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ツンデレな妹

最終回です。

今回はハヤトの妹視点です。

 あたしはユズ。

 ごくふつーの女子中学生。


 勘違いしないでよね。

 別にお兄ちゃんが突然いなくなったからって、寂しくなんてないんだから。

 心配なんてしてないよ、ほんとだよ。


 んもぉ、お兄ちゃんのばか、ばかばかばか。

 あたしにもなんも言わずにどこでなにやってんのよ。


 お兄ちゃんがいなくなってからもう一週間近く経っている。

 お母さんは、心配しなくてもそのうち帰ってくるなんて呑気なこといってるけど、本当に帰ってくるのかなぁ。

 去年の夏休みも突然「自分探しにいってくる」なんてわけわからないこといって数日帰ってこなかったりしたけどさ。

 だから今回だって放っておけばそのうち帰ってくるとは思うんだけど。


 でも今回は、いつもと違う気がする。

 朝起きたら突然、いなくなっていた。

 財布やケータイだって机の上に置きっぱなしだった。


 まさか、何かとんでもないことに巻き込まれてるんじゃ。

 年上の女の人にだまされてるとかじゃないでしょうね。

 お兄ちゃんに限ってそれはない、か。


 うーん、でもお兄ちゃんが行きそうな場所なんて他に心あたりがないよぉ。

 お兄ちゃんの友達もみんな知らないっていうし。


 あー、もうなんで私がこんなこと考えなきゃいけないの。あほらし。

 ったく早く帰ってきなさいよね。

 もし帰ってきたらぶん殴ってやるんだから。



---



「ただいまー」


 帰ってきた。お兄ちゃんが帰ってきた。

 何事もなかったかのように、普通に帰ってきたのだ。

 悪びれもしないお兄ちゃんの顔を見て私はすぐさま右ストレートを顔面に叩きこんでやった。


「いて、いてて、いきなりなにすんだよ」

「ふん、本当は10発くらい殴ってやろうかと思ったけど1発で我慢しといてあげるわ」


 倒れて殴られた頬をさすりながらなにやら笑っている。ちょっと気持ち悪い。

 いつものお兄ちゃんなんだけど……どこかなにか違う。

 男らしくなった? いやそんな一週間で変わるわけないか。


「なんか、服すごい汚れてない? それになんか変なにおいがするし……」

「え、あ、そうか? ちょっと異世界でいろいろあってさー」


 異世界? はぁ、いい年してまたそんな妄想じみたこといっちゃって、成長しないんだから全く。

 嘘つくならもっとマシな嘘つけってーの。

 全くどこをほっつき歩いてたんだか。


 でもよかった、無事に帰ってきてくれて。



---



 こうして、お兄ちゃんは以前と同じように平凡に暮らしていきましたとさ、めでたしめでたし。

 と、思いきや……。

 

 それからしばらくして、なにやら不思議な恰好をした人がお兄ちゃんを訪ねてきた。

 いかにもお嬢様って感じのきれいな顔立ちにやさしい笑顔の女性だ。

 お兄ちゃんの恋人!? いやまさかね……。


「お兄ちゃーん、お客さんだよー! 名前は……」

名前:ユズ

職業:

年齢:14

好きなもの:兄

嫌いなもの:虫

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