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自由を愛する勇者ちゃん  作者: 夜月 紅葉
2、東大陸編
20/25

18、常に笑っている人ほど怖いよね

たまに出ていた拓人くんと優くんのお話です。

 今、相沢拓人はとても思考を停止してそのまま寝てしまいたい位に疲れていた。


 弱すぎるし周りの見えない勇者モドキ。

 向こうの世界にいた頃から毎日お節介を焼きにくる、邪魔なことこの上ない女魔導師。

 自由奔放で非常識なくせにデタラメに強い幼馴染みの剣士。

            

 そして何より、隣で笑顔・・強力・・広範囲破壊魔法・・・・・・・を創作している幼馴染みの優。


 小柄で常に笑顔を浮かべているこの幼馴染みは、誰がどう見ても人畜無害じんちくむがいそのものである。



 しかし、幼馴染みの俺から言わせれば、

         

 こいつは冬香よりも厄介・・でデタラメな存在だ。


 医学薬学に精通している優は事あるごとに自作した薬を人にこっそり盛っている。流石に人が死ぬような毒は盛らないが、腹痛を引き起こす薬だとか細胞を活性化させて自然治癒力を上げる薬だとかよく分からない薬を作っては人に盛っている。…ようは実験である。

 

 …まあたまに媚薬びやくを作ってはクラスメイトとかに売っているらしいが……

 

 簡単に言うと、優は人の生死を自由自在に操ることが出来る。しかも本人に罪悪感とかそういう類の感情が一切ない。

 特に冬香と俺が絡む事柄に関してはそれが顕著けんちょになる。


 物作りと言いながら科学技術を数世紀先に進めてしまうものを作り、躊躇ためらいもなく人を殺せる、常に無表情な人と、医学薬学技術を飛躍的に進歩させておきながら、効果のわからない薬や毒、人体実験、人体改造を躊躇わずにやってのけてしまい、躊躇いもなく人を殺せる、常に笑顔をたやさない人。


   どっちが厄介かは言うまでもない。

  (どちらも厄介かもしれないが…)


 身長150センチ、童顔(前髪で目元は見えていないが)という見た目とマッドサイエンティストと呼んでもおかしくない凶暴で腹黒な性格が全く合っていない。だからこそ厄介なのだ。

 

 気を抜いたら毒を盛られてる。


…まあ、最近毒を盛られているのはあの勇者モドキだけだから気を抜いていても毒を盛られないのだが


閑話休題


 

 それよりも、今はクラスメイトの集団から抜け出す方法を考えなくてはならない。

これ幸いとクラスメイトの輪から抜けた冬香と早く合流したい。



………隣で作られている広範囲破壊魔法は今いる城が軽く吹き飛びそうだが、俺と冬香、それと魔王とかの重要人物は生き残れそうだから無視していいか。

クラスメイトの1人や2人死んでもどうでもいいし、元々ここはそういう世界だ。


……隣で完成したらしい魔法陣を威力を落として暴走させて、騒動が起こっているうちに逃げるのもありか。


 頭が疲れているのか、おかしなことを考え始めた時、俺の肩が軽く叩かれた。


 「拓人、心配しなくても大丈夫だよー。この魔法を発動させるつもりはないし多分すぐにここから抜け出せると思うよ〜。ドラゴンが魔王城の城下町に空から降りてきたりして。ね?」


 満面の笑みで話しかけてきた優。



 ……なにが大丈夫だよ。むしろ問題しかないわ。


優が満面の笑みを浮かべるときは絶対・・によからぬことを考えている又は実行・・している時だけだ。


 俺は悟りを開くことにした。



 「あははっ♪頑張ろうね、拓人♪」


ノリノリで俺に声をかける優。その手には向こうの世界でも常に持っていた毒が塗ってあるナイフと小さめの注射器(おそらく中身は毒)があった。



 「…………モウヤダコワイコノヒト」



 大きな溜息をついた俺はとりあえず壁際で蹲って寝ることにした。


読んでくださりありがとうございます。

評価、誤字訂正などよければお願いします。



自分で書いておいてなんだけど、優くん怖すぎる…

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