9.あの時
麗side
12年前・・・・・・・
「お父さーんっお母さーんっ行って来まぁーす。」
「あら麗。今日は早いのねぇ」
「うん。留美と遊ぶ約束したから。」
「そう。気をつけてね?」
「はぁーい。」
黒崎麗。
馬鹿だけど、いつも前向きに頑張れるのが私の長所。
中学3年生。
勉強の事なんて、なんら気にしなくていい此処、ワンダーランドでは。
平穏な日々と、明るさに満ち溢れてた。
「あー留美ぃ~おっはぁ」
「あー麗じゃーん。意外に早かったね~」
「テヘヘ~だって楽しみだったんだもん。」
「そりゃウチだって同じだけどさ?」
今日は留美と買い物に行く約束。
お互い、好きな彼にプレゼント渡すっていう理由で。
* * *
「ねーコレどーよ」
「あっいーかも。雅紀とか喜ぶかも。」
「まじか。じゃー麗はコレ買って来なよ~」
「うん。ありがと。」
「ったく麗は相変わらずお美しいですなぁ」
「はぁ?何ぁに言っちゃってんの~私なんてメッチャブスやないですか。」
「そーゆー所が溜まらなくムカツクわ。」
「酷ー。」
「冗ー談冗ー談。んー。拓海に似合うの無いかなー。」
「コレは?」
「あっいーね。さっすが麗~」
* * *
「あっもーこんな時間っ帰る?」
「うん。そだね。バイバーイ。」
「バーイ」
家に帰る途中、雅紀に渡すプレゼント見て、思わずニヤケる。
雅紀、喜んでくれるかな。
驚かせてやろー。
ーーーガチャーーー
家のドアを思いっきり開ける。
「たっだいまー。」
「・・・・麗っ」
家に入ったらすぐ、お母さんが私を抱きしめた。
「え。どしたの。」
「良かった。無事、なのね?良かった。」
「え。何があったの。」
「実は、変な噂が広まってるらしぃの・・・・。」
「変な噂?私たちに関わってるの?」
「えぇ。何でも、私たちが、赤い瞳のウサギ?を造る機械を作ってるとかで・・・・」
「赤い瞳のウサギ?何、それ。ウサギの瞳は青でしょ?」
「まぁ、ただの噂よ。あまり気にしなくていいから。」
「え。でもお母さんっ」
「いいのよ。さぁ、ぉ夕食にしましょう?」
後から聞いた話。
この日母は町中の者から強烈な尋問を受け、石を投げつけられ、涙を流しながら逃げて帰ってきたそうだ。
そんな事、この頃の私は気になどしていなかった。
ただ、いつも元気な母の元気が無かった。
それだけが今も目尻に焼き付いている。




