第2話 委員長 亘理悠太
月曜日。2年B組のロングホームルーム。亘理悠太はクラス委員長として議事進行の役割を果たすため教卓に立っていた。色黒、短髪。170センチの身長はバレーボール部員。身長は高いと言えないけどジャンプ力でカバーしているアタッカー志願のはずが気付いたらリベロで補欠時々レギュラーという位置になっていた。クラスの委員長には自ら立候補。他に対抗馬もなく悠太ならいいかなというゆるい空気もあって当選していた。
バレーボール部女子チーム(女バレ)でクラスメイトの陽菜に言わせれば「悠太は男バレで主将をやりたがったけど、補欠とレギュラーの間をフラフラしているから手を挙げにくいんだよ。だからクラス委員長になって自分にあると思ってるリーダーシップを証明したいんでしょ」。
悠太は陽菜に「そんな事はないよ」と言い返したけど図星だった。
今日の議題は来たる文化祭でのクラスの出し物選定。いろんな案が出るクラスもあれば出ないクラスもある。2年B組はどちらかといえばこれまでは出ない組だった。
悠太としても円滑な運営を心掛けていたのでクラスで主流派を動かす力があり「文化祭ってあれなら」とか盛り上がっていた陽菜と紅麗亜に探りを入れたらやりたい事があるからと言っていたので他に意見が出なきゃすんなり決まるだろうと楽観視していた。
悠太は教室内を見回した。さて仕事しますかね。
「それではうちのクラスでやる文化祭の出し物について決めます。何かやりたいものがある人は挙手してください」
静まり返った教室。俯くクラスメイト達。そんな中で一人手が挙がった。廊下より2列目、後方に座っている紅麗亜だった。紅麗亜の斜め左前の席の陽菜が率先して手を挙げてくるかなと思ったら今回は親友に任せてまずは様子を見ているつもりらしい。悠太は紅麗亜を当てた。