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第28話

(みきおはマラソン大会に出ている中学生全員とすれ違いながらスタート地点へと急いだ)


同級生

『みきお!なにしてたんだよ!とっくにスタートしたぞ!』


みきお

「すぐに追いかけるから先行ってて!」


(みきおはやっとスタート地点に到着したが、もちろんランナーは誰も居ない・・・)


先生

『おーーーい!みきお!何してたんだ!』


みきお

「先生!! ここからスタートすればいいんですよね??」


先生

『ああ、そうだが・・・今から行くのか?』


みきお

「当たり前ですよ!じゃあ行ってきます!!」


先生

『みきお!頑張れよ!!』


みきお

「は~~い!」


(みきおはとにかく夢中で走り続けていた・・・

 朝から山の中を走り続けていたこととか・・・

 学校まで全力で走り続けてきたこととか・・・

 全部忘れて頭の中は真っ白でとにかく走り続けた・・・

 途中、後方から生徒をどんどんゴボウ抜きしていくが・・・

 全く気にしないし、気にならない・・・

 みきおの目には、先頭を走っていた彼の姿しか見えていない・・・

 彼の姿を探し追いかけ続けることしか、みきおの頭になかった・・・)



同級生

『え??みきお、もう追いついてきたの??』


みきお

「ハァハァ・・先頭はあとどのくらい??」


同級生

『は??先頭??そんなの遥か向こうで見えやしないよ』


みきお

「ハァハァ・・そう、ありがとう!」


(そう言うとみきおは、遥か向こうの見えない先頭目指して再び加速した)



みきお

「ハァハァ・・ハァハァ・・」


(自分の息遣いがいつもより大きく聞こえる・・・というより

 外の音は一切聞こえず、息遣いのみが耳にこだましている・・・)



みきお

「ハァハァハァ・・ハァハァハァ・・」


(このままでは先頭に追いつけそうにないと思ったみきおはゴールまでではなく、

                 先頭が見えるまでと頭を切り替え全開で走ることにした)



みきお

「アア・・アア・・アア・・アア・・」


(意識が薄れ・・・視界も薄れ・・・体力も薄れ・・・気力も薄れ掛けたそのとき・・・)


みきお

「アア・・見つけたぞ! アア・・先頭見つけたぞ!!」


(みきおはやっと先頭のランナーの後姿を視界にとらえた)


みきお

「アア・・待ってろよ・・アア・・すぐに追いついて・・アア・・みせるぞ・・」


(しかし、先頭ランナーが見えてからはなかなか差が縮まらない・・

     そして、みきおの心とは裏腹に身体に力が全然入らない・・・)


みきお

「アア・・・もう少し・・アア・・・もう少しで・・アア・・・追いつけるのに・・」


(先頭ランナーとの差は縮まらないまま、とうとうゴールの中学校が見えてきてしまった)


みきお

「アア・・ちくしょう・・・アア・・身体に力が・・・アア・・ちくしょう・・・」


(みきおはどんなに頑張っても力が入らない自分の身体に諦めかけていた・・・

 その時、いままで沿道の応援の声も全く聞こえていなかったのに

                   急に応援の大歓声が耳に割り込んできた)



『みきおーーー!頑張れーーー!』


              

『みきおくん、諦めるなーーー!』


 

『諦めるなーーー!追いかけろーーー!』


        

『もうすぐゴールだぞ!最後まで力を抜くなーー!』



『胸を張って腕を振り続けろーーー!』


    

『まだいけるぞーーー!まだ追いつけるぞーーー!』


みきお

「アア・・みんな・・・アア・・応援・・・アア・・ありがとう・・・」


(みきおは自分に声援をおくってくれている沿道の人たちに

     大きく右手を突き上げて力を振り絞りお礼の言葉を言った)



みきお

「みんな・・・ありがとう!!」


(その瞬間、みきおの身体に今までにないほどの力が漲ってきた)


みきお

「よーーし!いけるぞ!! ゼッタイに追いついてみせるぞ!!」


(ゴールの中学校がどんどん近づくにつれ、先頭ランナーの背中も

         どんどん近づいてきてよく見えるようになってきた)


みきお

「やっぱり、あの人が先頭だ!」


(先頭を走っているのはやはり去年のマラソン大会優勝者の彼だった)


みきお

「ゼッタイに追いついてみせる!ゼッタイに追い抜いてみせる!!」


(もうすぐ中学校の校門・・・そしてゴールまでは残り校庭1周!

 先頭の彼とみきおとの差はわずか15mほど・・・

 先頭の彼がラストスパートをかけてきたタイミングでみきおも猛スピードで

 スパートをかけ追いかけた!   

 校門を抜け、校庭のグランドへ入るとそこは観客からの大声援に包まれていた)



みきお

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」


先頭ランナー

『おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』


(ゴール手前でとうとう二人は並び、

 お互い魂の雄たけびを上げながら最後の直線を駆け抜けた・・・)


  



(そして、ゴールテープを切ったあと二人はその場に倒れ込み荒く乱れた息と、

  跳ねるほどの激しい心臓の鼓動を聞きながら大の字に寝転がり、

                太陽の光と透き通った青空に照らされていた)



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