1.真実
全ては、12年前に、遡る。
12年前の、ある日のことじゃった。
ある噂がこのワンダーランドで広まっていった。
その噂とは。
黒崎麗の両親が、赤い瞳のウサギを作り出す機械を開発していると。
そういう噂だった。
黒崎麗はとても幼く、美しい、少女であった。
その頃の彼女は、その容姿から、村でも有名なほど、人気であった。
噂が立ち始めた頃、人々はその噂を聞くなり、黒崎の家へと押しかけ、度々問い詰めるようになっていた。
そこまではまだ・・・。
良かったのだ。
しばらくすると、人々の行動はエスカレートしていった。
皆、ただの噂だと、分かっておった。
だが、妬みの心を持っていたのだ。
美しい容姿を持つ少女と、その両親に。
黒崎家は、暗闇に陥った。
全ての人間からの虐めに耐えかねた彼女の両親は、揃って自殺した。
彼女は、言いようのない、孤独になった。
たった1つの噂で、多くの物を失った少女は、変わってしまった。
人を好んでいた彼女は、いつしか人を嫌い、憎むようになっていた。
その頃だった。
彼女は高校生になった。
ちょうど涼・・・。
君と同じぐらいの年頃じゃな?
わずか高校生にして、復讐に走り出していた。
復讐を考えた彼女は、虐めの原因となった、赤い瞳のウサギを作ることにしたんだ。
もちろんわしは止めたんじゃ。
だが彼女は聞く耳を持たなかった。
わしはこの世界のトップとして、あるべき処置を取った。
彼女の暗殺を企てたのだ。
仕方の無いことだったのじゃ。
まだ子供の彼女には、残酷な運命であったかもしれん。
だがな?
この国を、どうしても、守りたかったのだ。
黒崎麗は、賢かった。
残酷な戦争を引き起こしたのだ。
赤い瞳のウサギを作ることに成功し、町を襲わせた。
その戦争に出くわしたわしは、彼女を殺した。
いや、詳しくは、彼女の肉体を滅ぼしたと言ったほうが、正確であろう。
黒崎麗は、今も猶。
生きている。
彼女は滅びる直前。
ある、幼い少女に乗り移ったのだ。
その少女の名は・・・。
君の恋人。
柏木ゆいなのだよ。
ゆいの父。
健作は当時、わしの部下であった。
彼はその真実に耳を疑い、わしの前から消えてしまった。
わしには、彼が何をしようとしているのか、まるで分からない。
だが、同じ親として、子を守りたい思いは、同じなはずじゃ。
ゆいは苦しむであろう。
何故黒崎麗が、彼女に肉体を借りているのか・・・。
それは、黒崎麗以外、誰も分からないことなのであろう。
わしが黒崎麗を、あの時滅ぼせていれば、こんなことにはならなかった。
黒崎麗は、再び戦争を起すつもりだ。
彼女を止められるのは、ゆいしかいないであろう。
だから涼・・・。
君にゆいを支えてほしいのだ。
頼む・・・、この世界を、守ってくれ。
ジョニー
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