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スターダスト オブ ジ アース~Volume 7 magicians~  作者: 抹茶スクロース
第2章 橙の魔法使いと蒼の魔法使い
18/26

其々のtrue story

「面白い話じゃと?ふん、笑わせるな」


彩奈は男を鋭い目付きで睨んだ。その迫力に相手も少し驚きの表情をした。


「別に戦うつもりは無いのにそんなお払い箱みたいに扱わないで下さいよ」

「早く話をして。私達も戦うつもりは無いけどこのままじゃ倒しざるを得ないわ」


琴音は冷静ながらも警戒をするという難しい対処を取る。男は目を細めた。


「“魔法使い狩り”って知ってますか?」

「………昔に誰かが造り出したただの遊びじゃないの?」


まあ近いです、と受け答えをする相手。琴音の答えに首を傾げる彩奈はどうやら知らないようだ。


「魔法使いのように人間じみていなかった者……奴隷などを遊びで殺してしまう、という昔の話です。マスターの整備が終わったようで会議にその話が上がりました。恐れながら魔法使い狩りを精霊騎士団で行うということに」

「何?貴方と今から戦うって?」

「いや、俺は戦いません。戦うのは…」


男の背後に淡々と近付いてくるのがいた。その姿を見て彩奈、琴音は驚愕した。


「こちらが我ら精霊騎士団の団長ですよ。お二方」




精霊騎士団の本拠地に黒十と夜々はやって来ていた。貫禄のあった基地は今となってはただの廃虚に過ぎなかった。床には夥しい量の機械の部品。


「駄目だ!全然雑魚い!」


黒十はガラクタになった身体を踏みにじった。反対に夜々は軽々と機械を避けていく。


「で、燃料って何処だよ!?」

「何で私に訊くのよ~!?そういうのは夏彦に訊いてよお!」


軽く舌打ちをする黒十。すると、誰かの気配がして即座に夜々を掴んで物陰に隠れた。見えたのは精霊騎士団の2人と中央に背丈のあるまだ見たことの無い男が座っていた。


「…………の準備が出来ました、マスター………」

「順調だ…………の……は…………となる。もうすぐで……………」


「彼奴は遠坂じゃないか!!」

「……?USBのデータ、って何かしら?」


夜々はじっと3人を見つめる。小さくて聞き取りにくい言葉も夜々には聞き取ることが出来るのだった。


「…………にある…………に……………」

「そうか、……………だ…………」


「殺してえー!」

「ちょっと黒十様!」


その瞬間、相手側は此方を見た。だが、そこには誰も居ない。


「……影花」

「はあ、良かったあ~」


黒十は相手には見えていないように工作したのだ。小魔法でも十分な威力を発揮する属性の1つを黒十は使うのだ。だが、


「何をしている?」

「「!?」」


目の前に精霊騎士団の2人が遮る。遠坂を除く2人は気付いていたのだ。無論、遠坂は気付いていない。けれども黒十と夜々は立つ気配が無かった。


「?」

「あん?」


黒十と相手の1人がお互いを見た。何かを察したのか目を剥いた。その途端に黒十は普段見ない表情を見せた。


「夜々、」

「はあい?」

「ちょっと寄り道するわ。話の内容、他所に漏らすなよ」


御意、と夜々はとりあえず言われるがままにその場から消え去った。その後についてはまだ誰も知らない。




私と蜂鳥は再びコロンの家の居間に座らせてもらっていた。コロンは麦茶を私達の前に置いた。


「間に合って良かった。嫌な予感は的中するものだね」

「いろりちゃんは?」

「家で昼寝」


ほあ……流石は10歳、疲れるよね…。私もなかなか疲れるけどね。


「さて、訳を聞こう。何故精霊騎士団が居たんだ?」

「毎日来るんだって、彼奴」


気の無い返事をする蜂鳥。考える気あるんかいな。蜂鳥はコロンのデスクに目をやった。散らかっていて受験生や研究者みたい。


「君の本業は?」

「えっと…研究者よ」


あっ、やっぱり研究者か。重要そうな資料がザクザクだ。すると、蜂鳥はある部分を指差した。


「あのUSBには何が入っているの?」


白いUSB。研究者に重要機密を訊くのは馬鹿だよ…。流石は鳥頭。


「研究にあたっての大切な情報よ。中身は言えないわ」

「言えない……ね」


蜂鳥は鼻で笑う。こうやって他人を馬鹿にする魔法使いだけど、実際本当に賢いし勘も鋭い。ほんと、腹立つ手札を持って生まれたのね。


「研究って具体的には?」

「基本的に物理学かしら」


蜂鳥は黙る。何か考えてる顔だ。だって、あんな真顔をするのは魔法の研究とかしてる時の表情だもん。すると、何か分かったのか薄く笑った。気色悪いー!!


「研究職ならあえて訊かせてもらうけど、アテンダントの発電はどうなっているか知ってる?」

「『燃料』でしょ?」


おお…燃料まで知ってるのか。この人もなかなか賢いんだ。だけど、あっと小さく呟いて、コロンは目を大きくした。その表情に蜂鳥、もう何かに自信満々。


「やっぱりね」

「やっぱりって?」

「彼女は確かに研究者だ。いや、研究員の方がお似合いかもね。それもアテンダントの研究員、違うかい?」


何だって?コロンがアテンダントの研究員だったらスパイになっちゃうんじゃないの!?あっ、でも……。


「何で?」

「燃料って実は中の人間かウォーリアしか知らないんだ。俺が知ってるのは、まあ……、ね」


何がまあね、じゃ鳥頭ーーー!!コロンは溜め息を吐いた。


「いいえ、言わなくても分かってるわ。貴方達は……7人の魔法使いよね。恐らく蒼の魔法使いと朱の魔法使い」

「なっ……知ってたの!?」

「話は精霊騎士団などから聞いていたわ。勿論、あの彼からも」

「何故辞めたの?」


コロンはデスクを見た。そして、再び私達に目を剥ける。真剣な眼差しだった。


「嫌気が差したの。私はアテンダントの研究所の幹部。だからアテンダントの情報は凄まじく知っていたわ。10年前の出来事の解決の手立てとか。だけど、いけないことまで全部知ってしまった……」

「例えば?」

「秘密もあるけど、言えるのなら魔法の発電とか…」


あっ、知ってる…。前に柚葉姉がやったんじゃないかって…。


「きっと貴方達は織幡 柚葉がやったと信じてると思うの」

「えっ、違うのですか…!?」

「名前は挙げられないけど違うの。やったのは精霊騎士団の1人よ」


精霊騎士団?機械の集まりが何を……?いや、都熊は違った。彼は精霊使いと魔法使いのハーフ。奴なら無理も無い。でも、蜂鳥は何故か納得している。


「ああ、確かに彼等ならいけるかもね」

「いや、無理じゃん」

「本当に君は馬鹿だよ。ある意味感動傑作だね」


てんめえーーーーー!!!!私は殴りかかりそうになるが、コロンが抑える。ぐぬう……何たる屈辱!


「じゃあ、順を追って説明を」

「アテンダントを作ったのは確かに遠坂 昌也だ。だが、全部がウォーリアだと信じこんでいるのかい?」

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