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第3話

みきお

「どうしよう・・・日が暮れちゃった・・・」


(日が暮れたことに気づいた牛が怖がりモーモーと鳴き出す)


みきお

「お前がいつまでも食べてるから日が暮れたんだぞ!

         モーモー鳴いてないでさっさと歩けよ!僕だって怖いんだから!」


(山道には明かりが一切無く、生い茂った森の木々達が遮ってしまうため

              頼みの月明かりさえもほとんど差し込んで来ない・・・)


みきお

「さっきからモーモー鳴いてばかりいないでちゃんと歩けよ!」


(みきおは綱を強く引くが、牛は怖がってなかなか歩こうとしない)


みきお

「このままじゃ家に帰れないじゃないか!お前はお腹いっぱいだからいいかもしれないけど

 僕はお腹ペコペコなんだからな!!あ~腹へったなぁ~・・・よ~し、こうなったら・・・

                       父さんのよくやってたアレをやるしかない!」


(少し目が慣れてきたみきおは太くて長い木の枝を探し始めた)


みきお

「よ~し、この枝がちょうどいいぞ! でも、その後どうするかなんだよな・・・

 僕の力じゃ牛を抑えるなんてとても無理だし・・・そうだ!!よし、やってみよう!!」


(みきおは覚悟を決めた、そして拾った太くて長い枝を強く握り締め牛の背後に回り込み、

                           力いっぱい牛の尻を引っ叩いた!!)


みきお

「どうだ!!・・・・・あれ?おかしいな・・・全然反応しないぞ?」


(子供の力で反応するほど牛はか弱い生き物ではない)


みきお

「こいつめ~ あったまきたぞ!こうなったらこの枝を折って、

                     よ~し見てろよ!力いっぱい! えいっ!!」


(みきおは折った木の枝の先端を思いっきり牛の肛門へブッ刺した)


『モゲェーーー!!』


(これにはさすがの牛も悲鳴を上げて走り出した)


みきお

「よーし、今だ!飛び乗れ!!」


(みきおは牛の背中に飛び乗り、必死にしがみついた!牛は悲鳴を上げながら

 どんどん走っていく・・・牛が道を間違えないという保証はどこにも無いが、

         とにかく今は牛を信じて必死にしがみついているしかない!)


みきお

「うおぉぉぉーーー! うおぉぉぉーーー!」


(みきおは大声を上げながら必死に怖さに耐えていた・・・

 そして牛が力尽きて止まったところでみきおは牛の背中から降りた)


みきお

「やったーー!!大成功だ!!なんとか家の近くまで下りてこられたぞ!!」


(力尽きた牛をなんとか引っ張りながら家まで来ると家の前の道によしお兄さんが立っていた)


よしお兄さん

『みきお!こんな遅くまで何してたんだ!!』


みきお

「何って・・ 牛を山へ連れて行ってたんだよ」


よしお兄さん

『お前、この暗い中よくちゃんと帰って来れたな・・・』


みきお

「・・・まあね、僕だってやれば出来るんだから!」


よしお兄さん

『あれ?なんだこれ? おい、牛の尻が血だらけじゃないか?!』


みきお

「あ・・・それはその・・・ こいつがちゃんと歩いてくれなかったから・・・」


よしお兄さん

『これは、父さんに知られたら大変なことになるぞ!』


みきお

「え? どうしよう・・・ねぇよしお兄さん、どうしたらいい??」


よしお兄さん

『とにかく血だらけの牛のお尻を拭いてやらないと!』


みきお

「うん、わかった じゃあボク何か拭くもの取ってくるね!」


よしお兄さん

『誰にも見つからないように気をつけろよ!』


みきお

「うん。」


(乾いた布切れを持ってみきおは戻ってきた)


よしお兄さん

『水で濡らしてこい』


みきお

「うん。」


(濡れた布切れで牛のお尻をキレイに拭いてやる)


よしお兄さん

『よかった~ 思ったより傷はひどくないみたいだ・・・』


みきお

「ほんと? よかった~」


(牛のお尻を覗き込みながらホッと一安心する二人)


よしお兄さん

『牛に何かあったらオレが父さんに叱られるんだからな!』


みきお

「ごめん・・・でも元はと言えばよしお兄さ・・」


(みきおは言葉を飲み込んだ)


みきお

「よしお兄さん、ごめんね・・・ありがとう」


よしお兄さん

『いいよ、オレにも責任あるしな・・・

     牛はまた明日様子を見に来るとして、さっさと飯にしようぜ!』


みきお

「はぁぁ~・・・そういえばボク腹ペコペコだったんだ~・・・」


(その場にへたり込むみきおの手をよしおは引っ張り上げた)


よしお兄さん

『みきお、一人でよくがんばったな! 今日はごめんな』


みきお

「よしお兄さん・・・」


(ご飯を食べに囲炉裏に行くと母さんがおにぎりを作っていてくれた)


母さん

『二人とも遅かったわね、お腹すいたでしょ? おにぎりたくさん握っておいたから

        たくさんお食べ!それと今日は特別に二人にタマゴ焼きも焼いておいたからね』


みきお

「やったー!タマゴ焼きだー!」


よしお兄さん

『どうしたの母さん今日は・・・こんなにタマゴ焼き食べていいの?』


母さん

『いいんだよ、いつも我慢ばかりさせてごめんね・・・

               よしお、みきお、今日は二人とも偉かったわね・・・』


よしお兄さん

『おい!みきお!タマゴ焼きオレの分まで食べるなよ!!』


みきお

「よしお兄さん、モタモタしてると全部ボクが食べちゃうよ~」


よしお兄さん

『久しぶりだな~母さんのタマゴ焼き!うんめぇな~』


みきお

「うんめぇな~・・タマゴ焼き、うんめぇな~~・・」



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