こさない為にも頑張らなくては。



サナミ

「フフフっ・・・」



また笑われた。

どうやらまた笑っていたところを笑われた。





--------------------------------------------------------------



【冒険者ギルド ドトル館前】


盗賊に襲われてからの俺達は2,3回モンスターに襲われた。

あまり強い敵でもなかった為問題はなかった。


目の前で召喚術技が起きて、改めて召喚術者の存在を明確にできた。


今も何処かにいるのだと。



そして他愛ない会話と戦闘を繰り返していたら、あっと言う間にドトルに到着した。



サナミ

「中へはどうする?」



元々団長の用事で来た場所。

俺は特に用事はないから入る意味はない。


だが団長は入ってみんなに会うのかどうかを聞いたのだろう。

鬼のように気を使う人だな、けど大丈夫だと首を横に振った。



サナミ

「そっか・・・少し時間掛かるかもしれないけど、逃げちゃダメだからね」



そんなこと言うなら普通こんなところに放置するか?

まあ元々牢屋にいるはずの俺がここにいること事態おかしな話ではあるのだがな。



団長を見送ったら座りこんだ。

そして空を見上げた、澄んだ夜、星も綺麗に映ってる。

こんな状態じゃなければこのまま星を見続けて寝るのもいいのにと思う。



カズキ

「一回だけあるか、でもあれはよくないだろう」



俺がこの異世界に来て初めての就寝。

それは帝国兵達との道中。


あまり素敵なシチュエーションとは思えないな。

それなら、ナザやフェーチス・・・クレエスさんもいたら頼もしいな、あの団長達が居たらそれはそれで面白そうだ。



そして何より・・・。



胸に手を当てる。



ミツバ・・・。



カズキ

「楽しそう・・・だな」



まるで星達にお願いをするかのように見上げる。


冒険者かそうじゃないかは関係ない。

何だっていい、旅でもいいし、経営とか、農業とかでもいい。


心配ごともなく、ただただ星を見上げて寝たり、誰かと語りあったり、一緒に朝日を迎えたり。



そんなことが出来れば・・・。



ナザ

「なーーにが楽しそうだって?」



カズキ

「・・・・・・ナザ」



声がした方を見たらナザがいた、全然気付かなかった。

一緒にフェーチスもいた。



フェーチス

「カズキさん・・・!!」



涙脆い奴だ。

そして貰い泣きかナザも涙ぐむ。


フェーチスはその場で泣き崩れ。

ナザはフェーチスの頭をポンポン叩き慰める。



カズキ

「悪いな・・・」



立ち上がり二人に近づく。




カズキ

「心配かけた・・・ありがとう」



二人が無事なのは知っていた。


だけどやっぱり、実際に会うとこんなにもほっとするんだな。


もしかしたら二人も同じ気持ちなのかも知れない・・・。








サナミ

「フフフ・・・世話が焼けるんだからもう・・・」









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