Twitterのトレンドから想いを馳せる乙女ゲーム悪役令嬢ものについて。
さて、Twitterトレンドにまで上がった「悪役令嬢」。
何かの作品がというよりとあるブログ記事がキッカケなわけですが。
まぁたぶん同じようにエッセイでこの件について書いてる人いるんだろうなーと思いつつ一応自分の考えをまとめたいのでネタ被り上等で書くよ。
今回は前回の話みたいな下ネタ要素もゲイ要素もないよ!
さて、先に書いておくと自分の場合乙女ゲームには手を出さなかった人間なので乙女ゲーム側の事情を深く突っ込むことはできません。
それと自分の場合なろうで読み始めて2〜3年くらい?の比較的ライトな層なので「なろう内の一大ジャンル形成の歴史」を堂々と語るようなポジションではなく、あくまで悪役令嬢ものを読み漁って感じた話なんですが。
悪役令嬢もの…というか「悪役令嬢が出る乙女ゲームもの」で一番謎だし突っ込まれる部分の
『そもそも乙女ゲームに悪役令嬢って出るの?』
これは今ならTwitterやってる人ならかなりリアルタイムの議論を見れると思うんですけど手っ取り早く結論から言うと
「ないこともないけど基本的にはほぼないしあるやつが明らかになろうの乙女ゲームの元ネタではない」
なんですよね。
乙女ゲーム悪役令嬢ものを読み漁ってる人ならよく見かけると思うんですがあの辺のやつで一時期(最近あんま見かけない気がするので一時期と書きましたが今も見るかな?)前書きで非常に多かったのが
「乙女ゲーム詳しくないんですが/やったことないんですが」
という注意書き。
…本来であれば「エアプで適当に書いてんじゃねえよ!!!」って突っ込まれても確かに仕方ないとは思うわ、これ(実際発端の記事はそんな内容ではあったし)。
でも正直気持ちは分かる。流行ってるからね。
そう、「流行ってるから」。
これ要はネットで広まる漫画のコピペと一緒で「元ネタでは本来微妙にちがう意味だけどそこだけ切り出すと非常に優秀なネタになるからめっちゃ使われてる」ってアレなワケですよ。
それはなろうの他の「テンプレ」と一緒で、
クラス丸ごと転移で皆チートスキルもらえたのに1人だけ不遇スキルだった、とか。
田舎で平和に暮らしてた幼馴染の男女がいて、女の子の方が聖女認定され勇者と一緒に旅立った、とか。
勇者と一緒に旅をするパーティのうちの1人、冒険者のおっさん、とか。
なろうに入り浸ってる人なら上の説明でだいたいどんな流れかわかりますよね?
もうだいたいどういう感じから始まって何が起こって何をするか大体読めるレベルで想像つきますよね?
…何?オリジナリティがない?
必要??
ライトに流行ネタに乗っかって気軽に楽しみたい人間がそこまでオリジナリティ期待すると思う???
結局そういうことなんだと思うんですよ。
Twitter大喜利やってる人達だって別にこのネタ一本で生活してこうみたいな本気度じゃないんですよ。それと同じなんじゃないかなって思うんです。
いえまぁ人によっては「テンプレを逆手に」って気持ちで気合い入れて書いてる才能のある人もいるでしょうし逆に(こう言っちゃなんですが)漫画の投稿で二番煎じ作品出す人みたいにオリジナリティがない自覚がない才能のない人もいるでしょうし…というかまぁその辺りを批判するつもりもないし決めつける気持ちもないんですけどね。
特に短編を書く人にはめっっちゃくちゃ便利ですよねこういうテンプレ。
どこまで考えようどこまで説明しようみたいなとこに頭悩ませず思い浮かんだネタを反射でパッと書ける気軽さ。
何よりパクり騒動に巻き込まれる心配のない安心感!
ちょっと本筋に戻して「乙女ゲームの悪役令嬢の元ネタの話なんですが、ぶっちゃけ言うと「特定の元ネタなんてない方がむしろいい」んですよ。
なろうでも金字塔的な超有名作品あるじゃないですか?
自分自身あまり興味を惹かれなかったみたいなのもあって読んでない作品も多いんであまり堂々と言えないんですけど…。
例えば悪役令嬢ものを書こう!といって「転生したら代々顔が悪役にしか見えないという家の令嬢に生まれた。国内の貴族のパワーバランスのために王太子の後宮に入ることになった」ってあらすじの小説を書こうとするじゃないですか。
絶ッッッ対に「悪役令嬢後〇物語のパクリだろ」って言われますよね?
これは当然なろう外の作品でも同じで「元ネタが分かるくらいの特定の作品一つに絞ってネタにしたらパクり扱いされる」って当然の話なんですよ。
当然避けるよ。ここのコメント欄の(いやなろうに限らずなんですが)指摘の怖さは書き手がよく知ってると思うよ。
正直こういう「最終的にこれ何が元ネタなの?って掘り返せど掘り返せど起源が何か全然わかんない」ってアマチュア投稿式の集団では何も珍しくない至極普通のことだと思います。
同人界隈だってどこから始まったかはよく分からんけど本来の原作には出てこない要素なのにクラスタ内ではもはや当たり前くらいまで広まってる二次創作とか見るじゃないですか?(下手に例を挙げると飛び火しそうなので触れませんけど平和なところでグラブルの雄ドラフ母乳ネタとか)
一次だってそうです。なろう以前から女騎士くっころだってそうですし、あと女性向け界隈だとBLものの「王道学園もの」ですね。
個人的にこの「王道学園もの/アンチ王道」あたりはなろう乙女ゲームものの元ネタとまではいかなくても根っこは近いものがあると思うんですよね。
というかキャラ構成がまんまだだ被りなんですよ。
本来はモテる要素皆無な立場なのに天真爛漫さで周りを攻略してく転校生。
学園内ヒエラルキートップの俺様キャラ。
腹黒秀才気質のナンバー2。
心の底では自分に群がる人間たちを見下してるチャラ男のナンパ男。
やや脳筋の口下手系マッチョキャラ。
そしてそこから反転して天真爛漫さを履き違えた傍若無人転校生とそんなアホに骨抜きになって自分達の行うべき職務を放棄する攻略者たち。
これ正確に書くと長くなるから箇条書きマジック使って意図的に似せたは似せたんですけど正直もうちょっと詳細に書いても被るんですよね。
で、王道学園/アンチ王道ものとなろう乙女ゲーム&悪役令嬢ものの一番の差って(いや一番と言えば男男カプか男女カプかって話はあるんですけどそこではなくてキャラ構成の話としてね)まさに「悪役令嬢ポジションがいるかどうか」なんですよね。
アンチ王道ものだと悪役令嬢の立場である「転校生と攻略者たちと正面から立ち向かう主人公ポジション」がかなり流動的なんですよ。大抵は「作者の好きな役職/属性/キャラポジション」ですね。
チャラ男風だけど実は純情で生徒会長に一途な会計とか、同じく俺様風だけど実は恋愛に疎い生徒会長とか、一匹狼の不良っぽいけど恋愛には疎いヤンキーとか、クソみたいな王道転校生と同じタイミングで転校してきたこっちはマトモな転校生とか。
あ、ちなみに大抵その主人公は受けです(キリッ
一方なろうの悪役令嬢ものはもうカテゴライズからして主人公ポジションが固定ですよね。
これは王道学園もの/アンチ学園ものを知ってる人間としては何というかけっこう面白い傾向だと思います。
しかし一方でこの2つのジャンルの共通点がどこ由来なのかは分からないんですよね…。
時代的には明らかに王道学園/アンチ王道の方が先ですけど、世代的にたぶん30代くらいの腐女子がメインで影響を受けたあたりだと思うのでそうなるとなろうの年齢層的に被ってるか…?と思うと不思議なんですよね。
でも女性向け転生ものだとアラサー女が転生するのってかなり多いのでそう考えると両者が被ってる…?とも判断できる。かも?
あ、そういえば面白いなーと思う共通点の1つに「影響を与えたと思われる商業作品での人気作品が思い浮かばない」ってのもありますね。
明らかにひと作品だけが影響を与えたたんではなくて、「流行ってて面白いから自分もやってみて、それがどんどん広まっていった」というところ。
個人的にはこの辺のムーブって面白いと思いこそすれ廃れろ辞めろとは全く思ってないんですが、ひとつだけ問題点が。
それは「乙女ゲームの意味合いが一人歩きして本来の乙女ゲーム愛好家たちと乖離してしまってる」ってとこですね。
冒頭のブログもまさにそれが発端だと思います。
そういえば今回悪役令嬢が槍玉に上がりましたけど、なろう乙女ゲームもののツッコミどころとしては「逆ハーエンド」もありますよね…。
たぶんそれはくだんのブログ執筆者が悪役令嬢もの嫌いであまり読んでないからだとは思いますけど。
個人的には悪役令嬢より逆ハーの方が乙女ゲームのイメージに悪影響な気がするんですけどね……。
しかし現状のなろう内での乙女ゲームものの概念は完全に定着してしまってます。
個人的には乙女ゲームプレイヤーさんが「これこそが、由緒正しき乙女ゲームだよ!!!」って現実の乙女ゲームに即した作品を投稿してくれることなんですけど。