表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Rabbit物語  作者: のん
05章
48/70

8.伝えるって







「ゆい。ほんと、大丈夫なわけ?」





「うん・・・。大丈夫」





「大丈夫じゃないじゃんっ


 だってあんた、泣いてるよ?」





「ぅっぅっヒック」





「ほらぁ。」





「ヒックだ、大丈夫ヒックだってばヒックぁ」





「大丈夫なわけないでしょ?


 ほら!拭いて!」







まいが差し出したハンカチで涙を拭う。








「あったしね?」





「うん。どした?」





「真実を、知りたいの。


 全部。


 全部・・・。


 だから、ここで挫けるわけにはいかない。


 って。


 分かってるんだけど、でもやっぱり。


 怖くって・・・。


 辛くって、どうしていいのか、分からなくて、不安なの」









「ちゃんと、言いなよ・・・。


 いままでずっと、自分の気持ち、抑えてきたんでしょ?


 あたしに、言いな?


 楽になるからさ・・・。」







「・・・うん。


 ありがと。


 あたし、あたしね?」





「うん」




「ずっと、ずっと。


 怖かった。


 みんなが、あたしの前からいなくなっちゃうんじゃないかって」





「うん」





「涼がいなくなっちゃった時ね?


 あたし、どうしていいのか分かんなくて。


 探すこともできなくって。


 ただ、ただ、泣いてたの。


 こんなんじゃダメって、知ってるよ?


 でも、上手く言葉で伝えられなくて、涼がいなくなってあたし。


 初めて気がついたの。


 言葉の大切さ。


 涼にもっと、自分の気持ち、伝えとけばよかった。


 こんなことになるんなら、ちゃんと始めっから、言えばよかった。


 弱音だって、こんなにあるのに。


 涼には何1つ、言えなくって。


 こんな自分がイヤで。


 だけど現実は何にも変わらない。


 どうしていいのか、まるで分からない、けど、けどね?


 時間は変わらず、進んでいくの。


 本当は、分かっていたのかも、しれない。


 涼があたしの前から、いなくなっちゃうって。


 気づかないフリ、してたのかな?


 笑っちゃうね?


 ほんと、バカだね?


 ・・・あたし。」









涙はより一層、流れてゆく。









「ばかだよ。


 ゆい。


 あんた、ほんと、ばかだよ!


 何で気がつかないの?


 後悔したって、何にも変わらないんだよ?


 あんたが自分をばかだと、そう思うのなら後悔している証拠よ!


 今からでも、遅くないんじゃないの?


 今からでも、弱音、吐けるんじゃないの?


 今からでも、彼に会いにいけるんじゃないの?


 今からでも、時間を取り戻すこと、できるんじゃないの?」











「・・・できるかな。


 涼に会いに行っても、いいのかな?


 時間、取り戻したい。


 あのころに、戻りたい。


 ううん。


 あのころみたいな時間が欲しいの。」










「・・・そう。


 あんたが、そう思うのなら、できるよ。


 だってあんたは、強い人間だから。


 あたしが1番それ、知ってるからっ


 だから、行って来な?」







「・・・うん!


 涼に会いたい。


 涼の所に行きたい。


 あたし、涼に会いに、行って来る」





「・・・あたしは、ここで待ってる。


 あんたなら、出来るって、信じてるから。


 ・・・行って来な」






「まい、ありがとう。


 信じてくれて。



 ・・・うん。


 あたし、行って来るよ」







涙が乾いてしまった頃。





あたしは彼のもとへと、引き返し始めた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ