幕間
本編の内容とは関係がありません。
先日、ある本を買ってきた。
普段なら目に付くこともないような本。
だが、いまの状況でなら役に立ちそうな気がする!
そう思い、買ってきた本のタイトルがこれだ……!
“恋人ができたらしたいこと・特集号”
クッションの上に座りながら、ゲームをする白月。
真剣な目、そして綺麗な姿勢のままでゲームをしていた。
俺はそんな彼女をはた目に見る。
そしてこちらに視線が向いていないのを確認して、雑誌をペラペラと見る。
ほうほうなになに、ランキング形式で紹介されているのか――
“三位 バドミントン”
カコーン
カコーン
寒空の下、自宅の近くにある公園。
人っけのない場所で俺たちはバドミントンをしていた。
しては、いるのだが、
「……」
「あ、あはは。たのしいなー」
も り あ が ら な い!
わかっていたさ! 暖かい部屋でゲームを楽しんでいた彼女。
そんな彼女に向かって「四十秒で支度しな! できなきゃ、ゲームのセーブはさせないよ!」と言って、無理矢理つれてきたからな。
彼女の機嫌は最悪。こんな見下ろすような目で見られたの、いつぶりだろう……
「さむい」
「……帰ろうか」
「ん」
“二位 周りに自慢”
「……」
なんだこのふざけた雑誌はっ! と怒ったのも幾星霜。
俺は真面目に自慢メールの文面を考えていた。
「よしっ」
この内容なら、だれしもが羨ましがるだろう。
そう思いながら悪い笑みを浮かべていたら、
「……ッお兄さん!」
耳元から彼女の大声が聞こえた。
思わず「はいっ!」と驚いてしまったが、当然の反応だろう。
にしてもなぜいきなり叫ぶんだと思ったら、
「はぁ、やっと返事した。さっきから声かけてたのに」
彼女のあきれた声が聞こえてくる。
……メールを書くことに集中していて、彼女の声に気付かなかったらしい。
俺は心の中で小さくため息を吐いたあと、携帯の電源を切った。
“一位 ひざまくら”
「おにいさんのひざ、かたいね」
「だろうな。男の膝だし」
あのうさん臭い雑誌。
その雑誌に書かれた二位と三位を試して、ロクな目にあわなかった。
が、一位はそうでもないらしい。
彼女の顔を見る。
硬い膝の上にいるのに、心地がよさそうな表情をしていた。
……さっきまでのトゲトゲとした表情とは大違いだ。
「もう少し、このままでいい……?」
「もちろんさ。お気の召すまで、どうぞ」
艶かな髪をなでる。
彼女の猫のような瞳はゆっくりと閉じていき、次第に寝息が聞こえてきた。
……
緩やかな時間の中。
彼女の「こんどはわたしが……するね」という言葉に、返事を返す。
けれども、その言葉に返事はなかった。どうやら寝言だったらしい。
俺は苦笑いをしたあと、あの雑誌を手に取る。
ちょっとは役に立ったなーと思いながら、ページをめくるとこう書かれていた。
“特別編 やっぱりエッチが最高! ~体位の学び方、A・B・C~”
やっぱりエッチが最高っ!
じゃなかった。なんてもん書くんだこの雑誌は! 役に立ったと感じた俺が馬鹿だった!!
彼女を起こさないようにしながら、雑誌をビニール袋に包む。そしてゴミ箱へ投げ捨てた。
「ふぅ」
これで彼女に雑誌の内容がバレることはないだろう。
俺は晴れやかな表情を浮かべたまま、彼女の寝顔をしばらく眺め――
――お約束というものだろうか。
後日、彼女にあの雑誌が見つかってしまった。
そして内容もしっかりと見られてしまい……
また来週、更新します。
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