第7話
(子犬を抱いて母さん達のいる囲炉裏へ向ったみきお)
みきお
「みんなぁ~父さんが帰ってきたよ!それと、ほらっ!見てきの子犬!ボクが育てるんだよ!!」
父さん
『ただいま、みきおにこの子犬を任せることにしたからよろしくな!』
よしお兄さん
『おかえりなさい父さん、・・・でもなんでボクじゃなくてみきおなんだよ!』
父さん
『お前には牛の世話があるだろ!
それにこの犬にはしっかり走らせてたくましく成長して貰いたいんだ』
よしお兄さん
『そんなのみきおじゃなくたってボクにだって出来るもん!』
父さん
『犬は成長していくとどんどん足が速くなるんだよ、
その速さに負けずに走れるのはみきおくらいしかいないと思うんだが?』
よしお兄さん
『・・・・・・・・・・・』
(よしおは言葉を失ってしまった)
『ぼくも ぼくも ワンワンとあそびたい あそびたい』
(末っ子で甘えん坊のてるお 4歳)
父さん
『てるお、てるおもこいつと一緒に遊んであげてな』
てるお
『ぼくもあそぶ いっしょにかけっこする』
みきお
「てるお、一緒に遊んでもいいけどイジメちゃだめだぞ!」
てるお
『ぼくいじめないよ いっしょにあそべるよ』
(てるおは鶏をいじめる癖があるのでちょっと心配)
みきお
「ボク、ちょっと子犬と散歩してくるね!」
父さん
『まだ小さいんだから少しだけにしろよ』
みきお
「うん、田んぼを一周してくるだけだから!じゃあ行ってきま~す!」
(みきおは子犬を連れて外へ飛び出していった)
母さん
『いいんですか、お父さん・・・みきおは何も知らないんですよね?』
父さん
『いいんだよ、みきおはあんなに喜んでるんだから!
母さん、みきおには絶対言うんじゃないぞ!いいな!』
(みきおは子犬を連れて家の前の田んぼのあぜ道へ)
みきお
「ほらっ!おいで、ここまで走っておいで!!」
(子犬はよたよた走りながらみきおの方へ)
みきお
「まだ子犬だから走るの遅くても仕方ないけど、ボクが毎日一緒に
走ってあげるからね!大丈夫、きっと速く走れるようになるよ」
(みきおはあぜ道を子犬と一緒にのんびり散歩していた)
みきお
「そういえば、こいつのこと何て呼んだらいいんだろう・・・
父さんは名前をつけちゃダメだっていうし・・・
でも名前がないと何て呼んだらいいのかわからないよなぁ・・・
なぁ、おチビ おまえは何て呼ばれたい?
って子犬に聞いてもしょうがないか・・・ ん? そうか!
名前じゃないような名前で呼べばいいのか!
じゃあ・・・お前チビだから名前はチビだ! チビだ!チビだ~!」
チビ
『クォン! クォン!』
みきお
「お!チビも名前が決まって喜んでいるんだな!!
きっとチビって名前が気に入ったんだな!チビ! チビ~!!」
チビ
『クォン!クォン!』
(チビは喜んでいるかのように跳ねるように走っていた)
みきお
「でもチビ、お前の名前がチビだってことは二人だけの秘密だぞ!」
(チビとみきおは家に帰ってきた)
父さん
『おい、みきお!子犬に水を飲ませとけよ!』
みきお
「うん、わかったよ父さん」
(子犬に水をあげると驚くほどの勢いで飲みだした)
みきお
「そんなに喉が渇いてたのか・・・たくさん飲んでいいよ、
明日も一緒に走ろうな・・・チビ。 カワイイなぁ・・・カワイイなぁ・・・」
父さん
『おい、みきお!まだ犬小屋がないからこのカゴの中に入れておけよ』
みきお
「えぇ?カゴの中に??かわいそうだよ・・・」
父さん
『明日犬小屋を作ってやるから、今日はこのカゴの中に入れておけよ』
みきお
「じゃあ今日だけ、ボクの布団でこいつと一緒に寝ちゃダメ?」
父さん
『・・・・・・今日だけだぞ、明日からはちゃんと犬小屋で寝せろよ』
みきお
「やったー!ありがとう父さん!!」
(みきおはその夜自分の布団でチビを包み込むように眠りについた)
みきお
「チビ。。。。。zzz」