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第26話

みきお

「はい?・・・そうですけど」


見知らぬおじさん

『突然驚かせてごめんね、怪しいものじゃないから安心してね』


(十分怪しいとみきおは思った)


母さん

『あの、うちのみきおに何か御用でしょうか?』


見知らぬおじさん

『お母さま、はじめまして! 決して怪しい者じゃありません!

  いえね、私はみきおくんの走りを見て感動してしまって・・・

   どうしても声をかけたくなってしまって・・突然すみません』


(やっぱり怪しいとみきおは思った)


みきお

「・・・母さん、もう行こう!」


見知らぬおじさん

『みきおくんは中学へ行ったら陸上をやるつもりなんだよね?』


みきお

「え?陸上? なんですかそれ?」


見知らぬおじさん

『・・・・ごめんごめん、駆けっこやマラソンを中学で専門的にやるつもりなのかい?』


みきお

「・・・ううん、ボクは別に専門的になんてやるつもりはないよ」


見知らぬおじさん

『それは勿体無い!是非ちゃんと陸上をやるべきだよ!

         君なら陸上選手として必ず成功するはずだよ!』


みきお

「おじさん、ボク家の仕事が忙しいからそんなことしてる暇ないんだよ」


見知らぬおじさん

『え?家の仕事?』


母さん

『すみません、うちは貧しい上に人手が足りなくて・・・

       みきおに家の仕事をいつも手伝ってもらってるんです』


見知らぬおじさん

『・・・そうなんですか、それは大変ですね

 でも みきおくん、中学のマラソン大会には出るつもりなんだろ?』


みきお

「うん、ボク中学へ行っての一番の楽しみがマラソン大会だからね!

             全員で走るあの大会に憧れているんだぁ・・・」


見知らぬおじさん

『去年の優勝は中学2年生の子だったの知ってる?』


みきお

「え?そうなの? 見に行けなかったから知らなかったよ すごいなぁ」


見知らぬおじさん

『その子は来年3年生で卒業したら私のいる高校の陸上部へ入る予定になってるんだよ』


みきお

「え?おじさん高校の先生なの?」


見知らぬおじさん

『あ、ごめんごめん まだ名乗ってなかったね』

(見知らぬおじさんは高校名と名前を名乗り、

 将来有望な陸上選手を探していることを丁寧に説明してくれた)


母さん

『あらま、あの有名な高校の先生でしたなんて・・・失礼しました』


高校の先生

『いえいえ、とんでもない!私が一方的に話しかけただけですから』


母さん

『有名な高校の先生がなんでまた小学校の運動会なんかに?』


高校の先生

『先ほどお話しした中学マラソン大会で優勝した子に聞いたんですよ、

                  小学校にオレより速い子がいる!とね』


母さん

『・・・それって、みきおの事ですか?』


高校の先生

『はい、そうです!どうだい?みきおくん、その子と走りたくなって来ただろう?!』


みきお

「うん、ボクその人と一緒に走ってみたい!

    ・・・でもなんでその人はボクのことなんて先生に言ったんだろう?」


高校の先生

『その子はね、年下の君に一度負けたことがあって

       その悔しさをバネに中学で陸上を続けているそうだよ』


みきお

「ボク、その人と走ったことあるの??」


高校の先生

『彼は6年生最後の運動会でリレーのアンカーを走ったとき、

 当時4年生だった君に見事に抜かれただけでなく、どんどん遠く小さくなっていく

                  君の後姿を今でも忘れられないんだそうだよ』


みきお

「あ、あの時の!」


高校の先生

『君が来年中学へ入ったときには彼は3年生、彼は中学のマラソン大会で

 君に勝ち優勝するために頑張ってきた!と私に話してくれたんだよ・・・

 私が知る限り、この辺の中学生で一番足が速いのは間違いなく彼だと私は思っている・・・

 そんな彼から君のことを先日聞かされて、どんな少年なのかと一目見てみたいと

                          今日はやってきたという訳なんだよ』


みきお

「・・・それで、先生 ボクの走りはどうでした?」


高校の先生

『素晴らしい走りだったよ!

 スピードと体力だけじゃなく、とにかく走ることに対しての気持ちが素晴らしい!  

       走ることへの強い意欲が君の速さの秘訣だと感じたんだけどなぁ・・』


みきお

「中学の彼と比べて、ボクの走りはどうでした?」


高校の先生

『う~ん・・・難しい質問だなぁ~まだ少ししか君の走りを観てないし・・・

            でも、彼がライバル視する意味はよくわかったつもりだよ』


みきお

「楽しみだなぁ~ 早く中学生になりたいなぁ~

 中学でマラソン大会を思いっきり走ってみたいなぁ~」


高校の先生

『あはは、君の強さはやっぱりその強い意欲なんだろうね!』


みきお

「うん、ボク 走るの大好きだから!それと・・・その人に伝えておいて欲しいんですけど・・・」


高校の先生

『ん?いいけど、何を伝えておけばいいんだい?』


みきお

「ボクは駆けっこでは誰にも負けませんからね!って、伝えておいて下さい」


高校の先生

『・・・確かに伝えておくよ、きっと彼もその言葉を聞いたら喜ぶと思うよ・・・』



(そして、みきおは中学へ・・・ずっと楽しみにしていたマラソン大会当日の朝)



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