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3-1001回目の異世界転移。

*8/29-9時:2話のポーションインスコ話をこちらに移動しました。

 穏やかな風を感じ、先ほどまでの暗く、そして臭かった世界と本当に同じなのかと疑問すら感じる。


「さっきとは全然雰囲気が違うな」


 時代も変えたというような事を、輪廻を司る女神は言っていたが、どのくらい変えたかまでは言っていない。

 タブレットに書かれているだろうか?

 右手に持ったままのタブレットには電源のようなものは無く、常にON状態だ。

  画面にはフォルダアイコンが二つと本の形をしたアイコン、検索用であろう虫眼鏡アイコンがあった。

 可能性としては本だろうか。さっそくタップすると、やはりこれが取り扱い説明書だったようだ。

 浮かんだテキストがこちら。

 


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

 【タブレット操作方法】


●検索機能の使い方●

・虫眼鏡アイコンをタップし、検索キーワードを入力する。

*マイクをタップすることで音声入力も可能。



●アイテムの収納機能●

・DLしたいモノを画面に当てる。

・DLしたアイテムはインストールすることで自由に出し入れ可能。

・アイテムフォルダにインストールした物を取り出す際は、

 画面に手を突っ込んで掴みだす。

・アイテムフォルダ内のアイテムは、タップすることで簡易情報を見ることが出来る。

*生物の収納にはご注意ください。タブレットの電源を落とすと中は真っ暗闇となります。

*空気はありますが、タブレット内でペットを飼うのはお勧めいたしません。

*アイテム以外でも収納可能。実際にお試しください。



●ダウンロードフォルダについて●

・収納した物は全て、DLフォルダに移動します。そのままでは使用できません。

・DLフォルダ内にアイテムがある内は、食料などの鮮度は落ちません。

・・ただしアイテムフォルダへ移動すると鮮度は通常同様に落ちていきます。



●タブレットは「ブック」の掛け声で具現化。「ブック・オフ」の掛け声で

 異次元に収納させることが出来ます。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽



 タブレットなのにブック?

 というツッコミは置いとくとして、取り出し方法が楽なのはいい。

 だがそれ以上に気になる米印を見つけた。

 この文面を見る限りお勧めされないだけで、生き物も実際に収納出来るという事だ。

 だが悠斗はそれを確かめたいとは思っていない。

 間違ってタブレット内で融合合体などされ、新種の生物誕生などまっぴら御免だ。

 そして悠斗の脳内では確実にグロ画像が再生されるのだ。考えただけでも鳥肌が立つ。

 

 ダウンロードしただけだったアイテムを『アイテムフォルダ』へインストールしておくのも忘れない。

 肌着を自分にインストール出来るのかと試したが、インストール場所が不適切ですと出てそこから進まないのだ。

 楽して着替えられるかなと少し期待したのだが、期待外れだったようだ。

 だが剣とポーションのインストールは自分に出来るようだ。肌着との違いはいったい何なのか。

 五十本もあるしと、試しに一本だけ自身にインストールしてみる。どういう効果が得られるのか確認するためだ。

 一瞬だけ自分がキラリと光ったが、それ以外の効果は無し。当たり前だ。どこも怪我をしていないのだから。


「今度は怪我をしたときに試そう。いや、普通に飲めばいいのか」


 ――と、残り四十九本はアイテムボックスへ。これがなかなか地味に面倒だった。

 なんせ一本につきファイルが一つあるのだから。


「それにしても、なんだろうこの剣」


 表示されているDLファイルの名前は【輪廻の女神によって創造された絶対に折れない刃こぼれしない鋼の剣】。

 長い。長すぎる。


「あ、ファイル名の変更できるじゃん。じゃあ短くするかな」


 ツンと触れた画面では、インストールをするかどうかという選択肢の他、名前の変更、削除、コピー、貼り付けというものまであった。

 迷わず選んだ『名前の変更』だが、悠斗にはネーミングセンスが無かった。


「よし。"俺の剣"っと」


 あまりにも安直過ぎる名前に変更されてしまった。

 今は必要ないのでひとまずアイテムフォルダにインストールしておこう。そう思ってタップしたのだが、この時悠斗は妙なことを妄想していた。

 剣を掲げ、「俺の剣!」と叫ぶ自分の姿を。背景は雷鳴が轟き、ババーンという効果音もあった。

 自分の妄想に鼻で笑った悠斗は、この時インストール先の選択を誤った。


『葉月悠斗』


 ここにインストールしてしまった。

 実際のパソコン等と違い、このタブレットでのDLインスコは秒すら掛からない。一瞬だ。

 自身にインスコしたことにも気づかず、悠斗は次の事に取り掛かった。


「さて、じゃあ早速検索機能を使ってみるか」


 検索するのはこの世界のお金の価値だ。金貨を20枚貰っているが、これでどのくらいの暮らしが出来るか確認しておきたい。

 まずは通貨について調べてみる。音声入力を使って「この世界の通貨」と言えば、画面がほんのり点滅しはじめた。

 点滅が収まり浮かび上がったのは、分かりやすいイラスト付き説明文。


 イラストには金銀、そして大小の銅の硬貨が描かれている。

 銅貨は大小二種類。小銅貨10枚で大銅貨1枚となる。そして大銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨10枚で金貨1枚だ。

 通貨の単位は『エルン』。小さな銅貨1枚を基準に、1エルン、大銅貨1枚を10エルン、銀貨1枚を100エルン。そして金貨1枚は1000エルンだ。


 それを踏まえたうえで価値観を調べる。キーワードは「この世界のお金の価値観」。

 先ほどと同じように画面が点滅し、浮かんだのは、 


【お金大事! 生きていくために必要な物!】


 と、それだけが書かれていた。


「分かってるよそんなこと!! もっと的を絞るか……じゃあ、『宿の一泊の料金』」



∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


 大銅貨1枚から。最高値は現在、金貨18枚。

 平均的な宿であれば大銅貨3枚で宿泊可能。尚、食事料含まず。

 食事は宿にある酒場兼食堂でとるか、食事専門の店にて。

 一般的に大銅貨1枚未満で食事が可能。


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


 ――とあった。

 

 金貨18枚の宿は高級リゾートホテル並みだろう。そんな所で生活するつもりはない。

 大銅貨3枚の宿で十分だ。

 ということはだ、金貨20枚って……。


「いきなり金持ちじゃないか?」


 悠斗は先ほどまでのゾンビアタックと比べ、突然の優遇対応に思わず笑みが浮かぶのだった。






 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 まずは町を目指そう。なんなら村でもいい。

 で、町や村に行って何をするか。


「まずは何か食べたい」


 最初に異世界へ転移させられてどのくらいの時間が経っただろうか。

 実は空腹なのだ。結構、凄く、とても空腹だった。

 だがタブレットのどこを見ても食べ物は無い。ポーションもいいが食べ物を入れておいて欲しかった。


 などと思いながら、悠斗は草原を歩き出す。

 歩き出して直ぐ、前方に森が見えた。


「森の中なら食べ物があるだろうか? 食べれる物かどうかは、タブレットに収納して情報を見れば分かるだろう」


 これから進む森にはモンスターもいるかもしれない。いや居るでしょ。

 ファンタジー異世界で森と言えば、モンスターの巣窟というのはテンプレだ。

 同時に食べ物の宝庫でもある。 


「うん。これは剣が必要だな。えぇっと……あれ? アイテムフォルダに剣が無い。インストールし忘れてたのかな」


 だがDLフォルダにも無い。そもそもある訳ないのだ。悠斗の中にインスコされているのだから。


「無い? 無い!? 俺の……俺の剣(・・・)!」


 拳を握り天を振り仰いで叫んだ瞬間、悠斗の腹から剣が生えてきた。

2話と3話を若干改稿しましたが、特に話の流れは変わりません。

2話がゴチャっとしたお話になっていたので、少しシンプルにし

削った分をこちらに持ってきただけです。

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