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好き を 求めた 異世界 物語   作者: 三ツ三
序章   Believe in one step
2/70

第2話 三枚刃の剣

【始まりの部屋】


巨大な蜘蛛を蒼い剣と共に撃退した。


自分で言うのもなんだが、さっきまで無気力で絶望していた。

そんな俺の救世主がこの何も言わぬ剣だ。


カズキ

「名前・・・付けてやりたいな」


とは言う物のネーミングセンスなんてものは・・・。


カズキ

「いや、関係ないなそんなセンスなんていらねーな」


改めて剣を持ち上げ見上げる。


カズキ

「3つの刃・・・さん・・・決めた!」


自分でも安直ではある、だがそれがいいと思ったんだ。


カズキ

「お前は三つ刃!ミツバだ!」


剣の特徴である3枚の刃。

納得が凄くいった、ミツバという名前がこの剣にピッタリだと断言出来た。


カズキ

「ミツバ・・・これからよろしくな」


剣を見つめながらまるで恋人に語りかけるかのように言った。

不思議と恥ずかしさもない、これからずっと一緒にいるであろう。

もちろん、ミツバは何も言わないがきっと喜んでくれている。


カズキ

「さて・・・これからどうするか」


ふと目線をミツバから周りに移す。

目に映るのは撃退した蜘蛛の死骸くらいだ。


カズキ

「暗いな・・・ん?」


ミツバがまた光った。

そして光り輝く球体がミツバから出てきた。


カズキ

「おぉ・・・明るい」


-ライト・スフィアVer1 取得-


ミツバから何か出た。

ゲームのメニュー画面みたいなデジタルちっくなものだ。


カズキ

「すげぇなミツバ、えーと・・・オフ!」


掛声と共にライト・スフィアが消えた。

声での認証でオフにすることが出来るということか。

それを証明する為にも今度は逆に口に出さずに頭の中でライト・スフィアを念じた。


カズキ

「点いた点いた・・・ってことは」


頭の中でオフと念じた。

同時に明かりが消えたのだ。


カズキ

「よし、とりあえずはわかったサンキューなミツバ、ライトスフィア!」


改めて明かりを点ける。

もちろん色々試したいところではあるが、ミツバを困らせすぎるのもどうかと思うのでやめておいた。


カズキ

「それにしても、どこなんだかここは・・・」


明かりを頼りに四方八方見渡して見ても岩だらけ、探索をしてもこれといった物はない。

行けるところは、蜘蛛が入ってきた出入り口だけだ。


カズキ

「行くか・・・」


足を進めた。

出入り口で一度立ち止まり念のため周りを見渡すが変わり映えのしない岩だらけ、本当にただの洞窟ということなのだろう。

特別な物も見当たらない、出入り口から右を向けば鋭い岩の壁の行き止まりで、左は道が続いている。

1本道ということか。

こうゆう場合何かトラップとかを警戒するのが常套なのだろうが、部屋を出ることにしたが。


カチッ!


何かを踏んだような音がした。

その瞬間だった行き止まりの方から勢いよく鋭い岩がこちら目掛けて発射された。


カズキ

「くっ!」


咄嗟にミツバを構えて迎撃しようとした時、またミツバが光り輝いた。

その輝きと同時に鋭い岩はその場で止まり足元へと落ちた。



-トラップ・キルVer1 取得-



カズキ

「ハハ・・・また助けてくれたのか」


ミツバに表示された画面を改めて見る。

また何かを取得したということみたいだ。


カズキ

「なるほどねー、こうやって色々なことがあるとミツバがどんどんパワーアップしてくってことか」


ライトスフィアも今手に入れたトラップキルもバージョンが1ってなってたが、これはつまり強さみたいな物か。

条件はわからないが、色々な技が手に入りどんどん熟練度みたいなものが上がっていく、そうしたらミツバはもっともっと凄くなるってことか。


カズキ

「・・・・・・」


改めてミツバを持ち上げ見上げる。

3枚の刃がとにかく素敵だ、そんな感想しか出てこないが、今後のやりたいことが出来た。


カズキ

「よし、俺はお前を凄い剣にする!一緒に色々経験して!お前をもっと強い剣、誰もが認める最強の剣にしてやる! いや!させてくれミツバ!」


最強の剣。

強さとかそうゆうのじゃない、ただ言葉が出なかっただけだ。

とにかく凄い凄い剣、戦うだけに留まらない最高の剣にする。

もちろん、俺の問いかけにミツバは答えない。

これも名付けと同じだ、そしてミツバはきっと・・・。


カズキ

「まぁ・・・そう言うな、俺がそう決めたんだー先にいくぞー」


遠慮がちなミツバ、かわいい奴め。

ミツバに話しかけるというのが楽しくなってきた。


カズキ

「となると、やっぱりここから出ないといけないな、よし」


ミツバを握りしめ念じた。

そしてまた光った。


-マッピングVer1 取得-


思った通りに取得した。

同時に平面のマップが目の前に姿を現した。

見た目はデジタルちっくで面白いくらいにゲームみたいだ。

マップのような物が欲しいと念じたらミツバがまた成長したのだ。


カズキ

「さてさて・・・」


改めてミツバが用意してくれたマップを確認する。

赤い点があった、自分がいる位置を示した物だろう。

そして出入り口。


カズキ

「ひとまずは、ここが目標か、行くぞミツバ」


改めてミツバ握りしめ明かりを照らしながら洞窟の先へと進む。


歩きながらも考えていた。

相変わらず変わり映えのしない岩達、だが歩いている道、そして何よりもあの罠だ。

この洞窟は作られたものという可能性大いにあるのだ。

そして一番に考えられるものは。


カズキ

「人間が・・・いる」


あんな巨大な化け物がいるような世界、だがあの蜘蛛からは知性を感じ取れなかった。

引っ掛かったトラップをあの蜘蛛が作ったようには思えないことからも考えられる。


この洞窟は人の手が加わっているということだ。


もちろん知性ある何かが仕掛けた、ということもあるだろう。

だが今俺が一番に会いたくない物それは・・・。



---------------------------------------------------------------------


【洞窟道中】


あんな危ない罠のこともある。

特に急ぐようなこともないので警戒しながら道なりに歩いて時だった。



???

「マジン!!!?!?」



何かの鳴き声。

すぐさま行先を照らした。


カズキ

「っ!? ネズミ・・・2本足で立ってる」


目の前には2本足で立っているネズミが3体通路を塞ぐようにして立ちはだかっていた。

戦闘態勢に入ろうと身構えたその時だ。


ネズミ長男

「真人!?真人が何故こんなところにいる!?」

カズキ

「しゃべった・・・!?」


驚きを隠せないでいた。

こんなわけのわからない世界に来て初めて言葉を交わしたのがこんなネズミ人間なんて。

いや、最初はミツバだ、間違いだ、ミツバが最初だ。


ネズミ次男

「ヤバいって!この真人!武器持ってる!」

ネズミ三男

「に、逃げたほうがいいって!? 真人怖いよ!」

ネズミ長男

「ビビんじゃね!!真人ごとき俺様がぶっ倒してやる!」


さっきからマジン、マジン、マジンってなんだよ。

人間のことか?

種族とかそうゆうやつか?


カズキ

「おい」


ネズミ兄弟達

「っ!!!!???」


すげぇビビったのがよくわかる。

アニメで見た毛が下から上にわさー?ってなるやつだ。


カズキ

「俺の言葉はわかるのか?」

ネズミ次男

「な、何言ってんだこの真人」


ザッ!


瞬間移動の如く高速でネズミの1匹に詰めよりミツバを向けた。


-アクセル・ムーヴVer1 取得-


また成長したか、よっしゃ。


カズキ

「はいかいいえ、まさかその言葉がわからないってことか?」

ネズミ次男

「ひぃいいいーー・・・」

ネズミ長男

「てめぇー!!」

カズキ

「やめろ・・・こいつが」


ミツバをさらに近づけ脅した。


ネズミ長男

「くっ!卑怯だぞ!」

カズキ

「俺は確認をしているだけだ、言葉がわかるのか、話せるのか、聞こえるのか、わからないのか」


脅迫するような形になったがまぁいいや。

穏便にいく相手でもないだろうし、それに穏便になんてしたところでどうせ・・・。


ネズミ次男

「わ、わかる!わかるよ!言葉はわかります!話せます!聞こえます!わかりまぁああーーす!!!」

カズキ

「そうか、最初からそうしろ、アクセルムーヴ」


早速取得したものを使い元の位置に戻り再度ミツバの剣先を向ける。


カズキ

「会話が出来るなら、お話だ」


詰め寄ったネズミが腰を抜かしたのかその場で膝から崩れ落ちた。

それに駆け寄るネズミが1匹、そしてもう1匹はこちらを睨み続ける。

だが、そんなのは関係ない、話しを進める。


カズキ

「俺は、お前達と戦うつもりはない、俺の質問に答えろ」

ネズミ長男

「ふざけやがって!何が戦う気がねーだ!だったらまずその武器を下に置k」

カズキ

「駄目だ、殺されたいのか貴様」

ネズミ長男

「っ!!!」


ネズミがたじろいた。

ミツバを下に置けなんていうふざけたことを言うもんだから無意識に殺意を飛ばしてしまったみたいだ。


ネズミ三男

「ね、ねぇ兄ちゃん、と、とりあえず話しだけでも聞いてみたら?」

ネズミ長男

「駄目だ!真人の言うことなんか信じられねー!」


なるほどそうゆうやつか。

単純明白、よくある人間不信ってやつか。

ネズミは3兄弟といったところか。


カズキ

「三男か?その子の方が利口のようだが? で、お前は俺とやり合いたいのか?」


ネズミ長男

「くぅう・・・」


思考中ってところか。

恐らく今腰を抜かしてるのは次男ってところか。

そして長男のネズミは二人を守りたいんだろうなきっと。


カズキ

「どうした、俺の質問に答えるか、早く決めろ! 返答を伸ばしたところで状況は変わらないぞ」


まるで昔の自分だ。

上の人間、力を持った人間からの問い詰めにもがき苦しむ自分。

長男ネズミを見てて思う、そうか力を持った人間の行動は何にだって変わらないということか。

だが、そんな物は関係ない、俺の目的には一切関与しないし、もしかしたらこのネズミ共を倒せばミツバが成長する可能性もある・・・・・・。


カズキ

「・・・わかったよミツバ」


剣を下ろす。


ネズミ長男

「・・・?」

カズキ

「ミツバに感謝するんだな、殺さないでおく、だが妙な事をしたら容赦なく殺す、いいな?」

ネズミ三男

「あ、ありがとうございます!」


三男であろうネズミがこちらに無防備に近付いてくる。

長男が一度止めたがそれを振り切り三男はこちらに近づいてきた。


シーイ

「えーっとまず僕の名前はシーイと言います! でこっち長男がエーイ、それで倒れているのがビーイです」

カズキ

「そうか、俺はカズキ、でこいつがミツバだ」


ミツバを持ち上げ紹介する。

思った通り三男のシーイという子はしっかり者みたいだ。


シーイ

「よ、宜しくお願いします!カズキさん!と・・・ミツバさん?」


俺の持つミツバを見つめる。

色々な角度から何度何度も眺める。


シーイ

「ミツバさんはお話しできr」

カズキ

「・・・・・・」


殺意と無言で返した。


シーイ

「す、すみません!ミツバさんも宜しくお願いします!」

カズキ

「それでいい」


勝ち誇る、何も変ではない。


カズキ

「で、早速だが俺は記憶喪失だ、記憶がない、この世界が何なのかわからない、思いだせるのは自分の名前だけだ」


スラスラと棒読みで喋るがもちろん嘘だ。

道中考えておいたことだ、変に別世界から来たとか言うと面倒になる可能性がある、もちろんそれが日常的にある可能性もあるがまずはこっちの方がまだリスクは小さいだろうと判断した。


カズキ

「だから情報だ、とにかく情報が欲しい、できればこの世界に詳しい奴、お前たちの偉い奴のところまで案内しろ」


結局命令口調になってる。

きっとミツバは飽きれているのだろうが、仕方ないことだ話しをさっさと進める為にもこれが一番手っ取り早い。


シーイ

「記憶・・・喪失ですか」

エーイ

「やっぱ信用できね!シーイ退け!」


シャキンッ


カズキ

「なら、くるんだな・・・何度も言うが俺は良いぞ」

シーイ

「待ってよ!兄ちゃん!」


三男のシーイが長男のエーイを止める。

どうやらシーイはもう俺のことを怖がるような素振りはないように見える。


シーイ

「えっと・・・カズキさん一つだけお聞きしていいですか?」

カズキ

「なんだ?」

シーイ

「もしかしてなんですが、ギガラチュラと戦いましたか?」


ギガラチュラ・・・?

シーイは唐突にわけのわからない・・・いや待てよ。


カズキ

「知らない名前だ、ただここに来る前に、この奥でデカイ蜘蛛はぶっ倒した」


エーイ

「はぁ!!!?」


エーイが大声を上げて驚いた。

シーイも信じられないとばかりの目で見る。


カズキ

「なんなら見てこいよ長男、この先の奥の開けた部屋があるだろ、あそこにまだ死骸が残ってるはずだ、一人で、確認でもしてこい」


来た道先を指で差す。

部屋への出入り口の罠以外は特別な物がない1本道だ、一人でもいけるだろ。


エーイ

「余計に信じられねーな!あのギガラチュラを倒すなんてな! いくら真人でも一人でやったなんて聞いたことねーよ」

カズキ

「だから確認してこいと」


何回目か忘れるくらいにミツバを馬鹿の長男に向ける。


シーイ

「信じます!信じます!信じます!というより僕達は長老に確認するように言われて来たんです!」


やっと話しが進みそうだ。

なるほど長老、やはり長のような奴がいるか。

3兄弟という点から何かしたのコミュニティーがあるとは踏んでいたが、想像よりも規模はでかそうだ。


カズキ

「わかった、なら一緒に確認しにいこう、シーイもその方が安心だろ?」

シーイ

「あ!!ありがとうございます!!」

エーイ

「・・・けっ」



こうして俺は来た道を戻るようにして足を動かした。

このままこちらの意見を通すことも出来たが、今のうちに友好関係も築けるなら悪くわない。


まだまだ長男のエーイは俺を警戒しているようだが、気にしないようにするのがいいと思った。



-------------------------------------------------------------------------


【洞窟の道中】


来た道を戻る道中もしかしたら行きと帰りで作動するトラップがあるかもしれないと念のため警戒はしていた。

だが警戒よりもシーイと会話を優先した。


少しでも情報があればと思い聞いてはみたが、次男を担いだ馬鹿長男がいちゃもんをつけては会話を邪魔され有益な情報は手にいれることは出来ないでいた。


だがわかったことは一つあった。


それは、真人、である。


真人とは、俺のような人間のことを指すようで、逆に今話しをしていうるネズミ三兄弟は、"鼠人(ソジン)"と呼ばれているらしい。


鼠人は基本的にはあまり外に出ることはなく、こういった暗い洞窟を住み家としているらしい。


シーイ

「それでですね!僕は最近癒しの術技が出来るようになったんです!」

カズキ

「術技・・・?」

シーイ

「はい!といってもまだ擦り傷を治す程度の物なんですがね」


術技。

想定はしていた、ミツバがやるものは俺の知る現実とはかけ離れている物ばかり。

シーイの口ぶりからするとその術技は、かなり一般精通している物。

原理はわからないが、基本的には誰でも使えるという物のようだな。


シーイ

「エーイ兄ちゃんはすごいんですよ!凄く強い術技があって!大きな岩を一発で!」

カズキ

「へー凄いんだ」


ちらっと馬鹿長男へ目線を向けた。

次男を担ぎながらも、少し赤面しこちらを向かないでいた。

照れてるのか。


エーイ

「おっと・・・ここか、おいそろそろ起きろビーイ!」


次男を地面叩きつけた。

結構勢いあったように見えたが大丈夫か。


ビーイ

「ん?? あぁー兄貴おはようー」

エーイ

「寝ぼけてんのか馬鹿」

ビーイ

「痛っ・・・!」


気持ちの良い拳骨だ、音が響き渡った。

長男と二男のよくあるおはよう漫才が繰り広げられているようだ。

まだ眠いとか、今日は休日とか、朝食は何かとか・・・。



兄弟喧嘩・・・か。



カズキ

「・・・・・・」

シーイ

「カズキさん?」

カズキ

「ん・・・あぁー、そうだここに罠があるから少し待て解除する」


ここから出た時の罠だ。

足元の石を押したら奥の行き止まりの鋭い岩がこちらに向けて発射される仕掛けだ。

シーイ達をその場に留まらせ、解除の為に足場を照らしながら踏む。


カズキ

「あれ・・・?」


その場に落ちてるいる石をとにかく踏みまくる。

だが、トラップが反応する気配がない。


カズキ

「少し待ってろ」

エーイ

「逃げるんじゃねーぞ」


エーイの言葉を無視し転がっている石を踏み続け進む。

だが何も反応がない。

もしやと思い、一度部屋に入り、戻って同じ作業をしてみた。


トラップが反応する気配がない。


カズキ

「どうゆうことだ・・・」


行き止まりの方を確認する。

たしかに鋭い岩はある、警戒し触れてみた。

だが動かない、破片が飛び出るような構造でもない。

あの時はこの岩がまるで砕けて襲いかかったように見えた。


カズキ

「・・・跡も消えてるのか」


まるで何もなかったかのように岩はその場で立ちはだかっている。

俺の幻覚? もしくは幻覚を見せるようなトラップなのか。


シーイ

「カズキさーーん!大丈夫ですかーー?」


俺を呼ぶシーイの声が響く。


カズキ

「・・・ああ もう大丈夫だ」


俺の声が届いて、3人がこちらへと来た。


カズキ

「確認だが、お前達はこの洞窟に罠を仕掛けたりしてないのか?」

エーイ

「あん? そんなみみっちい事誰がするかよ」

ビーイ

「危ないからねー、間違って自分達が掛かると」


罠は元々なかった?

こいつらが俺をはめる為に嘘を言ってる可能性もあるのか・・・?


エーイ

「へっ・・・いまさらギガラチュラを倒したのは嘘でしたってか?」


それは無い、罠の確認の時に部屋に入った時に確認はしてる。

死骸は消えていない、だがこの罠が気がかりでならない。


ビーイ

「よくわかんね~けど、入れるん?」

カズキ

「ああ、とりあえず確認に行こう」


何か引っ掛かる部分が脳裏から離れない。

だが今は巨大蜘蛛ギガラチュラの死骸を確認する為に部屋へと入った。



------------------------------------------------------------


【始まりの部屋】


またここに戻ってきた。

先ほどの罠の件もあり、ギガラチュラの死骸を確認した。


あった。

消えること無く、頭から胴体にかけて2つに両断した死骸がそこにあった。


ビーイ

「うほぉおおーー!すげぇー!」


興奮したビーイが死骸へと走って行った。

長男から説明を受けていたみたいだ。


シーイ

「すごい! すごいですよカズキさん!」


隣ではしゃぐシーイ。

俺の言葉を信じていたとしても、やはり実物を見るまでは信じ切れなかったのだろう。


エーイ

「本当に・・・本当に・・・」


長男はその場で膝をついていた。

目の前の光景がまるで信じられないかのような反応だ。

それだけでは無く、目に涙が溜まっているのがわかった。


エーイ

「これで・・・やっと・・・俺達は」


解放される。

とかか、安直な考察ではあるがこの化け物が自分達の住み家に急に来て仲間達を食い荒らした。

そして抵抗することもできずにただ日々を過ごしていたとか、そんな所か。


エーイ

「おい・・・たしかカズキ・・・いやカズキさん!」

カズキ

「お、おう・・・?」


急に左手を両手で掴まれた。

長男は顔を隠すことも無く涙を拭うこともなくぐしゃぐしゃな顔で俺を見た。


エーイ

「ありがとうございます・・・本当に・・・ありがとうございます!!!」


感謝の言葉が部屋全体に響き渡った。

それが聞こえてかさっきまではしゃいでいたビーイとシーイも静かになりエーイと同じように涙を流していた。


カズキ

「・・・・・・」


思い出せないな。

こんなに馬鹿みたいな感謝をされたのはいつぶりだったか。


思いだせることと言えば自分がこう馬鹿みたいな感謝をすることばかりだ。

いや、こいつらに失礼だな。


俺はこんな馬鹿みたいな感謝をしたことはない。


そう、していたのはそんな物じゃない。

だって、こんなにも誰かから感謝されるのが嬉しいなんて知らなかったんだから・・・。



-スラッシュ・セイバーVer1 取得-



カズキ

「あ・・・」



嘘吐いた。



感謝してたな、俺・・・。








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― 新着の感想 ―
[一言] 三つの刃でミツバとか、鼠人の三兄弟は上からのエービーシーっていう安直な名前とか結構好きですww あと三つの刃の剣ってどんな形なのか少し気になりますね!
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