3.どうして?
衝撃だった。
「あなたは・・・。」
あたしの記憶が正しければ・・・。
10年前のあの日。
あたしが見た人物は、やっぱり、お父さんだったんだ。
だって、死んだはずの父が、今あたしの目の前にいる。
なぜ?
なぜ?あなたは死んだはずじゃ・・・。
「お父さん?」
あなたは、返事をしてくれる?
あのときみたいに、返事をしないまま、あたしたちの前から消えないでください。
おねがい。
「ゆい・・・。すまない。」
彼は、返事をしてくれた。
お父さん。
あたしは心のどこかで、いままでお父さんを必要としていたのかもしれない・・・。
でなければ、今あたしの頬を流れているこの涙は何?
あたしは・・・、まいも。
お父さんのことは、気にしなかった。
でも、本当は気にしてたんだね。
きっと、遠慮してたんだよ。
お母さんに。
お母さんは辛くて仕方がないのに、父が死んだとき、涙一滴、流さなかった。
それは、あたしたちのためだと思っていた。
でも、知っていたんじゃ、ないのかな?
本当は、生きてるってこと。
「どうして?こんな所に?生きてたの・・・?」
「すまない・・・。」
彼はその言葉しか、口にしなかった。
そして・・・、
「帰りなさい。家に、ここは危険なんだ。お前たちには、危険すぎる。」
どうして?
どうしてあなたがそんなこと?
ここが危険なのは、十分分かっています。
でも、なぜあなたが?
「お父さん。あたしは帰らない。この世界を救うために来たんだから。」
「ダメだ。お前はまいを連れて。帰りなさい。」
「イヤよ。」
「ゆい。俺はな・・・、お前と戦いたくないんだ。分かってくれ。」
彼は小さくつぶやいた。
でも、あたしはしっかりと聞こえた。
お父さんと・・・、戦う?
お父さんは、何か。
知ってるの?
関わってるの?
おねがい。
嘘であってください。
あたしが聞いたものを、すべて消して・・・。
お父さんを信じたい。
信じたい。
でも、そう思えば思うほど、疑ってしまって・・・。
どうしたらいいのか。
分からないの。
お父さん。
なぜですか?
なぜ、あなたはあたしたちの前から姿をけしたの?
なぜ、あなたは戦う事を恐れないの?
なぜ、あなたは生きていたの?
なぜ、あなたは答えてくれないの?
・・・答えてよ。
あなたは、あたしの家族です。
大切な。
そして・・・、とても愛しい。
そう、あなたは、あたしの家族です。




