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金色の吸血姫  作者: 杞憂
二人のプロローグ
3/34

これが全ての始まりってわけで

 二人の女の子がキスしようとしているところを見てしまった僕。

 もうね、メモリ不足です。頭で読み込みエラーが発生しました。

「やばいやばいやばい、見つからないうちに逃げなきゃ…」


 僕はとっさにその場を離れようとして、だけど失敗した。

 慣れないスカートでバランスが崩れ、転んでしまったのだ。

 当然音があちらまで聞こえるわけで……


「誰だっ!」

 エリーゼの鋭い声が響く。

 しまったと思えど既に遅く、うつ伏せで倒れている僕は呆気なく見つかってしまった。

 キャーと叫びながら逃げて行くもう一人の女の子。見られているとは思わなかったのだろう。

 可哀想なことしちゃった、かな?


「むぅ、逃げられてしまった。おぬし何奴だ」

「し、死んだフリ~…」

「あほか」

 僕の目の前に来て、無理やり起こさせるエリーゼ。

 彼女と目が合ってしまい、僕は急に恥ずかしくなった。


「ふむ、あほの子にしては、意外と可愛いの」

(そういえば、僕まだあの格好を……)

 自分の状態を思い出し、なおさら赤面する。もう茹でだこのようだった。


「あ、あの、悪気はなかったんです。たまたま見ちゃって…」

「おかげで失敗したではないか。おぬし、責任を取れるな?」

「は、責任…?」

「逃げたあやつの代わりになってもらおう。それで許してやる」

 そ、それってキスしろってことだろうか? そんなの無理だ、いきなりすぎる!


「か、勘弁してください。僕、心に決めた人が……」

 いないけど、今は嘘でもつくしかない。

「ん、僕とな?」

「あ…しまった」

「……おぬし、よーく見ると、見たことある顔だのぅ」

「何のことでしょう、オホホホ…」

「ていっ」

 エリーゼが僕のウィッグを取り、ぼろが出てしまう。


「あうっ…」

「ほう、よぉく似合っておるな。男のくせに」

 金髪少女は黒い顔で笑っている。正直倒れそうです、僕は。

「我がクラスの同朋であったか、これから脅すことになるのはいささか忍びないな」

「脅されるんですね、僕」

「無論、このことをばらされてもいいというなら別だぞ」

「嫌ですお願いです許してくださいそれだけは」

「うむ、ではさっそくおぬしに命ずるとしよう」

 何を命じるというのだろう。パシリだろうか。


「おぬしを我の、吸血姫エリーゼ=アマーリア=ミュンヒハウゼンの下僕に任じてやろう!」

「………………はい?」

 こうして僕は、予期せずして金色の吸血姫の下僕に就任してしまったのだった。

 続く?



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