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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

撃ちぬけ聖剣! ガラスさん!

作者: 棘田 清棘

ワタユウさんの二次創作です

ほかにも色々な方が参加してるので気になれば「ワタユウ杯投稿作品」で検索してみてください

撃ち抜け聖剣! ガラスさん!


「よぉ、よく来たじゃねぇか幸田姉妹ィィ!!」


 とある町はずれの廃工場。

 そこには二人を囲むように100人近くの鉄パイプやバットなどを持った集団がいた。

 対するは体の線が細い二人の人物。

 一人は健康的な体つき、もう一人は白い体をしており、見るからに不健康そうであった。

 たとえ二人ともが健康的な体だとしても勝てるとはだれも思わないだろう。

 しかし――


「ねぇねぇ、お姉さま。デートのお誘いだと思ったらこんなに頭数をそろえちゃって……。これだけの人数相手にしてたら疲れちゃいますぅ~」

「そうだな。面倒だから一人ずつじゃなく全員来いよ。喧嘩デートに付き合ってやるからさ」


 明らかに不利なのは二人の姉妹。

 だが、必死なのは100人の集団の方であり、姉妹は冗談を言う余裕すらあった。


「やっちまえ!」


 男の叫びと共に動き出す集団。

 おのれの得物を手にしまいに向かって集まってくる。

 健康そうなお姉さまと呼ばれた方が前に出る。

 なんとただでさえ2人と少ないのにこの人数を一人で相手にしようとするのだ。


「オラァ!」


 右から振るわれるバット。

 屈むことによって避けるとけりを放つ。

 集団の方は今まで喧嘩を共にしてきたのか素晴らしい連携を見せる。

 時間差攻撃、同時攻撃、波状攻撃……。

 しかしどれも効果が今一つ。

 ほとんどの攻撃を避けられ、変わりにカウンターを喰らう。かろうじて避けられなかったものはガードされ、素手で受けたというのにダメージは全くなし。


「くそ、くそ、くそぉ!!」


 一人の男は女一人にいいようにやられるのが耐えられなくなったのか武器をもう一人に向ける。

 お姉さまの方は倒せなくとももう一人は戦えるような体に見えない。

 だからこその判断。そして戦えるような体ではないという判断は間違っていない――ただ一つのことを除けば。


「あらあら、私と踊りたいの? でも私は見ての通り運動神経が悪いのよ。だからここから動かないのを許してね」


 その言葉と共に取り出したのはおもちゃのような銃。

 とても実用的とは思えないし、そもそも何かができるとも思えない。だが、それでも少女は引き金を引いた。

 発せられるのは閃光。

 しかしその光は副次的な効果であり、男を中心として何人もの男が気絶していた。


「もうちょっと改良が必要みたいですね」


 少女が撃ったのはテーザー銃と呼ばれるもの。本来は電極が伸び、刺さった相手に電気を流して気絶させるものだが少女オリジナルのテーザー銃は圧縮空気を放ち、薄くなった空気の層に超高圧電気を放つもの。

 雷が落ちる時に空気の薄い方、薄い方へと進む性質を利用して作られたのだが今の技術じゃこのサイズで、それも完全に方向を操って電気を放つのは無理である。

 姉の方が普通じゃなければ妹も普通じゃない。


 すでに3分の1になった男たちは恐れるように一歩下がる。

 男たちが極度の緊張と全力で武器を振り回すことにより息が切れてるのに対し、少女たちは息一つ乱れた居なかった。


「舐められてるままで終われるかよぉ!」


 リーダー格の心よりの叫び、それによって男たちの目に火がともる。これ以上リーダーに恥はかかせられないと……。


『その意気やよし!』


 その場の誰の声でもない新たな声が聞こえた。

 リーダー格の男の前に突如として光が現れ、倒れてる男たちの一部や、立っている男たちの目の前にもそれが現れた。


「我らはシーガルスホルム島に眠りし46の剣。お主らの意気込みが気に入った。力を貸そうぞ!」


 男たちの目の前には小さな妖精がいた。

 老若男女様々で共通するのは体の大きさぐらいだろうか?

 謎の光景に幸田姉妹も手を止める。


「さぁ、契約を! 我らの名を呼ぶがいい!」


「いくぜ! シーガルスホルム島剣たちよ!」


 そして妖精たちの姿が消え、男たちは剣を持つ。

 その数は46本。

 倒れてる者も起き上がり、剣を構える。


「行くぜ!!」

『行くぞ!』


 剣と人、その魂が共鳴し合う。

 更には魔剣約したことにより身体能力が格段に上がった。

 その剣の一撃は地に穴をあけ、その体はデーザー銃の一撃にも耐える。

 強大な力、強靭な肉体。

 それらによって逆転が起きr――


「これじゃあ力不足ですか……。ならばこっちにしましょう」


 ――はずもなく……。「

 取り出したのは銃口がしっかりある銃のようなもの。

 その引き金を引くことにより女に向かって突風が吹き荒れる。また、ボンッっという音と共にその銃の先にいた複数人の男は吹き飛んだ。

 今度はただの空気砲である。

 しかしその圧縮率が異常だった。

 周辺の空気を集め、圧縮し、放ったその威力は魔剣と契約し、身体能力が上がった男たちを一瞬のうちに気絶させるほどである。


「お姉さまこちらを」

「おう、助かる」


 そう言って渡されたのは手袋と靴。

 お姉さまの方はすぐにそれに履き替えると同時に近くにいた人物を蹴り飛ばす。

 蹴られた男は数十メートルも吹っ飛び壁にぶつかることによって止まった。


『「……」』


 男たちの目から感情が消えた。

 先ほどの男たちの威勢はどこに行ったのか、その目はどこも見ていなかった。

 ただ思うのは一つだけ……。


「(こいつら人間じゃねぇ)」


 そこからは先ほどの焼回しである。

 やけになって突っ込んでいった奴から殴り飛ばされ、蹴り飛ばされ、吹き飛ばされの繰り返し。

 気づけば男たちは全滅していた。


「お疲れ様です。お姉さま」

「百合もご苦労だったな」


 幸田姉妹は二人でねぎらい合う。

 どちらも息一つ乱れておらず疲れてもいない。ただ二人の百合百合しい空間が構築されているだけだった。


「大丈夫。私が来たからには再び翼さんを勝利への道へ導くことでしょ……う…………?」


 再び光と共に現れたのは一人の少女。

 そちらは先ほどとは逆に幸田姉妹と契約を結びたがってるようだ。しかし、すでに決着はついており何のために少女が出てきたか分からない状態だった。


「なんですの? 私とお姉さまの空間に割って入ってきて。そんなに死にたいんですの?」


 男たちを容赦なく吹き飛ばした空気砲を容赦なく小さい少女に向ける。

 おまけにお姉さまの方からの睨みつきである。


「待ってくださいよ! 私はほら、誰とも契約してないのでよわっちいですよ? そして私はそちらの幸田翼様と契約しに来たのです。私と契約するといいことがありますよ? なんでも願いが一つ叶うというスーパー聖剣&魔剣大戦に参加できますよ? 翼様と百合様のペアなら絶対に優勝できますって。身体能力も今より上がりますし、剣も手に入って今まで以上に強くなれます。それに私は刃こぼれしない、見事な切れ味を誇るというあの有名な剣なのです。太陽の力を取り込むことができますしそれなりに役に立てますよ? それとそれと……」


 とにかく必死であった。

 少女の顔にはびっしりと冷や汗が張り付いていた。

 何の契約もなしに46人もの魔剣使いを息一つ乱さず倒す者達に逆らうなど到底無理な話である。


「こんなこと言ってますけどどうします?」

「そうだな、お前は私たちの仲を引き裂こうとするわけじゃないんだな? 応援してくれるのか?」

「はい! 全力で応援しております」


 そう言うと少しは機嫌がよくなったのか銃を下ろす。


「でも私たちにかなえたい願いなんて……。富、名声、力。すべて手に入れようと思えば手に入りますし……」

「あれがあるじゃないか。姉妹で結婚を法的に大丈夫になれば周りも邪魔しないはずだよ」

「いい考えですわ。さすがお姉さまです。あっ、それなら姉妹でも子供ができるようにするというのはどうでしょう? 私たちのこともならとっても賢く、強く、綺麗になりますよ」

「百合はさすがだな」


 再びの二人の世界。

 聖なる決戦。スーパー聖剣&魔剣大戦にて恐ろしい願いを持つ姉妹の参戦が決まった時であった。




「で、あなたは誰ですの?」


 今更な質問。

 それをしたのは妹の百合であった。


「あっ、はい。私はガラティーンって言うアーサー王伝説のガヴェインが使っていた剣です」

「あぁ、思い出しました。ガラチン、ガラティン、ガラスとか言うやつで鋭い切れ味を持ちながら刃こぼれはしない。夜明けから正午までの間所有者の力が3倍になるというあれですね。さらには太陽の力があるとか……」

「はい、そのガラティーンです。よろしくお願いします」

「それにしてもガラスねぇ割れそうな名前だな」

「ガラスですが、案外丈夫なようですよ?」」

「あ、あのぉ……ガラティーンって……」

「ん?」

「なんでもないです……」


 こうして呼び方は決まった。

 大体二人に抵抗などできるはずもないのである。「まるちゃんよりはましだよね?」と無理やり納得することにした。


「それにしても太陽の力ですか……。色々興味深いですね。私の発明に新たな発想が生まれるかもしれません」

「え、えっと……お手柔らかに……?」




 何事もなく数日が経過した。

 妹は研究室にこもりっきりであり、必然的ガラスと翼は一緒にいることが多くなった。


「ええ、ですから頭がちょっと荒れな姉のエクちゃんが心配なのです。差し出がましいかもしれませんができればエクちゃんと会いたいなぁと思ってるんですが……」

「その姉妹愛は素晴らしいな! よし、エクスカリバーだっけ? 一緒に探しに行こう」


 お互い姉妹を持つ者同士仲良くなっていた。

 そしてガラスと兄弟剣と呼ばれるエクスカリバーに会いに行くことになる。

 百合の科学力をもってすれば名前だけでその姉妹を探し出すことも不可能ではないと翼は思っていた。


 突然ドンドンと扉を叩く音がする。

 その音は何回も何回も続き、うんざりとした翼が玄関の戸を開く。

 そこには息を切らしたリーダー格の男がいた。


「都合のいい頼みだって分かっている。あんたたちを襲っといて助けを求めるのもおかしいと思う。だけど何でもするから頼む。頼みを聞いてくれ!」


 その言葉と共に土下座をする。

 しかし翼の目は冷たいまま。

 男の言うとおりである。襲ってきた相手を助ける理由などない。だからこそ助ける理由などなかった。

 だから家に戻ろうととバラを閉じようとする。


「頼む。兄弟を、弟分たちを助けてくれ!」


 兄弟。

 その言葉に足が止まる。


「少し前に変な男と闘うことになったんだ。俺たちは全員で襲いかかったんだが急に様子がおかしくなってよ……。気づけばみんな正気じゃなくなっていたんだ」


 男の必死な叫び。

 その弟分達のためなら頭を下げることをためらわないその姿勢に翼は兄弟愛を感じた。


「いいじゃないですかお姉さま。助けてやりましょうよ」

「百合の頼みなら聞くしかないよな」

「かたじけない」


 再び頭を下げると翼達を案内すべく立ち上がる。




 たどり着いたのは前の廃工場。

 そこは男たちの集まり場になっているらしく、今回襲われたのも男たちの集まりの時だった。

 そしてそこには黒いオーラを纏ったまともじゃない者達。

 リーダー格の男に従っていた時の熱い目ではなくどこを見ているかもわからない空虚な目をしていた。


「あらら、見事に逝っちゃってますね。お姉さまこれを」

「これは?」

「剣に付けて引き金を引くだけです」

「了解だ」

「ちょ、ちょっと待ってください。嫌な予感しかしないんですけどぉ!!」


 百合から渡されたのは中心が開き、引き金が付いた何かよく分からない機械。

 しかし翼はその不十分とも言えるその説明で迷いなくガラスを剣とし、装着する。


『なんでピッタリなんですか! 私は一回もサイズ図られてないと思うんですけど!?』

「サイズの自動調整機能をつけときましたから」

『そんなついででできるような機能なんですか!?』


 そんなガラスの叫びもむなしく響くばかりである。

 ガラスを無視して翼は銃のようにガラスを構えた。


「ガラスちゃん。太陽の力を放って」

『え? あ、はい』


 ガラスには二人に逆らうすべなどない。言われたとおりにする。

 そして引き金が惹かれると同時に一本の光が3つの魔剣を砕く。


『えっ……。なんですか今の!?』


 放たれたのはレーザー。

 魔剣を砕かれたからか、3人の男から闇のオーラは抜け、気絶する。


「レーザです。ガラスちゃんの太陽の力を使い打てるようにしました」

『えぇ~~!?』

「百合ならこれぐらい当たり前のことだよ」


 十分におかしい。

 原理もよく分からない聖剣の不思議な力を利用した機械を作る時点でおかしいのにそれを一瞬で魔剣を砕くことのできるレーザーにするなんてありえないレベルである。


「やっぱりレーザーはロマン武器。外せませんね」

「さすが百合! 分かってるねぇ」


 その後も次々とレーザーを撃ち魔剣を破壊していく。

 やがて捨身覚悟で突撃してきた奴らがレーザーを潜り抜けて懐に入るもののそこも翼の領域。

 翼がガラスを振るうたびに魔剣がまた一つ。また一つと破壊されていく。


「さすが翼の姉御。弟分達がいとも簡単に! 何でも言ってくだせぇ。この不義護一生ついていきます。なぁ、兄弟!」

「うっす!」

「姉御って……」

「まぁ良いじゃないですか。富士山君も別の学校に行ってしまいましたし舎弟も悪くないかもしれませんよ?」

「まぁいいか」


 こうしてエクスカリバーに会い、優勝して姉妹での結婚&子作りができるようになるという願いを叶えるべくガラスと幸田姉妹。そして不義とその舎弟たちの物語が始まった。


どうしてこうなった……

ここまでチートじゃなかったはずだ……

チートな翼にチートな剣でブースト。さらには百合のチートな発明品でさらにブーストだぜ?

まぁチートな設定も多いしまだ大丈夫……か?

それにしてもなんでこの二人はこんな風な性格になったんだよ……

最初はこんな願いじゃなかったんだぜ……?


反省はしてるが後悔はしてない!

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― 新着の感想 ―
[一言] 誤字訂正 恐ろしい願いを持つ姉妹の三線が決まった時であった。 恐ろしい願いを持つ姉妹の参戦が決まった時であった。
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