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スターダスト オブ ジ アース~Volume 7 magicians~  作者: 抹茶スクロース
第2章 橙の魔法使いと蒼の魔法使い
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過去の表裏

「“無情ウォーリア”?」


御坂さんは尋ねる。蜂鳥の口からその言葉が出てきた。何だそれは。


「これを機に折角だからそれと遠坂について話しておこうと思った」

「しーさんとくろじゅうは知ってるの?」


いろりちゃんの質問に白音さんも黒十も横に首を振る。やっぱり鳥頭の癖に賢いんだなあ……って尊敬なんてしてないしっ!


「まあ、先に遠坂から話したほうが早いからそっちから行くけど、皆は10年前の出来事は知ってるよね」


10年前とは、第2の高度経済成長が来た後の反動が来て、最も過酷だった年だ。株価は膨大に転落、失業者はあちこちにのたうち回り、犯罪者やホームレスも絶えなかった。更に、公害問題もあるわ、枯渇資源ピンチだわ大変だった。学校では夜は外に出るなとまで言われた。その時は既に見習い魔法使いだったけど。


「ワタシ知らないよ?」


いろりちゃんはジャスト10歳だから知らなくて無理もないだろう。


「何か凄かったって覚えとけ」

「分かった!」


黒十は相変わらず阿呆かいな。そんなに雑いと後世に伝えられないじゃん。


「10年前の問題を解決した人間、それが遠坂 昌也。解決の手立てはアテンダントの創設や、謎の発電からのエネルギーの復旧とか」

「謎の発電とは?」

「恐らく、魔法だと考えるけど」


発電、電気、魔法………私の分野じゃん!皆私の方を見るけど私は何もしてないぞ!…………ってことはまさか……


「漏れることのない魔法。ということは漏らしたのは」

「柚葉姉……!?」


何してるんだろ、あの人は…。でも確かに柚葉姉は珍しく私以外の人間と会うだとか言ってたな。事実は揺るがないか……。


「秀才、遠坂は全て問題を終わらせた。だが、奴は『本当の問題は終わっていない』と忽然と消えた。己を電脳で動く機械へと変貌を遂げてね」

「結果、アテンダントは消えてないという事実も位置付いてますしね」


白音さんは静かに納得する。だけど、己を機械へと変化させるって何だ?


「で、そこから無情ウォーリアについての話だけど。アテンダントの核に使われているサーバの中には『燃料』というものが内蔵されている」

「前も言ってたウォーリアを動かすための何かやね?」


蜂鳥は頷く。また意味分からん単語が来たよ……。御坂さんはパンクして今もう寝ちゃってるよ。


「『燃料』が送り出す信号で全てのウォーリアが動いている。実は、それさえ潰せばウォーリアは消える仕組みになっている。まあ、容易じゃないけど」

「性格とかも信号で振り分けされているのですか?」

「いや、されてない。命だけ『燃料』に従う。だから性格とかは全部個別の中にあるデータチップで変わってくる感じ。で、無情ウォーリアにおいては1つ違うのがある」


まあ、無情ですもんね。感情がないとかじゃないの?


「『燃料』が自我になる。命だけでなく全てをかっさらわれるのだと」

「これまた可哀想な…」

「八重樫さんよお、機械に哀愁漂わせるのはどうかと思うぜ」


少しは哀れみ持てや!と私は黒十の腹にボディーブローを入れる。無論、黒十は撃沈。ここからもう純血と混血で差が開いてくるんだ……。


「その無情ウォーリアに発展するにあたってのルール?みたいなのとかはあるの?」

「アテンダントには掟があるらしい。その規則を破り次第の罪の1つとして存在するものだって」

「突然だけど何でそんな急に無情ウォーリアの話をし出したの?」


そんなの決まってる、と平然とした顔で言ってくる蜂鳥。こいつ、腹立つわあーっ!


「都熊 茅緒が無情ウォーリアになる可能性大だから」

「でもそれってワタシ達に関係あるの?」


確かに。関係があるとも思えないけど…。蜂鳥は溜め息を吐いた。


「正直、関係無いよ。ただ八重樫の大切な師の姉弟だから一応、ね」


ああ、そうだったなあ。私がアテンダントに居たときも実際はこんな事したくなかったとか何か言ってたな。本当は優しいのだろう。


「まあ、話は終わり。で、八重樫」

「はい?何用で?」


ヤバい、悪寒が中途半端じゃない。あの冷たい笑い、間違いなくあれだ。


「今から修業、するよね?」


やっぱりーっ!こいつの修業はかつてやって来た中で一番嫌いなんだ!!神様、これだけは止めてくれよ!!結構前に1円入れるって言って入れてないけど、今度は10円、いや50円入れるから!


「なっつん!ワタシの家でやったらどう?」

「寄せてくれるなら是非とも行くよ」


いろりちゃんプラスで修業が始まるのかあー!もうやだなあー!あ、魔法使えばいいんだ。逃げちゃえば勝ちだ。よし、そういうことで……って何の魔法だ?使ったことないから分からないよお……!


「逃げようとしても無駄だよ、八重樫。君が転送魔法や移動魔法などが使えないのは知ってるから」


そう言って私のポニーテールを掴む蜂鳥。ちょっ、ポニーテール千切れるから止めて!


「じゃあ、またいつか」

「バイバーイ!皆!」


蜂鳥の足元に私達が丁度入るサイズの魔方陣が浮かぶ。何か赤黒く光ってるよ…!初めて見る魔方陣だあ…。そして私達はこの場から立ち去った。


「起きんさい、琴の音」


彩奈は琴音の頭を叩く。琴音は目を擦り、伸びをした。いつの間にか白音と黒十や夜々は消え、残ったのは2人だけだった。


「うーん、なかなかのヘビーなものだったわね…。すぐに消費しなきゃ」

「何言っとるか、阿呆」


彩奈は琴音を立たせる。帰るんよ、と言って歩こうとしたとき、ふと視界に人影が映った。


「ちょっと待ちなよ」


見知らぬ男は2人へ近付いてくる。金髪以外目立つ特徴は無い。


「何故人間がここにおるよ?」

「人間?貴方には俺が人間に見えているのですか?」


琴音は察したのか彩奈を庇いながら男と距離を取った。彩奈は気づかぬままだ。


「流石、翠の魔法使い。察しが良いようで」

「彩奈ちゃん、彼は人間じゃないわ。ウォーリアよ。それも別格の」


素晴らしい、と男は笑顔で拍手をする。


「人間やただのウォーリアじゃあこんな所に来れる訳がないでしょう?まあ、こんな所があったとは驚きだが」

「その台詞から貴方は恐らく精霊騎士団ね?一体何の用よ?」


男は構わず笑顔で受け答えた。


「面白い話をしておこうと、ね」

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