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スターダスト オブ ジ アース~Volume 7 magicians~  作者: 抹茶スクロース
第1章 山吹の魔女と翠の魔女
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出会いと別れ

今、仮に人間が旧石器の頃へ戻ってしまうと一体どれだけが生き残るのだろうか?私はこの世界が便利なのは幸せだと思うのに、大切な何かを失っていることには随分鈍感になってしまったようだ。だから気づけ、千里。大切なものを見つけるには今の世界を壊すことを。腐った鉛を雷で落とすことを。




八重樫(やえがし)千里(ちさと)。どこから来たかというとその辺からで。よろしく」


私の名前は今言ったように八重樫 千里という。

中学3年まではまた別の地方にいた訳だけど、突然こっちに引っ越してきた。一応親の仕事上ということだが、実のところ私は天涯孤独。しかも人間にはない力を手に入れてしまった存在だったから身寄りもない。

人間は同類以外はものすごく毛嫌いが激しいよう。同族嫌悪(どうぞくけんお)という言葉に据え置きすることもなさそう。

だからといってホームレスにもならなかった。新たな人物に引き取られた。

そういった話はまた今度ゆっくりしたいな。そして、ここまでやってきた。


「そしたら八重樫は(さかずき)の隣で」


眼鏡の女教師はそう言った。

すると、周りは少しざわついた。

だが、私は杯という女子の隣へ颯爽と行った。黒いセミロングの愛嬌(あいきょう)のある女子だった。


「よ、よろしく!えーっと…」

「好きな呼び方でいいよ、別に」

「じゃあ…ちーちゃん!よろしくね」


しくった…!!軽く流したのは良かったけど、杯の下の名前を聞くのを忘れてしまった。

私こそあいつを何て呼べばいいんだ!聞き返すなんて真似は馬鹿だ…。


「あ、一応だけど私は杯 香苗(かなえ)っていうよ。折角だから私もさん付けじゃない言い方がいいな」


神様…!今、初めて貴方の存在を確信した……。ありがとう、今度1円玉を賽銭箱(さいせんばこ)に入れとく。


「分かった。じゃあ香苗がいいな」

「やった!やっと友達ができたよ!」


友達の基準低っ!…って今、やっとって言ったの…?やっとって何!?貴方は私が初めての友人なの!?

…あ、分かった。何故やっとなのか分かっちゃった。けれどあえて言わない!


「そっか、なら良かった」

「ううん!全然だよ」


香苗は満面の笑みをしていた。

可愛いのか可哀想なのかは正直、未熟者の私には分からなかった。


「杯、休憩時間に八重樫に学校案内をしてやれ」

「分かりました!」


香苗は先生に向けて敬礼をする。というのはいいけど、周りの声がちょっと気になるな…。

まあ、それも学校に慣れてからで行こう。




「ここが美術室。で、向かいが音楽室だよ。あと……」

「待って…待つんだ…。私は言うほど賢くないから頭にインプットが上手くできないんだ…」


まさかこんなに学校案内が辛いと思わなかった。もう転校なんて御免……。


「それから…」


ふと、香苗の話を遮るように隣にすれ違った金髪のロングヘア女子と青い髪の男子のペアが気になった。

制服じゃなくて気品のある黒い服だった。

しかも、こっちを見て笑ってきた。自意識過剰な人かな?あ、関係ないか。


「あれが7人の魔法使いの1人か……」

「何ともちっぽけそうな女ですわね」


背後からそういった声が聞こえた。ちょっとというかかなりこの学校危険っぽい……。


「でねでね、そっちが……」


もう嫌だー!!どうにか話を反らしたいが…。


「ところで、ちーちゃんって『アテンダント』って知ってる?」


向こうが反らしてくれた。

香苗もついに学校案内をすっぽかしたようです。


「いや、聞いたことないよ」

「じゃあ、この地方限定かなあ?『アテンダント』っていうのは電脳世界なんだって。すっごい研究者とかが何か色々プログラミングしてその電脳世界に『ウォーリア』っていう人を作ったんだよ。目的はより社会を発展させるためだとか様々らしいんだって」


世界のテクノロジーは遂に世界を創れるようになったんだ…。そして、人造人間か…。


「でね、今の実験でウォーリアをこっちの世界に持ってこれるか行ってるらしいよ」

「結果とかは分かってるの?」

「いや、まだだって報道してるみたい。でも中には成功してるっていう人もいるって」


ふうーんと気の抜けた返事をする私。何かそれが良いことなのやら悪いことなのやら…。


「…って次の授業復習テストとかじゃなかった?」

「あー!どうしよう!数学の何やるの!?」

「数学Ⅰ」


キャー!と女性らしい叫びを発する香苗。ちなみに私も基本物理以外はカス分類。

どうしよう、しょっぱなから恥かくなあ…。




復習テストとかもう大っ嫌いだ。天は我を見放した!やっぱり1円玉入れないからな!!


「残り5分」


私の人生の終わりも残り5分。最後にカップ麺を作りたかった。………ん?地震?ゴゴゴゴと地鳴りが激しく、校舎も大分と揺れる。そして、


「何だあれは!!」


戸惑う周りに追い討ちをかけるように空からは太陽の光を浴びてたくさんの爆弾が投下されていく。

ああ、私の人生も本気であと5分だね…。

そして、グラウンド中央に立つあの黒い2人。あれが多分香苗の言ってた……


「ちちちちちーちゃん!あっあれウォーリアだっ!!」

「言わなくても多分あれだって分かったよ!」


何せ爆弾が当たってもかすり傷1つもない。

あの体も金属類かな?でもそうしたら心臓部とかもろもろ……って爆弾!ヤバイ、当たる!!


「我、汝を定めん。降りしきる鉛の雨を虚空へ葬れ!」


その声は爆弾を全て消し去った。

そしてそれを言ったのは私です。人間にはない力、それは魔法を使うこと。

つまり私は、魔法使いに当たる者。

魔法使いは人の前で魔法を使うことを基本禁じられている。というのは、人間お得意の欲望で世界の混乱から守るため。


「消えたっ!今のうちに逃げろ!!」


クラスにいる人間は皆外へ逃げていった。

香苗を残して。


「香苗は逃げないの?」

「ちーちゃんを残しては逃げられないよ……私、チキンでも友達は残せない!」

「まあ、何て意味のない言葉なんでしょう!」


振り返った先にはさっきすれ違ったあの女子、そして隣には同じくさっきの男子がいた。


「魔法使いも人間を大切に思うのですわね」

「ほえ!?ちーちゃん魔法使い!?」

「それはまた後で話すから!それよりも今は…」


私はキッと2人を睨む。ウォーリアといえど外見は人間か…。


「本当に憎たらしいことするよね、機械風情が…」

「あら私達は魔法使いの分際で貴方を潰しにきたのよ。他の魔法使いも同様に」


仕方ない、向こうもやる気だし、今ここでこの機械を潰す!


「待って」


すると、隣にいた男子が女子の前に手を差し出した。

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