4.バーチャル世界
涼 side
俺はひたすら走った。
ゆい。
ゆい。
ゆい。
そして、ずっと彼女を探していた。
しばらく走ると、ゆいの声が聞こえてきた。
「お父さん・・・?」
は?
お父さん?
どういうことだ?
たしか・・・、ゆいの父親は俺の親父の部下で、ゆいとまいが幼いときに亡くなったとか・・・。
ゆい。
誰かと話している。
男だ。
その男がゆいの肩に手を置こうとしていた。
俺はとっさに叫んだ。
「やめろ!」
2人がいっきに俺の方を向いた。
ゆいは目を丸くして、俺を見上げている。
「涼・・・!?」
「どうしたの・・・?そんなおっきい声だして・・・。」
「どうしたって。お前を探してたんだよ。」
「あたしを・・・?って、あ!そっか。あたしたち迷子だったね」
「そうだろ?てか、誰?」
「あっ!涼。この人は、あたしのお父さん。」
「はっ?お父さん?死んだはずじゃ・・・。」
俺がそう言いかけたとき、俺たちの意識がとんだ。
ここは・・・、どこだ?
俺たちは確か・・・、銀塊の城にいたはずだ。
なぜだ?
そばにはゆいが横たわっていた。
「おい、ゆい?起きろ。大丈夫か?」
「ん?りょー?ここは?」
「分からない。どこなんだ?ここは。」
あたりは・・・、何もない。
暗闇が広がる空間・・・。
っと。
そこへどこからか・・・、
いや、俺たちの頭の中で、声がした。
これは、テレパシーか?
「君たちは、銀塊の城にたどりついた。さっきまでの光景は、我々の用意したバーチャル世界だ。」
「ばーちゃる世界?」
「そうだ。君たちは、ここから先へ、足を踏み入れてはいけない。帰るのだ。エリゼのもとへ・・・。」
その声が聞こえると、俺たちは、アリスの森のエリゼのもとへと飛んでいた。
「ゆい、涼。だいじょぶ?」
「ん・・・?まい。なんで?今のは・・・何?」
「いまの?どうしたの?なにがあった?」
俺たちは、まいとサラとエリゼに今までのことを話した。
一番混乱したのは・・・やはり、まいだった。
なにしろ、死んでいたはずの父に姉が会ったというのだから・・・。
「なんで・・・?お父さん。死んだんじゃなかったの?どういうこと?ねぇ。答えてよ。ゆい。」
「あたしにも、分かんないよ。まい。」
これは、ゆいやまいだけの問題では、ないような気がする・・・。
俺にも、何か関係しているんだ・・・。




