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5.消えたサラ
あたしは…。
まいに聞かれたとき、何も言うことが、できなかったんだ。
あたしだけが知っている、10年前の真実もまいは知らないというのに…。
「みんな、にげて!」
エリゼが突然叫んだ。
エリゼの視線の先には、大勢の赤い瞳をした、ウサギが立っていた。
「とうとう来たな。」
涼が呟いた。
「はやくにげて!あたしはお婆さまと一緒に安全な所に移動する。だから、みんなはやく…。」
「分かった。ゆい、涼、サラ、行くよ!」
まいに手を引かれ、あたしたちはアリスの森から、逃げた。
逃げて。
逃げて…
ひたすら逃げた。
今のあたしには、恐怖心しか、ない。
気が付いたらあたしたちは変な森に来ていた。
ここは、どこ?
そのとき、あたしたちは気付いたんだ。
彼女の姿がないことに…。
サラ…。




