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世界を歩く少女 えぬ  作者: tomo
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希望の世界5 星空の下で

「うん、順を追って説明するとね」とケイは前置きをして希望の街ホルプの話を始めた。


「あの街の住人は塀に囲まれた中で生きている。塀の世界はさっきみたいな巨大ミミズやら何やらがいるというのに、なぜか非常に楽観的なんだ。基本的に住人たちは街の外へは出ない。初代な物資とかはすべて飛行船でやり取りをしているんだ」


飛行船の話は、マヤからも聞いていたのでその通りなのだろう。それに、宿のフロントマンも簡単に宿に泊まらせてくれた。「希望の街」というのを合言葉に。


「実際、他の街には、危険な生き物たちを防ぐ塀がないから住民たちは辛い思いをしながら生きている。ホルプだけが他の街の幸福を吸い取っているかのように幸せに包まれているんだ。えぬは、どう思う。」


えぬは少し考えてから言った。


「それは少し嫌だなって思う。だけど、私が会ったホルプの人たちは、外の世界を差し置いて、自分たちだけ笑えてればいいなんて人たちじゃないような気がする」


「うん、そう、そこなんだ」ケイは考え込むような顔をした。


「ホルプの人々は、心の底から楽観的なんだ。明日への希望を信じている。まるで外の世界のことなんて知らないかのように。ただ、そんなことなんて有り得ない。もし知らなかったら、外の世界と隔絶した街を作ろうとはそもそも思わないはずだからね」


「私もそう思う。少し不気味なくらいに幸せそうだった」


「あの街に住み始めると皆そうなるんだ。外の世界を忘れたようになってしまう。この大陸の王は、他の街の物資もどんどん飛行船でホルプに運んでしまう。ますますホルプ以外の街は貧しくなっていく。あの街にはなにかがある。だから、あの街の住人になる前に君を連れだそうとしたんだ」


2人は並んで草原に腰を下ろした。草が風でそよめく。少し冷えてきたので、ケイはえぬに毛布をかけた。カナヘビは2人の背中にくっついて寝息をたてている。ケイはカナヘビの体を枕にして寝転がった。真似をしてえぬも寝転がった。夜空に闇に天の川の光の粒が瞬いている。


「さっきは助けてくれてありがとう。ケイたちは、不思議な力をもっているんだね」寝転んだままえぬはケイの方を向いた。


「どうやってあんなに強くなれたの」


「うん、僕らの力はね。思いの強さなんだ」


「思い?」


「僕らに強くあってほしいというか、うん、強い存在だと信じてくれている思い。それが僕らの力のもとなんだ」


えぬはよくわからなかったがとりあえずこくこくとうなずいた。


風がまた吹いてきた。えぬはケイの側に寄り、自分にかかっていた毛布をケイにもかけてあげた。「ありがとう」と空を眺めたままのお礼が返ってきた。


えぬは久しぶりにこんなに他人に心を許している気がした。自分を助けてくれたからだろうか。不思議と隣にいても嫌にならない。心臓の音は鳴り止まないが、緊張はしていない。


「もうじきアンナとシュウが薪を集めて戻ってくるかな。少し寒いかもしれないけど、疲れただろう?見張りは任せて、先に、休んでてね」


「うん」


安心していたら眠気が襲ってきた。そのまま脱力していく感じに身を任せ、えぬは眠りに落ちた。安らかな安堵に包まれて幸せだった。


しかし、その眠りは長くは続かなかった。

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