第5話 山上紅麗亜と峯岸瑞希
廊下に近い列後方で手が挙がった。先に仕掛けたのは山上紅麗亜だった。悠太は紅麗亜のきつい目線に慄きつつも彼女に発言権を与えた。
「どうぞ、山上さん」
紅麗亜は頷くと椅子に大きな音を立てさせながら立ち上がった。またもや直後の席の男子の机に彼女の椅子が当たりそうになったが今度は先に机を手で後ろに動かしてかわした。その光景は滑稽で少し笑い声が起きたが紅麗亜のきっつい視線がクラス内を一睨みすると消えてなくなった。
紅麗亜は窓側最後列の瑞希を睨みつけると攻撃を開始した。
「峯岸さん、クイズ大会って何やるんですか?もう少し詳しく説明してもらわないと反対もできない」
紅麗亜ちゃん、カフェ案の説明より瑞希に先制攻撃だ。ワクワクするねと創太は表情に出すような無謀な真似はしなかったけど内心笑っていた。瑞希も瑞希で陽菜や紅麗亜に対して殺気すら表情を返して応じていた。こんな真剣な議論を目の当たりにできるとは中々幸せなことかもしれないな。悠太は困ってるだろうけどさ。
瑞希は紅麗亜から喧嘩を売られた喧嘩に受けて立った。
「例えばだけど2択の問題をみんなで10問ずつ作ればそれだけで400問出来る。それをシャッフルした上で出題して10問全問正解した人のラップタイムでランキングすると面白いんじゃない?山上さんの考えてるカフェよりは楽しめるはず」
紅麗亜は眉をひそめながら腕組みをすると瑞希を挑発した。
「へー。峯岸さんの案ってすごーい。感心はしてるよ。これは本当。でもさ、どうやって問題の面白さというか問題の質を確保するの?」
瑞希は首を横に小さく振った。
「そんなの、みんなで手分けして相互チェックし合えば事足りる話。大した問題じゃないと思うけど」
紅麗亜は呆れたように笑った。
「それで面白くできると思ってるんだ。その認識は面白いけどクイズは外れ掴む事になるよ」
そういうと紅麗亜は頑固な瑞希にはお手上げという身振りをしてみせた。