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スターダスト オブ ジ アース~Volume 7 magicians~  作者: 抹茶スクロース
第3章 素の魔法使いと玄の魔法使い
21/26

風×雷=

『まほ…う使い?何やそりゃ、下らんの!』

『勝手に下らないって決めないでよ。今、こうして落下してる訳だし』


やっと男子が落下に気付く。それに遅れて風子も気付き、大慌てする。いけねっ、風が無い!今の実力じゃ、風が作れないっーーーー。だが、地上の寸でのところで、ゆっくりと2人は着地した。


『おっ、まさかこれが魔法?』

『うん、そうだけど』


2人の下に青く光る魔方陣。風子は目を爛々と輝かせた。


『すげー!人間業じゃないや!』

『だから魔法使いだって』

『まほー!下らんどころやあらんな。やっぱ下界来て良かった!』

『…………本当に君は風神なの?』


風子は笑顔で頷く。お礼に、小さな掌に似合う、小さな竜巻を作って見せた。男子も少し感心したのか頬を赤く染めた。


『なっ、風子も人間やあらへんやろ?仲間やなっ!』

『仲間……?』

『うん!って何や、そない敏感なって。主は友達おらんのかい』

『友達……?』


男子は小さく震える。孤独感を感じていた余り、そういった言葉には対応出来なかったのだ。


『幼なじみなんて魔法使いに居ないよ…。生まれた時から家族とかも居ない。それに、人間となんて対等に生きや出来ない。そう、俺は……』

『じゃあ風子が友達や!』


涙が溜まる目で風子を見た男子。目が充血し、赤くなっていた。風子は相変わらず笑顔が咲き誇る。


『何で友達おらん、とかやあらへん。風子らもう立派な仲間や!』

『だからって、神と魔法使いも…』

『対等になりゃええねん!もう、くどいなー』


対等になれば良い、壁があるなら乗り越えるのではなく、壊せば良い。そんな考えをすることは、男子には出来なかったのかもしれない。


『風子、どうせ家帰られへんし。おにーちゃんも暫くとか言っといて何時かも分からん。下界で住まなあかんねや。だから、』


きっぱりとした口調で、真剣な眼差しで、風子は相手を思う。


『今日から主とは友達や!やから、主の名前聞きたいなー』


男子は、涙を拭い、鼻を啜った。そして、普段は見せない小さな笑顔を風子に見せた。


『蜂鳥 夏彦って名前』

『いけめんやわあー、おにーさんの名前。風子って言うけど、折角ならもっと下界に向いた名前付けてな!』


夏彦は赤い頬を掻いた。そして、ぴんときたのか、手を叩いた。


『舞姫、とかは?』

『やあーん、天女にいそうでべっぴんさんやわー!気に入った!』


風のデュエット。2人の仲間は、空の雲も吹き消す勢いだった。




あ。視界が普段の世界に戻った。皆が心配そうに見てる。結局、蜂鳥の過去しかはっきりとは分からなかったな。まさか、あんな奴が孤独に怯えていたとは…。


「ちーちゃん、大丈夫?」

「私は大丈夫。って、ウイルスは?」


私は急いで起き上がり、外へ出る。駄目だ、やっぱしまだ人は死んでる。私は蜂鳥の方へ振り返る。涙のせいか、少し鼻が赤くなってる。だけど、折角過去を見たんだ。私は…………。


「何が孤独だ馬鹿野郎!」


私は大きく息を吸った。そして、しっかりと蜂鳥を目を合わせる。少しだけ、表情に怯えを感じるな。ようし、行くぞ。


「何だ、損した。もしかしてだけど、貴方が全てを負おうとしたんでしょ?ほんっと、鳥頭!」


図星か、奴は暫く黙る。7人で仲間が増えたイエーイ、でも仲間が死ぬのはブー。俺は死んでもいいから、八重樫はダメよー。…………ちょっとラップ風に言ってみました。おまけに、私には何かあるってことを言いたいんだろう……。


「ごっちゃごちゃの御託はいらない。今はただとっととカタをつけるの、………私が弱くても貴方が居れば百人力なんだから」


私は即座に部屋を出た。正直に恥ずかしかったの。顔がとても暑いもん。さて、まずは、ウイルスの究明に迫るしかないか…。


「それはウイルスじゃない。データチップを体に取り込まされたんだ」


ゆっくりとした足取りで、コロン宅から蜂鳥が姿を現す。何か雰囲気が変わったか、優男に見えた。気のせいだと思う。


「今の科学はデータチップでも強烈な毒を放つ。だから何とかしたいなら、データチップを潰せばいい」

「そっか!………手伝ってくれる?」


蜂鳥は溜め息を吐く。だけど、その表情は笑顔だった。


「勘違いしないでよ、俺は人間の為に戦うんじゃなくて、自分のプライドの為に戦う」

「いつまでもお前は……」


蜂鳥は三本の指を立てた。これは、特定の魔法の合図。奴と、コンビネーションとかするときに役立つ。私と蜂鳥は共に横に並ぶ。そして、それぞれの足元には輝く魔方陣。見よウォーリア共、これが本当の混成魔法だっ!


「舞い給え。風の聖霊よ」

「謳うは雷雨を翔ける者」

「集い奉れ。我の名の下に」

「現れ給え。黄金の獅子よ」

「「我らは全てを紡ぐ者なり!」」


黄金に輝く獅子が唸り、叫び、音を立てて暴れ狂い、データチップを灰へと化していく。風が獅子をフォローして、竜巻のような追い風を作る。だが、もとはこれ、戦闘用だから、人には効きすぎだと思うけども。


「全員、無くなったかな…?」

「いや、まだだね」


上には主犯のヘリコプターがまだ居る。蜂鳥は今の魔法を解除した。雷の獣は姿を消す。そして、蜂鳥の足元には大きく青い魔方陣が展開される。


「龍の息吹は火となり、風となれ。憐れなる罪人に裁きの鉄槌を討て。風を紡ぐ衣は空を斬り、光を差せ」


その瞬間、目の前が世界の終わりのような光景に見えた。風が何もかもを飲み込み、ヘリコプターを滅茶苦茶にしていく。家も、人も、魔法に飲み込まれる。流石に、やりすぎじゃ……。


「どんなときも犠牲は付き物。まさにハイリスク・ハイリターンさ」


隣には謎の男が立っていた。金髪に、黒縁眼鏡。服装から、バーテンダーみたいにも、ホストみたいにも見える。または………って、誰だよこいつは!


「貴方は誰ですか?」

「しがない旅人、かな。時に君は甘い、未熟者だ。何かを手にしたらその分何かを失うのをまだ知らないのだね。幸福者が居るから不幸者が居る、それが世界の成り立ちだよ」

「貴方は何が言いたいの?」

「俺はヒントを与えない主義なんだ。いずれ気が付くよ、小さな朱の魔法使い」


気付けばキザ男は消えていた。代わりに、トランプのスペードのエースが落ちていた。だけど、さっき朱の魔法使いって……。その思考を妨げるように、ヘリコプターが音を立てて墜落する。青い光も次第に途絶えた。うーん、後で考えよう。

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