表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rabbit物語  作者: のん
06章
53/70

3.待ち続けるんだ




涼side










俺はゆいを待ち続ける。




たとえ、何があったとしても、ゆいを裏切りたくないんだ。





















ゆいと別れた、2ヶ月前の事を、思い出す。











ーーー2ヶ月前ーーー












「親父?嘘、だろ?」







俺の父、ジョニーは死んだ。




「ごめんなさい。あたしっあたし・・・」




ゆいが、謝っている。




ゆいが、親父を?




信じられねぇ。




信じられねぇけどこれは、現実なんだ。




親父が死んだのも、現実なんだ。




俺がゆいを拒絶しようとしているのも、現実なんだ。

















俺は、ゆいを拒絶するのか?
















あんなに優しくて、カワイイ彼女を、嫌うのか?









それでも、親父はっ親父は死んだんだ。




俺は、もうゆいとは一緒にいられない。




一緒にいると、いつしか俺が、本気でゆいを嫌いになりそうで・・・。




そんな自分が嫌なんだ・・・。











だから俺は、ゆいと別れる。







ゆいとまいが寝ている隙に、手紙を残して、俺は去った。













森の中を駆け抜けて、親父のビルへと走る。




何故、親父のビルに行こうとしているかなんて、分からない。




ただ、大切な物をどこかに落としたような感覚がして。




ひたすら、探しているんだ。












俺は、親父の事を、何1つ、知らねぇんだよ。




名前だって、考えている事だって、生き方だって、知らねぇんだよ・・・




一筋の涙が俺の頬を流れる。




親孝行とか・・・、考えた事もなくて・・・。




いっつも苦労ばっかかけて、謝る事も出来なくて。




俺は、1人で生きてるつもりだったけど、本当はいつも親父が助けてくれていたんだ。




後悔したって、遅いのに・・・、失った時になって、初めて気がついた。




俺は・・・、親父にいつも、支えられてたんだ。




こんな自分が、情けねぇんだよ!




こんな自分に腹が立つんだよ!




こんな・・・、こんな自分が・・・。




しょうもなくて・・・、涙がひたすら流れる。




嫌だ。




泣いたらよけい、虚しくなんだよ。









涙を堪えて、空を見上げる。




その空は、皮肉な程綺麗で、俺に語りかけるんだ。










ーーー涙なんて、流してしまえばいいのーーー









女神のような、綺麗な声。




俺の涙は止まる事を知らないかのように、ひたすら流れる。




本当は、流したかったのかも、しれない。




・・・この涙を。




虚しくても、寂しくても、辛くっても、涙は時を知らず、流れ続けるんだ。




俺は今、涙を流してる。















涙を流しながら俺は、ひたすら親父のビルへと、走る。




しばらくすると。




<Ruip>




の文字を掲げた巨大なビルが見えて来た。







着いたんだ・・・。




此処に来て、何をしようと言うわけでもない。




でも、此処に来て、懐かしい気持ちが込み上げてくるんだ。




笑った日も。




泣いた日も。




寂しい日も。




嬉しい日も。




俺はいつも此処にいた。




親父が死んだ今でも、此処は俺を安心させてくれて・・・。




前にも1度、同じ事があった。



ふと思い出した、辛い記憶。



・・・ケイ。




幼馴染のケイの死だ。



アイツは、俺とサラの目の前で、ウサギに殺されたんだ。



その時アイツ・・・、痛いくせに、怖いくせに・・・。



弱音1つ吐かねんだよ・・・。



俺たちに、逃げろって、言うんだよ。
















ーーーー逃げろーーーー








ケイの言葉が頭にこびり付く。



戸惑う俺たちを、ケイは突き飛ばし、死んだ。



それで俺とサラは、此処で涙が枯れるほど、泣いたんだ。
















あぁ・・・。



何で俺はこんな事、思い出してんだよ。



思い出したって、泣いたって、嘆いたって。



もうアイツは・・・戻ってこねぇんだ。












「・・・涼!!」









後ろから声がした。



振り返るとそこには、レンがいた。



「レン。

 お前なんでこんなとこにいんだよ。」



「お前を追ってきたんだ。」



俺を追ってきた!?



「何で。」



「伝えたい事があるんだ。」



「伝えたい事?」



「ジョニーからの手紙だ。」



ジョニー・・・?



親父?



何でコイツ、親父の事・・・。



「いいから読めよ・・・。」



レンから手紙を受け取り、読んでみる。








「・・・何なんだよ。」



「俺に聞かれても・・・」



「何なんだよ!!黒崎麗って、ゆいに取り付いてるって、何なんだよ」



「そんな事言ってる時間、無いんじゃねぇの?」



「・・・時間?」



「今、お前がこうして嘆いてる間にも、ゆいは苦しんでるかもしんねぇんだぞ。」



「ゆいが・・・、苦しんでる?」



「だってそうだろ?大好きなお前に出て行かれ、その上、黒崎麗っていう、危険なヤツに取り付かれてるんだろ?

 お前は、お前にしか出来ない方法で、彼女を救えばいいんだよ。」



「俺にしか、出来ない方法・・・。」



「そうだろ?

 俺はもう、役目を終えた。

 後はお前次第だ。

 よく、考えろよ。

 ・・・じゃな。」



「おい、ちょっ待てよ!」



「どした。」



「お前っ、何で親父の事・・・。」



「あぁ。それは、ジョニーが俺の、育て親だからだよ。」



「育て、親?」



「俺の使命は、お前たちをブリーズに連れてゆき、この手紙をお前に渡す事。

 それだけだ。」



使命?



育て親?



「・・・んじゃ。」



そう言ってレンは、俺の前から立ち去った。



「・・・何なんだよ。」



どうなってんだよ。



もう、分かんねぇよ。



ただ1つ、分かる事。



それは、今ゆいが、危険な状態だという事。



助けに行きたい。



支えたい。



救いたい。



でも。



でも俺は・・・、俺はゆいに逢う資格なんて、無い。



「あっあともう1つ。」



去ったはずのレンが振り返る。



「何だよ。」



「ゆいとまい。

 今銀塊の城向かってるってよっ!」



銀塊の城・・・。



「何でっ、何で俺にそんな事教えるんだよっ!!」



「あたりめぇだろ?

 お前しか、いねぇからだよ。」



「えっ?」



「ゆいを支えられるの、お前しか思いつかねぇんだ。」





俺しか、思いつかねぇ?



でも、俺は・・・。



「いつまでウジウジしてんだよっ

 ジョニーの手紙にもあったろ?

 お前が、ゆいを支えるんだよ!

 それがお前の使命なんだよ!」




レンが怒鳴った。









「・・・・・・・・ありがとな。レン。」




俺、決心した。



どんなに資格が無くったっていい。



どんなに嫌われたっていい。



どんなに殴られたっていい。



俺は、ゆいをこの手で守り抜く。



それが俺の、使命なんだろ?



いや。



・・・それだけじゃねぇ。



使命なんて関係ねぇ。



俺がゆいを守りたいんだ。




「分かればいんだよ。

 じゃな?涼・・・。」



「おう!じゃあな。」












・・・・・・・・・・










そして俺は今、俺にしかできない方法で、ゆいを支えたい。



そう思っている。



だからゆい?



俺はお前を待ち続けるんだ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ