〜夢と金の裏オークション〜
夢を売り買いする。それも夢のような話だが、この世ではそれが可能。
その人その人にも、見てる夢や世界などは違う。それを売り買いするということは夢の映画を売って買ってそれを観れたり見せたりするという市場があるのだ。
これを夢市場と呼ぶものも多い。
その夢市場にこの物語の主人公がいた。
芦木健。
この男はいわば夢市場の買い方や売り方をマスターしているいわば夢市場マスターとでも行っておこう。
そして、この物語りはこの男が夢市場を中心に色々な奴らの夢をいかに安く手に入れいかに自分の夢を高値で取引するかその血も涙もない金金金の話である。
No.1「金」
司会「さー!!今夜も始まりました!dreamオークション!今夜もどのような夢を売り込む方が来るのか楽しみです!」
夢市場。それはこちらの奴らはdreamオークションと名を作っている。
芦木「さて、取引するか。」
dreamオークション(夢市場)の取引は個人制だ。制限時間内にどれだけの金額で取引された、夢があったか。
個々には一人部屋が設けてあり、商談用のソファーと机、ロッカーとベッドルームとシンプルな作りだ。(泊まり込みの方にも兼ねてのサービスらしい。)
そこに買いたい夢買い人がやって来る。
夢はオリジナリティがどれだけあるか世界観。内容。人物。
それぞれ違う夢売人は好きなように勝手に値段を付ける。(だが、値下げを求める夢買い人もいないこともない。)
ここでは、いかに夢買い人を騙し、自分の夢に高い値を付けるか。そこがマネジメントの一つになる。
高木「お疲れ様です。」
最初の夢買い人がきた。
この客は芦木の常連客だ。常連は上手く騙せるいわばかも。
芦木「お疲れ様です。高木さんですね。今日はよろしくお願い致します。いつもごひいきに。」
高木「いえいえ。ありがとう。今日もいい夢。ありますかね?」
芦木「はい。こちら先日の12日に見た夢になりますがこちらはどうでしょう?」
夢を売り買いする際に一番必要なことそれはあらすじ。それが重要になる。
夢市場では最初にdreamstationと言われる、夢にリンクし、DVDやブルーレイにダビングする作業をしなくてはならない。いわば夢のDVDショップみたいな所に夢売人の夢は保管される。
そこで最初にあらすじを考えないと高値では売れない。あらすじや登場人物、相関図などを見せることもマーケティング戦略の一つにもなってくる。
ここでツボにハマるあらすじではないと高値では売れない。
ということは、高値では売れないようなショボい夢でもあらすじ一つで高値で売買が可能ということになる。
それをこの芦木はおもしろい内容でしかもそれを超えるあらすじをそして高値で売るから人気という訳なのだ。
高木「こ!これはまたさらにおもしろい内容だ!いくらだ!また買うよー!」
芦木「今回は定期購入の方だ。割引で、120万はどうでしょう?」
高木「う。今回もいい作品だ。それ位なら。。。この値段は妥当だろうか。」
芦木「安いところだ。他よりここは安価だと思う。田中の所なんか1千万で高値過ぎて夢警察に捕まったほどだ。」
夢市場は国も認めている安全な市場だ。なので、警察も配備している。ここでは夢警察と呼ぶものが多いようだ。
高木「なら、買うよ!ありがとう!いいものを見せてもらうよ。」
芦木「ありがとうございます。」
司会「さあー。今回の高値夢は。芦木さんの夢。120万だ!」
高木「なに!?」
芦木「ふっ。あの客はちょろい。」
そう。高値夢になった夢はボーナスとして夢売人に報酬が得られる仕組みだ。
そしてそれを買った夢買い人は高値で買われたことに腹を立てそれをまた裏で買おうとする者が多くなる。
なのであまりこの高値夢にならないように夢買い人は買わないと損になる。
なので、今回は夢売人の芦木の勝利だったということだ。
芦木「今回もいい取引だった。」
司会「高値夢に登録された芦木さんにはご自分の銀行に振りませて頂きます!」
会場「すごいな!」「またこの男だ!」「誰だろう!」「こいつの夢を買いてぇな。」
ここからどういかにまた騙せ。人を買わせるか。そこが重要。そこが闇を知ることになる。
これこそ金の猛者が集まる。世界最悪と言っていいほどの市場になってしまった。この物語りはその世界をどう芦木が騙して変えていくか。買わせていくか。その物語りでもある。